血小板減少はどの科の患者にも起きるコモンな現象だ。そのアプローチは大切なので学生のうちに体得して(記憶じゃなく)おいたほうがよい。よくまとまっています。図にしたらなおよかった、とフィードバックしました。
BSL感染症 レポート
血小板減少に対するアプローチについて
血液検査での血小板数の正常範囲は成人において15万~45万/mLとされている。従って血小板減少とは数値が15万/mLを下回った状態と定義されている。しかし健常者でも2.5%ではこの15万/mLを下回ることがある。また正常範囲内だとしても血小板数が急速に半分になった場合、深刻な臨床的問題がある場合があり積極的なfollow upが必要とされることもある。実際に臨床的に症状が出てくるのは数値が10万/mLを割ったときからとされている。
病歴聴取、身体診察、全血球計算、末梢血塗抹標本検査はいずれも血小板減少患者の初期評価の重要な要素である。しかしまず、実際に血小板減少を認めた患者を見た場合にまず重要なことは本当にその患者の血小板減少が真実かどうかを見極めることである。なぜなら抗凝固剤と血液の混和が不十分であったり、採血時の組織液混入により析出したフィブリンの中に血小板が巻き込まれて凝集を起こしたりするからである。無症状で血小板数が7.5~10 万程なら1~2 週間後に再検することも考慮にいれる。また偽性血小板減少症も忘れてはならない。偽性血小板減少症では抗凝固剤により試験官内で血小板が凝集してしまい実際よりも少ない値を示す。この場合EDTA 試薬入りのCBC 容器でなく、へパリンやクエン酸Na、硫酸Mg などを抗凝固剤として採血し直すと正確な値を示す事がある。
次に血小板減少を確実に認識することができたときのアプローチについてだが、その血小板減少を引き起こしているものに緊急な対処が求められるかどうかを見極めることが求められる。その中でまず考えなければいけないのがTTPである。TTPはもし診断されず迅速な治療が行われなければ、重大な障害をもたらす疾患である。TTPの診断を支持する所見としては末梢血塗抹標本で分裂赤血球を確認すること。それに加えて直接Coombs試験陰性に加えて、LDHと間接ビリルビンの上昇、ハプトグロブリンの減少、網赤血球の増加がある。
そして、緊急に対処が求められるものが除外でき、さらに他の決算は正常で末梢血塗抹標本の所見も正常であった場合、次に考えなければならないのは薬物性かどうかである。なぜなら薬物は血小板減少の原因の中で最も多いものであるからである。多くの薬剤が血小板減少に関与しており、化学療法薬の多くは治療後に骨髄抑制を生じそのため予想できる範囲の血小板減少を引き起こす。血小板減少を引き起こす薬物としてはheparin,valproic,acid,goldsalts,trimethoprim-sulfamethoxazol,quinine and quinidine, interferon,measles-mumps-rubella vaccine,glycoprotein Ⅱb/Ⅲa inhibitorsなどが挙げられる。しかしながら、明らかな原因のない血小板減少患者ではすべての薬物を原因として疑いその使用を中止するか、可能ならば別の薬物に変更するべきである。
上記に述べたことがすべて除外されたなら、それから感染誘発性、特発性免疫性、先天性による血小板減少が生じていると考え、鑑別していく。
【参考文献】
・Up to date:Approach to the adult patient with thrombocytopenia
・Harrison’s Principles of Internal Medicine(17th edition)
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