“感染性動脈瘤に対する外科的治療を受けなかった人の転機はどうか”
序論:XX感染性大動脈瘤拡大に対し、XXX。手術適応とならない症例、または外科的侵襲を望まない方の場合の転帰はどのようなものか、疑問に思ったので調べた。
本論:感染性大動脈瘤に対する血管内修復術の治療的見解を述べた論文では、2006年9月から2011年6月の間に、血管内ステントグラフト内挿術を受けた患者12名についてまとめられていた。10例が血液培養陽性で、起炎菌はサルモネラが8例、肺炎桿菌1例、大腸菌1例であった。全例血管内治療の前に、4-6週間抗生物質投与を受けた。結果、治療介入後30日以内には死亡例はなかったが、1例は虚血性脳卒中を起こし、動脈バイパス術を行った。また、2例は感染性動脈瘤周囲の膿瘍に対し外科的ドレナージを行った。以降の転帰としては、2例が死亡、3例で感染合併が見られ、うち1例は大動脈置換を行った。
また、頭蓋内の感染性脳動脈瘤の治療戦略について述べた論文では、2001年から2015年の間に経験した25名の患者について、その転帰がまとめられていた。7例は主幹動脈閉塞があり、それに対し5例がNBCA(N-butyl-2-cyanoacrylate)硬化療法を、2例はコイル塞栓による治療を受けた。また、4例が外科的手術により治療された。24例は血液培養で起炎菌が特定され、B群連鎖球菌が40%と最多であった。全ての患者が4-6週間にわたって抗生物質投与を受け、13例は静脈内投与のみで治療が奏功した。治療に反応した動脈瘤の平均の大きさは4.1±2.2mmであり、反応しなかった瘤の大きさに対し有意に小さかった。
結論:感染性動脈瘤に対する治療は、外科的治療を受けるか否かに関わらず、まずは抗生物質投与を受けることが、予後に関わると考える。ただし、抗生物質治療に反応しない大きさ、または破裂した感染性動脈瘤の場合は、早急な外科的介入を検討する必要がある。
また、大動脈瘤に対する血管内治療は、保存的治療として実行可能な治療選択肢であるが、感染性病巣に対する積極的な外科的ドレナージを併せることにより、より良い予後が得られると考える。
参考文献:
日本循環器学会 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2011
Huang YK et al.:「Therapeutic opinion on endovascular repair for mycotic aortic aneurysm.」(Annals of Vascular Surgery Volume 28, Issue 3, April 2014, Pages 579-589)
Park W et al.:「Treatment Strategy Based on Experience of Treating Intracranial Infectious Aneurysms.」(World Neurosurgery Volume 97, January 2017, Pages 351-359)
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