これも5年生です。よくできました。
カンジダ血症の診断
カンジダ血症の診断のゴールドスタンダードは、血液培養が陽性であり、疑いのある患者全員に行うべきである1,2)。また、皮膚病変や実質性病変を有する患者において、染色、培養、および病理組織学的評価をするために、生検を行う必要がある。血液培養の欠点としてまず感度があまりよくないことが挙げられる。剖検でカンジダ症を播種していることが判明した患者の約50%のみ血液培養で陽性を示した3)。結果が判定するまでに時間を要することも欠点である。通常1〜3日が培養に要し、同定のためにさらに1〜2日間に必要とされることであり、従って、重症患者の場合にはより迅速かつより高感度の技術が不可欠である。酵母をの増殖を早める培養液BacT/Alert systemを用いるとより短時間で検出できるようになる4)。 一般的なカンジダ種の同定のための時間短縮のテクニックとして、ボトルで血液培養を一度行い、酵母が現れた後、ボトルの内容物の塗抹標本にして観察する方法がある。また、血液培養が陽性サ ンプルを(PNA - FISH)in situハイブリダイゼーで染色することによってC. albicans とC. glabrataを数時間以内に同定することができる5)。上述のように血液培養の欠点として感度が低いことと時間がかかることであり、これを解決するためには検査前確立を高める補助診断の方法やと経験的治療開始となる目安が必要である。現在よく補助的な判断材料として汎用されているのは、真菌の細胞壁を構成しているbeta-D-glucanを検出することである。ただし、これはカンジダ特異的なものではない。アメリカの多施設によって行われた試験では真菌感染症患者に対するbeta-D-glucanによる検査の感度,特異度はそれぞれCutoff値が 60pg/mlの時 69.9%、87.1%で、80pg/mlの時64.4%、92.4%であり、これらの患者の中でカンジダ症患者に対する感度は81.3%および77.6%であった6)。その他にルーチンではやられていないが、PCRを利用したカンジダの核酸を検出する方法(感度 95%、特異度92%)がある7)。
患者が視機能障害を残さないためにはカンジダ血症を血液培養の結果が出る前から早期に治療開始する経験的治療を考える上で必要となる侵襲性カンジダ症のリスクファクターとして、皮膚または眼病変の存在、病気の激しさ、Candida colonization、投与した広域スペクトル抗菌薬の種類数と投与時間、手術の種類特に腸管の手術、透析、非経口的栄養投与、ICUの滞在時間が挙げられ2)、また、数値化された治療開始の目安のCandida scoreを利用することもできる。Candida score =1x (複数ヶ所colonization) + 1 x (手術) +2 x (severe sepsis) +1 x (Total
Parenteral Nutrition)Cut off値2.5以上でカンジダ治療開始基準で、感度 81%、特異度74%である8)。
その他の関連事項として皮膚や組織の生検サンプルの培養やグラム染色、真菌染色も確定診断に重要である1)。また、カンジダ血症が確定した後、脈絡網膜炎のための眼科の検査を受けることが推奨されている1,2)。
1) UpToDate,
Clinical manifestations and diagnosis of candidemia and invasive candidiasis in
adults, Last literature review version 19.1: Jan. 2011, last
updated: 16,Oct,2009
2)
IDSAカンジダ症治療ガイドライン2010
3) Hart PD, et al. The compromised host and
infection. II. Deep fungal infection. J Infect Dis 1969; 120:169.
4) Wilson ML, et al. Controlled comparison of
the BACTEC high-blood-volume fungal medium, BACTEC Plus 26 aerobic blood
culture bottle, and 10-milliliter isolator blood culture system for detection
of fungemia and bacteremia. J Clin Microbiol 1993; 31:865.
5) Shepard
JR, et al. Multicenter evaluation of the Candida albicans/Candida glabrata
peptide nucleic acid fluorescent in situ hybridization method for simultaneous
dual-color identification of C. albicans and C. glabrata directly from blood
culture bottles. J Clin Microbiol 2008; 46:50.
6) Ostrosky-Zeichner L, et al. Multicenter
clinical evaluation of the (1-->3) beta-D-glucan assay as an aid to
diagnosis of fungal infections in humans. Clin Infect Dis 2005; 41:654.
7) Avni T, et al. PCR diagnosis of
invasive candidiasis: systematic review and meta-analysis. . J Clin
Microbiol. 2011 Feb;49(2):665-70
8)
León C, et al. A bedside scoring
system ("Candida score") for early antifungal treatment in
nonneutropenic critically ill patients with Candida colonization. Crit Care
Med. 2006 Mar;34(3):730-7.
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