« 楽器、音楽、コンサートとコロナウイルス | メイン | 検査について »

2020/06/23

コメント

フィード コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。

貴殿にはあまりご興味のない側面かとは思いますが、管見する限り

「生命と市民的自由の両方を守ることに成功したのは日本だけ」

とは言えるのではと思います。
自粛や同調圧力で不自由だったじゃないかという反論はあるかも知れませんが「自粛」は自由意志の発現の一形態であり、同調圧力は政府による命令ではないから同調圧力なのですから。

岩田先生、はじめまして、ベルギーの大学病院にて医師として勤務しております。先生の文章の中で『感染対策が大失敗したと目され、首相が病院を訪問したときに病院スタッフが抗議目的で首相の車に背を向けたくらい、「大失敗した」と評されるのがベルギーです』という文章は正しくありません。
この背を向けた抗議の一番の理由は、政府が看護師の資格を持っていない病院勤務者に、看護師が行える一部の処置をするように指示したことに対してです。それだけ一時期は病院内も人手が足りずに混乱していたということですが、ベルギーの死者は治療を受けずに亡くなった多くの老人ホームでの死者を多数含んでおり、イタリアやフランスやイギリスなどの統計とは統計の方法が異なります。
欧米全体がアジア諸国と比べて初動に失敗したことは間違いありません。それは、2月中旬は、人々はまだコロナ感染は遠くアジアで起こっている出来事と考え、無意味な人種差別的発言に時間を費やす人が多かったこと、2月下旬のカーナバルの休暇時に人々の自由な移動を許可し、感染が拡大していた北イタリアへの観光から帰国した方、その濃厚接触者が患者に圧倒的に多いことからも確かだと思います。カーナバルの休暇後、3月1週から中旬にかけて、病院のZoningも遅れをとり、院内感染も多く発生しました。こちらの一部の感染症科の先生方がすでに一月の時点でベルギー政府にマスクの購入をすすめていたにも関わらず、政府がその対応が遅れたことは病院で問題になりました。中国や中東から発生する新規感染症に対して常に警戒をしてきたアジア諸国とは水際対策に遅れが出たためと思います。
ただ病院での治療については、すべての病院がコロナ体制で患者を受け付け、調子の悪い患者様はいつでも救急に駆け込むことができ、行く先がなく救急車でたらい回しになることもなく、必要な治療を受けることができました。当方の病院ではピ=ク時は一日60人以上もコロナの診断があった日もありましたが、患者様は病床を確保、人工呼吸器やECMOで治療を行ってきました。その点で、ヨ=ロッパの一部他国やニューヨークなどともかなり状況が違うことをお伝えしておきます。

岩田先生のご指摘
『そして、少数のクラスターを見つけ、封じ込めることで日本は3月下旬まで非常に上手に感染対策をし続けました。』
『3月下旬から、特に東京でクラスター追跡では追いつけない感染者が見つかるようになりました。検査抑制、クラスター追跡という「後から追っかける」方法では間に合わなくなるのです。そのため、日本は「緊急事態宣言」という「先回りする」方法を選択せざるを得なくなりました。』

横軸を日付、縦軸を新規感染者数としたとき、上記岩田先生のご指摘は、横軸を「陽性確認の日付」としたときのグラフに対応しているように思います。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020501_1.pdf 専門家会議の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月1日)の
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020501_1.pdf#page=2 (全国)図1の左側
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020501_1.pdf#page=3 (東京都)図2の左側
の図です。3月下旬まではじわじわと増加するにとどまっていましたが、3月下旬からは急激な増加に転じています。

しかし、横軸を「感染日」とすると、全く別の光景が見えてきます。下のグラフで、各患者の「感染日」をどのような手法で推定したのかは知りたいところですが。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020501_1.pdf#page=3 (全国)図3
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/sidai_r020501_1.pdf#page=4 (東京都)図4
新規感染者数(感染日)は、3月初めから3月下旬にかけて、急速に増加します。実効再生産数は2を超えていました。必死でクラスター追跡を行っていたにもかかわらず、です。
それが、3月末に突然増加が止まり、逆に急激に新規感染者数が減少し始めたのです。

私が知りたいのは、
(1)横軸を感染日とした上記グラフは、本当に真の姿を現しているのか。
(2)3月中も4月も、クラスター対策は同じように努力していたのに、なぜ3月中は急激に新規感染者数が増大し、4月になると急減したのか。
(3)3月中の急拡大、4月になっての急減少に、クラスター対策以外の要因があったとすると、その要因は何なのか。

クラスター対策はもちろん必要だったでしょうが、3月中の新規感染者数の急拡大を抑止するだけの力はありませんでした。
それでは、3月末に、新規感染者数はなぜ急拡大から急減少へと転換したのでしょうか。私には、「国民が生活を変化させたからだ」しか思い当たりません。3月3連休の後、小池都知事が態度を豹変させて危機を煽り、志村けんさんの死亡が報じられました。
その結果として新規感染者数(感染日ベース)は急減に転じ、4月7日の緊急事態宣言発出の時点では、感染者数はピーク時(3月25日頃)の半分以下となっています。

以上について、ぜひ岩田先生のご見解を承りたいと存じます。

ここ半年を振り返る非常に良いまとめになっていると感じました。

一点、本論での結論となっている「スタート地点が違っていたから」という部分について、データと矛盾があるように感じたので、どこに見落としがあるのか、ご教授いただけるとありがたいです。

以下は、4月末時点の各国の「超過死亡」のデータです。

https://www.ft.com/content/6bd88b7d-3386-4543-b2e9-0d5c6fac846c

その後もアップデートされているものはこちら。

https://www.economist.com/graphic-detail/2020/04/16/tracking-covid-19-excess-deaths-across-countries

これらのデータを見ると、欧州や米国などの「失敗国」では、いずれも一貫して3月中旬前後から急速に超過死亡が立ち上がり、4月にピークを迎えています。

フランスでは12月から水面下で感染は広がっていたけれどもなぜか死亡者は増えず、3月中旬になってから他国と示し合わせたように一斉に死者が出るようになった、という説明は納得するのが難しいように感じます。

「対策スタート時点で、すでに大量の感染者が発生していた」というよりは、「スタート時点からものすごい勢いで感染者が増え、すぐに津波のような物量となり手に負えなくなった」というほうがより自然な解釈ではないでしょうか?

