感染症レポート
「複数菌種の菌血症へのアプローチはどのようにすればよいか」
【序論】XXX複数菌種の菌血症は深刻な病態であり、確立されたアプローチ法があるのか興味を持ったので今回レポートテーマとした。
【本論】台湾南部にあるE-Da病院で実施された162,760件の救急診療の臨床データのなかの、16歳以上の患者の血液培養陽性記録に基づきレビューされた論文をみる。¹複数菌種菌血症患者は症例群に登録され、単菌種菌血症患者は対照群に登録された。すべてのサンプルはBACTEC9240システムで処理され、複数菌種が2つの異なる原因によると推定された場合は除外された。以下の4つのグループを不適切な治療とした。1)不適切な抗菌薬の使用2)抵抗性の細菌3)併用療法が必要に応じて処方されなかった4)抗菌薬の不使用
血液培養の結果が得られる前に経験的治療が行われたが、不適切な抗菌薬治療は複数菌種症例の53.6%で発見され、単一菌種症例の23.8%より優位に頻繁であった。また複数菌種症例33.3%で併用療法がおこなわれておらず、21.7%が抗生物質を投与されていなかった。
次にスペインのHospital Universitarioで実施された、ICUにおける院内感染性血流感染症の前向きコホート研究の論文を見る。²12,742人の患者を評価し、371菌血症は院内感染で、そのうち75は複数菌種であった。
多変量解析を実施したところ、複数菌種菌血症はICUの入室期間は長いものの、死亡率において単一菌種菌血症と比較して有意差を見いだせなかった。(49.3% vs 61.8%)
【結論】血液培養時に分離株の数は不明であり、不適切な抗菌薬の使用は複数菌種菌血症により多く見られる。またICUで使用される広めの抗菌薬投与が複数菌種菌血症に効果的であると考えられる。
¹Academic Emergency Medicine Volume17, Issue10 pages1072-1079, October 2010
² European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases31, 1791-1796 (2012)
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