Non-severe CDI(Clostridium difficile infection)の治療
治療の方針
まず初めに、可能ならば原因となっている抗生物質をなるべく早く中止する。それだけで症状の改善がみられる場合がある。もし、原因となった抗生物質が必要不可欠なものなら、その抗生物質は継続しつつ、C.difficileに有効な抗菌薬を併用する。抗生物質の中止のみでは改善がみられない場合も同様に、C.difficileに有効な抗菌薬を投与する。
C.difficileに対する抗菌薬の選択
成人におけるCDIに対する抗菌薬としては、ランダム比較試験・メタアナライシスにより、メトロニダゾール経口、バンコマイシン経口が有効であると言われている2)3)4)。非重症例のCDIに対してはメトロニダゾールとバンコマイシンは効果に有意差はないとされるが、メトロニダゾールの方が安価であること、バンコマイシンの使用はVRE(Vancomycin-resistant entero-cocci)の発生を助長しかねないことより、第一選択薬としてはメトロニダゾールが推奨される3)5)。代替療法としては、テイコプラニン(アメリカでは使用することができない)がバンコマイシンと同程度の効果を発揮すると言われるが、その有効性についてはまだ実証されていない4)5)6)。
処方例
上記の様に、CDIの非重症例に対する第一選択はメトロニダゾールであるので、バンコマイシンを使用するのは、メトロニダゾールに不耐容(アルコール製剤の使用)、10歳以下の小児や妊婦、メトロニダゾール耐性株による症例である1)。
処方例としては以下のようなものが考えられる1)。
1)メトロニダゾール(250mg)1錠を1日4回、または2錠を1日3回、10日間。
2)バンコマイシン125mgを1日4回経口、10日間。
経口が不能な場合に
3)メトロニダゾール静注500mgを6~8時間毎。
4)バンコマイシン500mgを注射用水20mlに溶解して、200ml以上の生食液か5%ブドウ糖液で希釈し1日4回経直腸的に浣腸かNGチューブで注入。
1)青木眞.レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版.694-695
2) Bricker
E, Garg R, Nelson R, et al. Antibiotic treatment for
Clostridium difficile-associated diarrhea in adults.
Cochrane Database Syst Rev 2005; :CD004610.
3) Teasley DG, Gerding
DN, Olson MM, et al. Prospective randomised trial of
metronidazole versus vancomycin for Clostridium-difficile-associated diarrhoea
and colitis. Lancet 1983; 2:1043.
4) Wenisch C, Parschalk
B, Hasenhündl M, et al. Comparison of vancomycin, teicoplanin,
metronidazole, and fusidic acid for the treatment of
Clostridium difficile-associated diarrhea. Clin Infect Dis 1996; 22:813.
5)Stuart
H.Cohen, Dale N.Gerding, et
al. Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile
Infection in Adults. Infection Control and Hospital Epidemiology 2011; 5: 431-455
6)Allen
C Cheng, John K Ferguson, et al. Australasian Society for Infectious Diseases
guidelines for the diagnosis and treatment of Clostridium difficile
infection. MJA 2011; 194(7): 353-358
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。