1. 重症偽膜性腸炎
重症偽膜性腸炎は以下のような治療適応がある。1)
適応 |
定義 |
治療 |
重症CDI |
内視鏡にて偽膜の証明、あるいは以下2項目以上陽性 60歳以上、体温38.4℃以上、血清Alb<2.5 mg/dl未満、末梢WBC15000 /μl以上 |
バンコマイシン経口 |
治療不応性あるいは劇症型 |
不応性:バンコマイシンやメトロダニゾールに反応しない 劇症型:中腸巨大結腸症や著明WBC増加、血圧低下、臓器障害、全身浮腫などを有する |
バンコマイシン経口 |
麻痺性イレウスの場合あるいは経口バンコマイシン投与が不可能な場合 |
バンコマイシン点滴+メトロニダゾール膣錠挿肛※ 免疫グロブリン 外科的大腸切除 |
※本国ではメトロニダゾール点滴が不可能であるため
2.現在研究中の治療
(1) 受動的免疫療法
重症で難治性のCDADあるいはCDADを再発した患者に対して点滴免疫グロブリン(IVIG)が投与され、治療効果があったという報告がある。2)IVIGがC.difficileによる腸毒性、炎症効果を急速に改善する可能性があることが分かる。
(2) 細菌療法
正常の腸内細菌叢の構成成分であるLactobacillus acidophilusやBifidobacterium bifidusを治療のプロバイオティクスとして用いる。CDAD患者に対して浣腸、大腸内視鏡、十二指腸、十二指腸、NGチューブなどを用いてさまざまな回数糞移植したところ8割程度で改善がみられ、再発・副作用もなかったという報告がある。3)
(3) 陰イオン吸着樹脂
陰イオン吸着樹脂はバンコマイシンとトキシンの両方に吸着するため、バンコマイシン投与の2~3時間後にこれを使用することで、腸の正常細菌叢の再構成を早めることができる。4) CDIのために特別に開発された陰イオン交換樹脂にTolevamerがある。
参考文献
感染症のコントラバーシー (医学書院 岩田健太郎)
1)
Clinical
Practice Guidelines for Clostridium difficile
Infection in Adults: 2010 Update by theSociety for
Healthcare Epidemiology of America (SHEA) and the Infectious Diseases Society ofAmerica (IDSA) •
Stuart H. Cohen
, MD, Dale N. Gerding , MD, Stuart Johnson , MD,
Ciaran P. Kelly, MD, Vivian G. Loo , MD, L. Clifford McDonald , MD, Jacques
Pepin , MD, Mark H. Wilcox ,MD
2)
Intravenous
immunoglobulin therapy for severe Clostridium difficile
colitis.
Salcedo J, Keates S, Pothoulakis
C, Warny M, Castagliuolo I,
LaMont JT, Kelly CP.
3)
Bacteriotherapy using fecal flora: toying with human motions.
Borody TJ, Warren EF, Leis SM, Surace
R, Ashman O, Siarakas S.
4) Binding of Clostridium difficile cytotoxin and vancomycin by anion-exchange resins. Taylor NS, Bartlett JG
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