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Sezary症候群について
(1)概説
Sezary症候群は、皮膚を主病変とする末梢T細胞の悪性腫瘍である事から、菌状息肉症とともに「皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)」の概念に包含されている。米国における菌状息肉症の年間発症率は1万人あたり6人で、非ホジキンリンパ腫の約4%を占める。発症時の年齢は55〜60歳がピークで、男女比は2:1とされ、黒人に多い。Sezary症候群は稀であり、年間発症率は1万人あたり0.3人にとどまる[1]。
CTCLは皮膚を主病変とするため、内科医よりも皮膚科医によって見つけられる事が多い。湿疹•乾癬が鑑別診断に含まれ、腫瘍細胞が皮膚に浸潤している事が重要な点となる。
(2)Sezary症候群
Sezary症候群は、紅皮症・全身のリンパ節腫脹・Sezary細胞と呼ばれる腫瘍細胞の末梢血への出現を特徴とする。診断には更に①末梢血でSezary細胞が1000/m㎥以上、②CD4陽性T細胞の増加によりCD4/CD8比が10以上、③T細胞マーカーの一部の欠如のうち、1つ以上を満たす必要がる[2]。
Sezary細胞は核に深い切れ込みを伴う脳回様の核を持つ異型T細胞であり、ヘルパーT細胞の特徴を示し、CD7は陰性であることが多い。表皮への浸潤傾向を示す事により皮膚病変が生じるが、これは後に述べる菌状息肉症と酷似している。Sezary症候群は三徴より全身性疾患と考えられ、予後は不良である。治療は全身化学療法が用いられる[3]。5年生存率は10~20%であるが、死因の多くは日和見感染症で、予後因子はリンパ節・末梢血の病変による[2]。
(3)菌状息肉症との比較
菌状息肉症は、代表的な皮膚原発のT細胞リンパ腫であり、経過は数年から数十年と長い。腫瘍細胞は脳回様の核を有するCD4陽性Tリンパ球で、表皮と真皮に浸潤する。表皮への浸潤に伴い、Pautrier微小膿瘍を認める。皮膚病変は斑点段階から皮膚の腫瘍へと進展する。原則として末梢血に異常細胞を認めない。疾患が進行するとリンパ節や内臓に浸潤する。
菌状息肉症の診断には、ISCL/EORTC(International Society
for Cutaneous Lymphomas/European Organization for Rresearch
and Treatment of Cancer)の診断アルゴリズムがある。これは、臨床症状(皮膚の紅斑など)、病理所見(リンパ球の表皮浸潤など)、分子生物学的所見(TCR遺伝子の異常)、免疫学的所見(CD7陽性T細胞の減少など)を点数化し、合計点によって菌状息肉症と診断する[4]。
菌状息肉症とSezary症候群は、腫瘍細胞の形態と皮膚病変が類似し、菌状息肉症からSezary症候群への移行がみられることから、CTCLとしてまとめられている[5]。 WHO分類2008によると、菌状息肉症の病期は、StageⅠはリンパ節浸潤がないもの、StageⅡは近位のリンパ節転移があるか皮膚に腫瘍があるもの、StageⅢは紅皮症があるもの、StageⅣは末梢血にSezary細胞が出現•遠位リンパ節転移•内蔵浸潤のいずれかがあるものとされている[2]。菌状息肉症が進行してStageⅣになり上記の基準を満たせば、Sezary症候群と診断される。
【参考文献】
[1]Harrison’s Principles of Internal Medicine(17th edition)
[2]WHO血液腫瘍分類 ~WHO分類2008をうまく利用するために〜
[3]Up to date : Treatment of advanced stage (ⅡB to Ⅳ) mycosis fungoides
and Sezary syndrome
[4]Olsen
E, Vonderheid E, Pimpinelli
N, et al. Revisions to the staging and classification of mycosis fungoides and Sezary syndrome: a
proposal of the
International Society
for Cutaneous Lymphomas (ISCL) and the cutaneous lymphoma task force of the
European Organization of Research and Treatment of Cancer (EORTC). Blood 2007;
110:1713.
[5]Edelson RL : Cutaneous T cell
lymphoma ; Mycosis fungoides, Sezary
syndrome, and other variants.J Am Acad
Dermatol 2:89-106,1980
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