BSLレポート
VAPの予防法には何があるか?
私の担当患者はXXX人工呼吸器関連肺炎(VAP)となった患者である。そこで、院内感染症であるVAPをふせぐことはできなかったのか疑問に思い、VAPの予防方法は何があるのかを調べた。
1つめは、すべての医療従事者及び患者家族は、以下の場合に確実に手洗いを行うというものである。 1) 患者診療区域に入る前 2) 患者に接触する前 3) 患者体液・分泌物に触れたあと 4) 患者から離れたあと 5) 患者診療区域から出たあと。また、医療従事者は呼吸回路の接触前後にも手洗いを行う。
2つめは人工呼吸器回路を頻回に交換しないということだ。人工呼吸器回路を開放させると、回路内腔を通じた下気道汚染の危険性が高まる。決して定期的な回路交換を禁止するものではないが、7日未満での交換は推奨しない。 回路内に水滴がたまっている場合は、発見した時または体位交換前に無菌的な手技で除去する。
3つめは適切な鎮静鎮痛を図り、特に過鎮静を避けるということだ。過鎮静は人工呼吸期間延長の原因となりVAPの発生頻度を増す。鎮静スケールははRichmond Agitation-Sedation Scale (RASS)の使用が推奨されており、RASSスコアがー3~0となるように投与量を調節する。
4つめは、人工呼吸器からの離脱ができるかどうか毎日評価するというものだ。気管挿管自体がVAPのリスクなのでその期間を短縮するため、離脱のプロトコルを各施設で定めて定期的に評価する。また自発呼吸トライアル(SBT)を用いて一日一回離脱の可能性を検討する。その結果を医療スタッフで共有する。SBT合格なら気管チューブ抜去の手順に進み、SBT不合格の場合であっても翌日また再評価する。
5つめは人工呼吸中の患者を仰臥位で管理しないということである。仰臥位となると胃内容物が口腔咽頭に逆流し、VAPの発症率が増加する。禁忌でない限り、30度を目安に患者の頭位を上げる。また医療スタッフが定期的に頭位を確認する。
〈参考文献〉
人工呼吸関連肺炎予防バンドル2010改訂版(日本集中治療医学会、ICU機能評価委員会)
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