「頭蓋底骨髄炎の発症機序について」
頭蓋底骨髄炎は悪性外耳道炎とも呼ばれ、多くは Pseudomonas による側頭骨の骨髄炎で ある。軟部組織,軟骨,骨が全て侵される。骨髄炎は頭蓋底に沿って広がり,脳神経障害を 引き起こすことがあり,正中線を越えることもある。
悪性外耳道炎は主として,高齢の糖尿病患者または易感染性患者に生じる。しばしば Pseudomonas による外耳炎によって発症するが、メチシリン耐性⻩色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus ,MRSA)も原因として同定されている。
持続性で重度の深部の耳痛、悪臭を伴う膿性耳漏、外耳道の肉芽組織、または露出した骨 などが特徴である。様々な程度の伝音難聴が起こりうる。重症例では、侵食性で、生命を脅 かす可能性があり、感染が茎乳突孔から頸静脈孔、さらに頭蓋底(頭蓋底骨髄炎)に沿って 広がるにつれ、顔面神経麻痺、およびさらに下位の脳神経麻痺(第 9,第 10,または第 11 脳神経)が続発する場合がある。
MSD マニュアル プロフェッショナル版
Bradley W. Kesser , MD, University of Virginia School of Medicine
悪性外耳道炎はもともとは高齢の糖尿病患者において報告され、現在も大半の症例は高 齢糖尿病患者である。しかし、AIDS 患者や免疫不全のない患者においても報告されている。 通常は聴力の低下や耳の痛みを呈する。外耳道にはほぼ確実に炎症があり、肉芽組織と浸出 液を伴う。全身症状を認める患者は少ない。診断が遅れた患者では、脳神経麻痺や海綿静脈 洞血栓症を呈することもある。
緑膿菌性外耳道炎の診断は、重症例では臨床的に行うが、標準としてはテクネチウム 99m 骨シンチグラフィで陽性所見がある。
ハリソン内科学 第 5 版
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