これは5年生のレポート。少々まとまりが悪いけれども、まあ5年生としてはがんばったほうでしょう。
感染症内科課題レポート
太
右心系の感染性心内膜炎のマネージメントについて
l 感染性心内膜炎の診断
大基準:血液培養…①典型的な心内膜炎の起炎菌が別々に採取された血液培養で陽性(2セット陽性またはそれ以上)。あるいは②持続的に陽性の血液培養。あるいは③Coxiella burnetiiが血液培養で一度検出されるか本菌に対するphase 1 IgG anti bodyの抗体価が>1:800。
心エコー陽性…①弁あるいは弁の支持組織、あるいは血液が逆流する通路、人工弁などに付着した心臓内の腫瘤が心臓の収縮に合わせて動いている。しかも疣贅の可能性以外に適切な説明が不可能。②膿瘍。③新たに人工弁が部分的に外れかかっている。
小基準:①疾病素因(疾病になりやすい心臓の状態、または麻薬静注)。②38℃以上の発熱。③免疫学的現象(糸球体腎炎、Osler結節、Roth斑、リウマチ因子)。④血管病変(主要動脈の塞栓、敗血症性肺梗塞、感染性動脈瘤、頭蓋内出血)。⑤微生物学的証拠(上記は満たさないが血液培養陽性)。
2つの大基準、もしくは1つの大基準と3つの小基準、あるいは5つの小基準の証明により確実な心内膜炎の臨床診断を与える。(1)
⇒右心系の感染性心内膜炎は、麻薬静注による心内膜炎や植込み型除細動機関連の心内膜炎によくみられる。左心系の感染性心内膜炎では、経胸腔心エコー(TTE)による診断の感度が65%、経食道心エコー(TEE)による診断の感度は90%以上であるため、TTEだけでは除外できず、TTEで疣贅を認めない場合にはTEEを施行すべきである。しかし、右心系の心内膜炎において、TEEとTTEの感度は同程度とも言われており(3)、TTEで疣贅の有無の判断ができるかもしれない。
l 右心系の感染性心内膜炎の治療について
感染性心内膜炎の死亡率は25~40%と高く、現在心内膜炎の治療は、4−6週間の抗菌薬治療が推奨されている。しかし右心系の心内膜炎を持つ患者に対して、短期間の治療でも完治するという報告もある。(2)研究では、ナフシリンとトブラマイシンの2剤による2週間の短期間投与により94%の患者が治療された。(2)また、他の研究でも右心系心内膜炎患者に対する非経口剤の短期間投与によって90%以上の患者が治癒したという結果がある。(2)これらのことから、MRSAや心不全・弁輪部膿瘍などのcomplicationでない、S.aureusによる右心系の心内膜炎の患者に対しては2週間の短期間投与でも治療が可能であると考えられる。
・三尖弁の感染であり、大動脈弁や僧帽弁領域に感染が及んでいない。
・S.aureusによる心内膜炎であり、βラクタム系薬剤に対する感受性が高い。
・社会的、論理的に長期間の治療が困難または不可能である。
・外来治療によるフォローや治療効果のモニタリングが可能である。
これらの以下の基準を満たすような患者の場合は、短期間治療の候補者となりうると考えられる。(4)
-参考文献- (1)ハリソン内科学 第3版
(2)Therapy for Infective Endocarditis(Mandell,
Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseasesより)
(3)Infective Endocarditis(Mandell, Douglas,
and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseasesより)
(4)Infective endocarditis in injection drug
users(UpToDateより)
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