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投稿情報: 09:32 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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学生がウィキペディアを引用して良いか?という命題がある。多くの先生はこれを禁じている(アメリカでも同じ)。
僕の態度は、「別にいいですよ。ただし、引用していることが明示されていれば」である。基本的に内田樹さんと同じスタンスである。
http://blog.tatsuru.com/2011/01/09_1554.php
実のところ、僕もウィキペディアとかGoogleとかをもの調べによく使う。特に専門領域外ではとても便利なので重宝している。確かに、間違いはあるのかも知れないが、なにしろ便利さが極端に強くなってしまうので仕方ないのである。前にレイプ後の対応について文章を書いたことがある。このとき、僕は「レイプの定義」についてウィキペディアを参照し、その旨明記した。レイプの定義はひとそれぞれでそこでもめても仕方がないので、ウィキペディアではこうなっています、とさらりと書いたのである(僕の興味はその後の対応であって、「定義」することではなかったのです)。情報とは、要するに「使えれば」それでいいのである。
リスクは吟味したり認識するものである。リスクは否定してはいけない。リスクは多かれ少なかれ、どの領域にもなんにでもある。リスクは否定するのではなく、受け入れて、利益とバランスをとるのがよい。音楽やスポーツや文学やなにやらの情報収集をするとき、ウィキペディアのもたらす利益はリスクよりもずっとずっと大きい、、、ことが多い。
そんなことを言ったらエンサイクロペディア・ブリタニカなら間違えないのか?とか広辞苑なら大丈夫か?という「権威を盲信できるか」という命題になってしまう。たぶん、そういう「権威ある」文献でも間違い(や見解の相違)はあるだろう。New England Journal of Medicineに載った論文でもきちんと批判的に読むのが大事で決して盲信してはダメである。The Lancetに掲載された論文でもでっち上げだったりするのである(麻疹・自閉症論文騒ぎを参照)。誤謬の可能性を頭のどこかにおいておいて、バランスをとって用いるしかないのである。
もちろん、ウィキペディアしか引用しない学生は僕にその知的運用性や常識や情報収集能力に強い疑いを持たれてしまうだろう。そのようなリスクをあえて侵してもまともなレポートが書けるかどうか、、、である。その可能性はきわめて小さいと思うが、あえてイバラの道を選んだ学生を否定するつもりはない。医学生は基本的に「大人」として扱いたい。
ウィキペディアを引用した学生は否定しないが、「自分の言葉をもたない」レポートはたいていやり直しにしている。「UpToDateにこう書いてありました」「で、君はどう思うの?」「さあ、、、でもUpToDateに、、、」「悪いけどやりなおしです」。今年度も何度学生とこのようなやり取りをしただろう。自分の言葉を使っていなければ、New EnglandをひこうがNatureをひこうが関係ない。やりなおしである。それは、かつて僕らの先達たちがやっていた(今でもやっている)「うちの教授はこう言ってるんです」と論理的になんの代わりもない、知性の放棄である。
1月12日付の朝日新聞(杉本崇氏の署名記事)で、「性感染症、のどからも感染の恐れ 厚労相研究班」という記事がある。
引用(朝日新聞の記事を引用するのも、僕は否定しない)
淋病(りんびょう)やクラミジアなどの性感染症は、性器だけでなく、のども温床になっていることが、厚生労働省研究班などの調査でわかった。自覚症状がないまま、オーラルセックス(口を使った性行為)で広がる危険がある。
引用終わり
淋菌がのどにキャリア化して感染の懸念となることなんて1970年代には(あるいはそれ以前から)知られていたことである。クラミジアの咽頭キャリアかも周知の事実だ。そんなことはちょっと教科書かデータベースを検索すればすぐ分かることである。今回、それが日本の調査でも追認された、というだけの話である。これは先に読売新聞が経鼻インフルエンザワクチンの「開発」を記事にしたときと同じ構造だ。経鼻ワクチンもすでに実用化されている。いまさら「開発」といわれても仕様がない。それは新聞社の内的なプロトコルは満たし、コンプライアンスに問題がないとしても、限りなく文脈を欠いた記事である。文脈を無視して言葉を使うことができるのか?
日本の医学記事(科学記事)はこのような記者クラブ的な「だれだれさんがこう言っていました」というのが多い。そこには背景(バックグラウンド)の勉強も周辺の文脈の吟味もない。自分の言葉もない。ただただ、偉い人が(たぶん)リークした学術成果をそのまま「コピペ」しているだけである。神戸大の医学生でも、もう少しましなことをやる(ことが多い)。
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僕も知らなかったのだが、ウイルス除去療法というのがいつの間にか保険収載されている。
2007年のスタディーではSVRは統計的有意差なし。2010年ではノンレスポンダーの4割くらいでcEVR。さて、これをどのように利用すべきか。
Efficacy and safety of double filtration plasmapheresis in combination with interferon therapy for chronic hepatitis C.
