ESBL産出の大腸菌由来の菌血症に対して有効な治療法は何か?
<序論>XXつESBL産出の大腸菌にXXに対してどのような治療を行えばよいか疑問に思い、今回調べレポートにした。
<本論>
現在ESBL産出菌に対してはカルバペネム系抗菌薬以外にもタゾバクタムやピペラシリンまた、セフメタゾール(CMZ)などのセファマイシン抗菌薬も抗菌力を示すとされている。これらを使った治療効果を研究した論文について説明する。
広島市立広島市民病院で2009年3月-2014年3月に血液培養検査でESBL産出大腸菌が検出され、抗菌薬治療を開始した37例の治療効果について調査した。結果としては主に2つのことが述べられていて、抗菌薬の有効性とMIC値である。主に投与された抗菌薬はカルバペネム系のメロペネム、イミペネム、シラスタチン、またセファマイシン系のセフメタゾールであった。1つ目の有効性については、ESBL産出大腸菌と同定される前のempirical therapyとして投与された抗菌薬の有効率は62.5%(有効15例 効果なし9例 効果不明13例)であった。次にEmpirical therapyとして投与された抗菌薬の効果がなかった場合と不明な場合を合わせた22例に薬剤感受性に応じたdefinitive therapyとしての抗菌薬に変更後の有効率は95.5%(有効21例 効果なし1例)であった。効果なしの1例はDefinitive therapyとして投与されたメロペネムであったが、イミペネムとシラスタチンの投与に変更後軽快した。また、empirical therapyとdefinitive therapyとして投与されたカルバペネム系抗菌薬とセフメタゾールの有効率は各々、95.8%(有効23例 効果なし1例)と87.5%(有効7例 効果なし1例)であった。
2つ目のESBL産出大腸菌の抗菌薬に対するMIC値については、メロペネム、イミペネム、シラスタチン及びセフメタゾールではbreak point MICである1μg/ml及び16μg/ml未満であった。
<結論>
今回、empirical therapyの有効率が62.5%、definitive therapyの有効率が95.5%であったため治療においては血液培養で起因菌を同定し、薬剤感受性を考慮した抗菌薬を選択することが必要である。またカルバペネム系抗菌薬の投与が行われた24例のうち23例に有効性を認めたためESBL産出大腸菌にカルバペネム系抗菌薬を選択することは有効であると考えられる。ただし広域なスペクトラムを持つためにempirical therapyとしていたずらに投与すれば薬剤耐性菌の発現リスクを高めることになる。セフメタゾールでは治療した8例のうち7例で治療効果が見られ、MIC値も前例break point MIC未満であったがカルバペネム系抗菌薬の症例にくらべかなり少なかったのでセフメタゾールに有効性と安全性があると結論づけることはできない。以上よりESBL産出大腸菌による菌血症に対してはempirical therapyではなく薬剤感受性に応じた抗菌薬を投与することが重要であり、その抗菌薬としてカルバペネム系抗菌薬は治療効果があるが広域な抗菌スペクトルを持つため、投薬は他の菌がないかなどを十分に検査して慎重に行うべきである。
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/135/6/135_14-00253/_article/-char/ja/
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