S.lugdunensisによる化膿性関節炎の治療期間はどのくらいが妥当か
<序論>
化膿性関節炎の治療において、S.lugdunensisが原因菌であった場合の治療期間はどのくらいに設定すべきか興味を持ち調べた。
<本論>
S.lugddunensis感染による化膿性関節炎に対して行われた治療について、幾つかのケースレポートを参照した。
過去に既往歴のない28歳男性の例では、1・3日目に洗浄が行われ、抗菌薬療法としてはバンコマイシンの静脈投与4日間ののちクリンダマイシン静脈投与3日間、その後3週間の経口クリンダマイシン投与で3週目に臨床症状が改善した。(1)
同じく関節疾患のない57歳女性の例では、1-3日目に関節吸引、9・12日目にデブリドマンとともに関節鏡検査が行われ、セファゾリンとリファンピシンの26日間投与ののち、退院した。退院後3週間は外来にてセファゾリンの静脈投与、在宅にて経口リファンピシンが内服された。これはメチシリン感受性コアグラーゼ陰性人工弁ブドウ球菌心内膜炎に準じた治療である。(2)
関節リウマチのある79歳男性の例では、クロキサシリン6日間静脈内投与、その後フルクロキサシリン1gが日3回6週間経口投与、ルクロキサシリン0.5gが日3回7ヶ月間投与された。(3)
関節リウマチのある74歳男性の例では、フルクロキサシリンとフシジン酸ナトリウムの静脈投与が16週間行われた。(4)
<結論
S.lugdunensis感染による化膿性関節炎治療に関する研究データはなく、一定の治療期間を結論付けるのに有用なデータは見つけられなかった。
<参考文献>
1) Danielle Tan,1 Donna Moritz,2 and Alfredo J. Mena Lora,”S. lugdunensis Native-Joint Septic Arthritis: Case Report and Review of the Literature” Case Report | Open Access
Volume 2017 |Article ID 8903907 | 3 pages
2) Grupper, I. Potasman, I. Rosner, G. Slobodin, and M. Rozenbaum, “Septic arthritis due to Staphylococcus lugdunensis in a native joint,” Rheumatology International, vol. 30, no. 9, pp. 1231–1233, 2010.
3)Kragsbjerg, J. Bomfim-Loogna, E. Törnqvist, and B. Söderquist, “Development of antimicrobial resistance in Staphylococcus lugdunensis during treatment-report of a case of bacterial arthritis, vertebral osteomyelitis and infective endocarditis,” Clinical Microbiology and Infection, vol. 6, no. 9, pp. 496–499, 2000.
4)M. Rose, J. Barnett, S. Morris-Jones, and D. J. B. Marks, “Staphylococcus lugdunensis septic arthritis and epidural abscess in a patient with rheumatoid arthritis receiving anti-tumour necrosis factor therapy,” Rheumatology, vol. 53, no. 12, p. 2231, 2014.
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