Hep Res 2010 PMID 20880058
Double filtration plasmapheresis and interferon combination therapy for chronic hepatitis C patients with genotype 1 and high viral load.
Hep Res 2007 PMID 17573947
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減る。という後向き研究。adjusted effectiveness 91.5% (61.7-98.1)
Influenza vaccine given to pregnant women reduces hospitalization due to influenza in their infants.
CID 2010 PMID 21058908
投稿情報: 10:04 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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上がる。そうかなあ、と思っていたことがやっぱりそうだったというメタ分析。
The Effect of Tuberculosis on Mortality in HIV Positive People: A Meta-Analysis.
PloS one 2010 PMID 21209936
投稿情報: 10:01 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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Quadrivalent human papillomavirus vaccination and trends in genital warts in Australia: analysis of national sentinel surveillance data
Lancet Infect Dis 2011 PMID 21067976
オーストラリアで採用しているのはガーダシルだけなんですって。イボを減らせるかどうか(サーヴァリックスは減らせないので)評価。打った後は減りました。ヘテロセクシャルな男性のイボも減りました。なるほど。
Anal sexually transmitted infections and risk of HIV infection in homosexual men.
JAIDS 2010 PMID 19734801
ちなみに肛門部のイボはHIV感染のリスクを増す。ヘルペスだけではないのです。
投稿情報: 09:59 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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DHHSガイドラインが改定されたばかり。
Guidelines for the use of antiretroviral agents in HIV-infected adults and adolescents.
http://www.aidsinfo.nih.gov/guidelines/
しかし、クリプトコッカス髄膜炎罹患者に特化したARTスタート時期は不明。どうすれば?
Cryptococcal immune reconstitution inflammatory syndrome after antiretroviral therapy in AIDS patients with cryptococcal meningitis: a prospective multicenter study.
CID 2009 PMID 19681708
タイの小さなスタディーではあまり関係なさそう。
Early versus delayed initiation of antiretroviral therapy for concurrent HIV infection and cryptococcal meningitis in sub-saharan Africa.
CID 2010 PMID 20415574
サハラ以南アフリカではearly ARTでえらく死亡率が高い。ただし、遅らせても死亡率が高い。ただ、earlyの基準が72時間以内、lateの基準が10週間以上と差がありすぎる。中学生未満とおばーちゃん、どっちが好み?みたいだ(すみません、こういう不遜な例えしか思いつきませんでした)。
Immune reconstitution inflammatory syndrome in HIV-associated cryptococcal meningitis: a prospective study.
JAIDS 2009 PMID 19365271
IRIS起きたケースとそうでないケースを比較。ART開始には差がなし。
Early antiretroviral therapy reduces AIDS progression/death in individuals with acute opportunistic infections: a multicenter randomized strategy trial.
PlosOne 2009 PMID 19440326
いちおう2週間ちょいをearlyとしたら、雰囲気としてはearlyのほうが予後がよさそう(nを集めれば)。
結局どうすれば良いのか?僕ならいろんな人に相談すると思います。ご意見ある方、教えてください。
投稿情報: 09:52 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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Lancet Infectious Diseasesのスタディー。これまでよく分からなかった9ヶ月から3歳までのインフルエンザワクチンのeffectivenessをコホート研究。診断は微生物学的に行った。o.5ml。過去に接種歴があれば接種は一回だけ。インフルエンザ罹患をアウトカムにしてeffectivenessは66%(29-84, p=0.003)。二歳未満でも結果は同じ。
同じ誌上でエンドトキシン吸着療法の評価論文も。こちらも興味深い。
科学論文は一回のスタディーの結果で結論はつけられない。わが意に沿う論文もそうでない論文も等しく見るのが、誠実なプロの態度。
投稿情報: 16:19 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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Re-Evaluating the Treatment of Nongonococcal Urethritis: Emphasizing Emerging Pathogens-A Randomized Clinical Trial
Clinical Infectious Diseases 2011;52(2):163–170
非淋菌性尿道炎。ヘテロセクシャル男性、non-HIVに対して。セッティングはアメリカのSTDクリニック。ドキシ、ドキシ+tinidazole、アジスロ、アジスロ+tinidazoleでトリコモナスを考慮に入れている。
クラミジアが30%, M. genitaliumが20%、トリコモナス6%、何も見つからず30%(!)。臨床的治癒率は大体7割で差はなし。トリコモナスが出た群でも差がなし。クラミジアの微生物学的治癒率(?)ドキシのほうがいいが、マイコではアジスロの方がいい。ただし、出しているのは遺伝子なので、そこが問題。あとは副作用。
日本の疫学が不明なのと、HIV入っていないのでアプリカビリティーは課題となった。
投稿情報: 08:49 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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