だとすれば、アジアと欧米のあいだで感染スピードに違いをもたらしているものは何か?という議論に持ち込むことが可能だと思うのですがいかがでしょうか。

コメントありがとうございます。ベルギーという国については詳しくないのでいろいろ勉強になりました。誤解のないことを希望しますが、ぼくは欧米各国の感染対策そのものが駄目だった、と申し上げたいのではありません。むしろ日本よりもしっかりしていたところも大きい。しかし、にもかかわらずうまくいかなかった。ベルギーも同様で、とても成功国とは言えず、控えめに言っても失敗したと考えるのが妥当でしょう。そういう観点からの論考です。

ダイアモンドプリンセス号以降、岩田先生のおっしゃること、ご著書、ネット番組でのご発言などに傾注している在ベルギーのライター・ジャーナリストです。今回のこのブログでのご発言は、先生も、多くの仮説に基づくと最初におっしゃっていますが、ベルギーやスウェーデンなどのコロナ対応を、死者数を基本的根拠に、「失敗国」とかなり一元的に結論づけておられたので違和感を持ちました。確かに、死者数では多いです。でも、ベルギーでは、医療飽和による診療拒否・閉鎖は起きていません(もともと医療体制に余裕があり、ピーク時でも集中治療室の占拠率などが50%以上にならなかったことなど)、周辺国のようにドイツに重篤患者を搬送してみてもらうことも一切ありませんでした。先生がとりあげた、ベルギー首相が大学病院を慰問した際に関係者が背を向けて抗議したという映像も、AFPがビジュアル的に面白いので拡散してあっという間に世界に出てしまいましたが、ピークを過ぎた安ど感から、アメリカなど暴力的な抗議運動が高まったのに比べ、とても「静かな」抗議で、民主主義が根付いているベルギーでは、翌日には首相がその抗議に対応して、医療関係者への待遇改善策を提示して、もちろん、充分とは言えなくても、基本的な政府と市民の信頼があるからこそできる抗議と対話を具現しています。静かに抗議すれば、きちんと聞き入れられる国なのです。また、先生が全く触れられていないのは、「コロナ死」の定義の違いです。こちらの専門家委員会は、初めから、「ベルギーでは、肺炎、脳血栓などで亡くなった場合、コロナ感染が確定していても、していなくても、すべてコロナ関連死と勘定に入れるかなり拡大計算をとっているから、定義のことなる他国と比較して論じないでほしい」と明言していました。この広い定義は、WHOや欧州CDCが推奨していたもので、この頃になって、例年同期の超過死者数との比較では、ベルギーは差がほとんどなかったことがわかっています。これは、欧米での報告コロナ死者数と例年同期の死者数とのギャップの話であり、日本やアジアの死者数の少なさを説明できるものではありませんが。なお、初動の悪さ、という結論については、私ははっきりした反論はできません。が、ベルギー、スウェーデンなども、専門家委員会の立ち上げは1月。コロナ患者が特定でき、死者が一人出た時点で緊急事態を、一けた台の時点で封鎖対策をとっています。フランスでは昨年末にはすでにコロナ感染者がいたことが確かに確認されていましたが、実際に指数的爆発的感染が出たのは、2月末のカーニバル休暇から10日後以降で、12月や1月時点では指数的な感染拡大になっていないのは事実です。この指数関数的上昇を、単なる初動の悪さでどう説明するのかは、私にもわかりませんが。勝手なコメントでした。もし、よろしければ、私が書いたもの、スウェーデンの仲間が書いたものなどへご案内させていただきたいです。医学的分析ではないですが、感染症・疫学の専門家委員会と、封鎖解除の別の委員会が、毎日毎日定時記者会見とサイトでどのように定点データを開示していったかなど、もしかしてご存知ないかもしれないのでご案内したいです。

素人なので内容に関するコメントではありません。
各国ごとの数字はテーブルにして、国名表記は左詰め、数字を右詰めあるいは小数点揃えにしていただくとわかりやすいのではないでしょうか。
また一部てにおはがおかしいような気がします。「韓国でPCR検査を行った場合の陽性率は0.4%です。しかし、日本のそれは0.6%にすぎないのです」は「日本のそれも0.6%にすぎないのです」としたほうが検査数が少ないにもかかわらず陽性率が低いという文意が通りやすいと思いました

交差反応、交差免疫仮説はいかがでしょうか。

「アメリカ・ラホヤ免疫学研究所では、過去にさかのぼった検体対象から「交差反応」を確認しました。風邪と新型コロナとの間に、です。

新型コロナのパンデミックが始まる前に集めていた、風邪の病原体であったコロナウイルスに感染した11人の血液サンプルを調べました。そうするとその半分(40~60%)から、今年の新型コロナのウイルスを防ぐ免疫作用を持つ「T細胞(免疫システムの中心的な存在)」が検出されたのです。」

■風邪が三番目の対応法になるかも 新型コロナに対して | ちえのたね|詩想舎 https://society-zero.com/chienotane/archives/8728

この記事へのコメントは終了しました。