今から申し上げるのは完全に仮説です。科学的営為は仮説生成と仮説検証からなります。ぜひ検証したい、してほしいと思います。
Here what I state is just a hypothesis. Science consists of hypothesis generation and hypothesis evaluation. This hypothesis also needs evaluation. I would like to do it and somebody also should. I do not have time to write an English version in addition to this Japanese one, so please take advantage of one of translation service to read what I want to deliver to you.
日本でCOVID-19感染者数が少ない理由を各国のジャーナリストから問われています。一番多い仮説が「検査が少なすぎて隠してるんじゃ。実は蔓延してるんじゃ」説です。それも拝聴の価値はありますし捕捉されていない感染者は結構いると思いますが、かといって日本でイタリアやニューヨークのような現象は起きていないのは医療現場を見れば自明です。よって、感染者数はそこまで多くない、もまた事実と言えましょう。
問題は、なぜか、です。
ここで、BCG説とか、専門家会議で発言されたような日本人の諸々の特性説、マスク説などありますが、個人的にはさしたる強い要素とは思いません(ちょっとは寄与しているかも、とは思いますが)。今後東京でいわゆる「オーバーシュート」が起きるとぼくは予測しますが、そうなるとBCGとか日本人の特性とかマスクとかが感染を抑えていた説が基盤を失います。
当時は気づかなかったのですが、実は春節がキーだった、と今は思っています。
武漢で1月に感染が広がり、春節が近づいていたとき、「中国人が休暇でやってきて日本でコロナウイルスを広げるリスク」はよく議論されていました。あのころ、まだぼくは全国各地を出張していましたが、多くのタクシーの運転手さんは「中国人旅行者が多くて心配」みたいに言っていました。一部の識者で「中国人入国禁止にすべき」説が出ていたのも周知の通り。
あれが、今になって振り返ると実はよかったのではないか。
アラートネスが高かった日本では、ほんのクラスターの始まりで、かなりの確率で感染を捕捉しました。大阪、京都、和歌山、北海道ですら、世界的規模から考えるとかなり小さいクラスターに抑え込むことに成功しました。仮に捕捉されていない感染者が1000人近くいたとしても、です。
こうして、アラートネスの高いまま感染の始まりを経験した日本では、そのままクラスターチェイシングとサーチ・アンド・デストロイという古典的な方法を地道に続けて感染者を低いままに抑えつけていたのです。
コロナウイルスは数のウイルスです。数が少ないときは抑えられる、数が多いと抑えられない。シンプルな図式ですが、非常に恐ろしい性質です。
さて、中国人入国を禁止していたのが米国でした。よって、春節の中国人ウイルス持ち込みはなく、その後日本のクルーズ船問題に注力し、COVIDは基本「対岸の火事」でした。しかし、ウイルスには国境はなく、よく知られるように「水際作戦」はたいていうまくいきません。まわりまわってウイルスは持ち込まれましたが、その流行は気づかれぬままでした。コロナウイルス感染の諸症状は非特異的で、疫学リンクがなければ到底気付けるものではないので。その後起こったことはみなさん御存知の通り。
イタリアもすでに19年にはコロナウイルスが持ち込まれていた説があります。それは検証が必要ですが、欧州各国へのコロナ感染検知は流行がかなり進んでから起こった可能性が高い。手がつけられなくなってから、問題に気づいたのです。ドイツのような国で死亡者が少ない理由も本当はそこ(早期の問題察知)にあるように思います。
が、当初うまく抑えつけていたようなタイとかシンガポール、ドイツでも感染者、死亡者は増えています。日本でも同様。BCGや民族や「民度」やマスクにぼくが懐疑的なのはそのためです。
要するに、この問題は大なり小なり「時間の問題」なのかもしれません。
90年代にぼくは何度も「日本でエイズは流行しない。日本人は性生活がしっかりしているから」と行政の人に言われました(ほとんど嘲られていました)。もちろん、日本人の性生活がどうこういうことはなく、HIV感染はその後広がって定着し、梅毒はかつてないほど流行し、クラミジアは慢性疾患として定着しています。
SARSは「水際作戦が奏功した」と某新聞は書きましたが、それはデタラメです。水際作戦が成功したことなどないのです。当時の中国からの渡航者が少なく、ラッキーにもSARS患者は(ほとんど)日本にはやってきませんでした。検疫所で捕捉した感染者はゼロだったのですから、ただの運です。
このように、我々はすぐに夜郎自大で都合の良い「物語」にすがりたがります。が、ぼくはそういう物語はかなりクールに検証され、実証されたデータに裏打ちされない限りは信用しません。そして、たいていの「物語」はクールに検証するとただのデマだったことが判明するのです。もちろん、すべての仮説は検証するに値しますから、無下には否定しませんが。
上記の仮説も、検証すればぼくが間違っていたか否かが分かるでしょう。いずれにしても、東京や大阪で感染爆発が起きればBCGや日本人のなんとかやマスク説は危うくなります。感染爆発など起きないで、ぼくの仮説もデタラメだった、で終わってくれると嬉しいのは言うまでもありません。
素人の疑問です。
感染初期においては感染者数も治癒者数も無視できるほど少ないので、基本再生産数で感染速度は決まるように思うのですが、日本は欧米に比べ感染初期の患者数の増加率が低いように思います。
RT-PCR検査数が欧米に比べ非常に低いので感染者数で議論するのは適当ではないという批判は正当だと思いますが、より信頼性が高いはずの死亡者数増加速度でも日本の<立ち上がりの速度>が低いのは認めていいのではないかと思います。
その説明に1)清潔習慣 2)BCG接種説が言われていますが。その他に3)遺伝子説や 4)既感染説(似たコロナにこれまで感染していた)があってもいいように感じます。
4)は過去の保存献血の抗体検査で検証可能なような気がします。
投稿情報: Hiroshi | 2020/05/11 15:27
幸にして本日現在も感染爆発には至っていません。
無論、今後についてはまだ予断を許すものではありません。しかし、ここまでその遅延に成功しているのは既に大きな成果と呼べるのではと思います。マスクや人工呼吸器の生産も特効薬・ワクチンの開発も時間をかければ可能なことなのですから。
してみると、日本においてここまで感染の遅延に成功したことはそれ自体考察の価値があるのではと考えます。
貴殿によるそのような考察がもし将来あるならば、是非読んでみたく思います。
なお、愚考しますに「自粛」という甚だ強制力の弱い措置(社会的圧力等があるにせよ本質的には自由です)がかえって効力を発揮したのではないかと思うことがあります。
つまり、我々の国では「あれをしたら捕まえるぞ罰金だぞ」ということは一つもない訳ですが、だからこそに我々一人一人が素人なりに日々接触を減らす方法、ウイルスを寄せ付けない方法をできる範囲で考え・実践することになった。それは例え強制措置があるとしても「禁止されていないこと以外は自由」であるままの諸外国の方法よりもかえって効果が大きかったのではないか、と思うのです。
ご笑覧いただければ幸いです。
投稿情報: Emporioarbitris | 2020/04/27 17:09
「実際には感染しているのに把握されない『暗数』の割合が大きく、統計がゆがんでいる」のではないですか?
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202004/CK2020040302000144.html
山口氏は「死亡者数も年間十万人前後にのぼる一般の肺炎死亡者の中に隠れてしまう」と分析する。
納棺師の方から不安が出ていますが、もし隠れ感染者に触った葬儀関係者が感染したら・・、
投稿情報: Sanyoukiroku | 2020/04/03 21:19