緑膿菌関連VAPに対する最適な治療期間はどのぐらいか。
【序論】XX緑膿菌関連VAPに対してXX緑膿菌関連VAPに対する治療期間はどのように設定されているのかを調べた。資料として主に、HAP及びVAP治療に関する国際ガイドライン(International ERS/ESICM/ESCMID/ALAT guidelines for management of hospital-acquired pneumonia and ventilator-associated pneumonia)を用いた。
【本論】ガイドラインでは、早期発症型と遅発発症型の混合VAP患者集団における抗生物質の短期療法(7~8日間)と長期療法(10~15日間)を比較する、2つの系統的レビューを参照している。以下にその結果を述べる。
レビュー中のほとんどの研究では免疫不全、嚢胞性肺繊維症、膿胸、肺膿瘍の患者は対象外となっていた。短期療法群と長期療法群の間で、死亡率(28日間)、機械的換気を要する期間、ICU滞在期間に関して差は見られなかった。また、再発率に関しても両群で差は見られなかった。しかし一方で、緑膿菌を含むNF-GNB患者では、短期療法群の方が長期療法群よりも肺感染症の再発率が高く、一方で、再発感染症を発症した患者の中では短期療法群の方が多剤耐性菌の出現頻度は低いという研究結果もあった。
また、抗生物質非投与期間については、短期療法群の方が有意に長かった。
なお、副作用については、各研究間で異なる結果が出ており、一定の見解は得られなかった。
【結論】免疫不全、嚢胞性肺繊維症、膿胸、肺膿瘍、空洞化、壊死性肺炎がなく、治療反応性が良好なVAP患者に対しては、7~8日間の抗生物質投与による治療を推奨。(弱い推奨、エビデンスレベルは中程度。)
ただし、以下のような場合には抗菌薬短期投与療法が行えない可能性があり、抗菌薬投与期間を治療反応性、菌血症などの細菌学的所見、バイオマーカーの変動に合わせて個別化する必要がある。
・不適切な抗菌薬初期投与を受けた場合
・重症免疫不全患者(好中球減少症や幹細胞移植患者など)
・抗生物質に対して高度の抵抗性を持つ病原体が原因となっている場合
(緑膿菌、カルバペネム抵抗性アシネトバクター、カルバペネム抵抗性腸内細菌)
・second lineの抗菌薬投与(コリスチン、チゲサイクリン)がなされている場合
参考文献
・EUROPIAN RESPIRATORY journal 2017.50“International ERS/ESICM/ESCMID/ALAT guidelines for management of hospital-acquired pneumonia and ventilator-associated pneumonia”
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