耐性菌が続出している現代でもCRBSIが疑われた際にはVCMが第一選択として正しいのか
今回、自分が担当させていただいた患者はXXX。そこでCRBSIが疑われたためにカテーテル抜去、VCMを投与したが、いまだに発熱が続いているのでVCM耐性菌の可能性を考え、CQを上記のように定めた。
CRBSIの原因菌として多いのは皮膚常在菌である黄色ブドウ球菌である。今まではMRSAを想定してVCMが第一選択薬であったが、現在ではVCMに対する耐性菌の報告が増加している。
現在、抗MRSA薬として承認されているものは、VCM、TEIC、ABK、LZD、DAPがある。
・VCM→奏功している報告が多数あり、耐性菌も他の抗MRSA薬と比較するとあまり見られなかったが、腎毒性があり、さらにはTDMが必要となる。
・TEIC→VCMと同系統ではあるが、VCMより優れているというデータがないため、第一選択とはならない。
・ABK→殺菌性は高いが、耐性菌出現率が高い。
・LZD→TDMが不要で使いやすいが、最も高価で殺菌性も他剤と比べるとやや劣るため他剤無効の際に選択される。
・DAP→最新の抗MRSA薬。VCMと比べてバイオフィルム内のMRSAに対する有効性が高く、腎毒性も少ない。ただ、DAPは肺サーファクタントで不活化されるため肺炎患者には使用できない。
また、参照した論文の中でVCMにて臨床症状が改善されなかったために、VCM投与を中止してDAPに変更したところ、症状が改善されたという報告があった。さらに、VCMの先行投与の後に、DAPを使用した場合、DAPの感受性が低下し、有効性が低下するとの報告もある。
以上より、肺炎患者に使用できないなどのいくつかの制限はあるが、適応である場合にはVCMよりもDAPを第一選択として推奨されるべきではないかと考えた。
参照
・「Treating Central Catheter-Associated Bacteremia Due to Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus : Beyond Vancomycin」
Holt Shannon,Thompson-Brazil Kelly A,Sparks E Ryan,Lipetzky Juliana
Critical care nurse 2016Aug01 Vol.36 isue(4)
・「抗MRSA薬、最近の進歩」
昭和大学 内科学臨床感染症学部門教授 二木 芳人
寸評 コメントすべきことはいろいろありましたね。が、ネットに上げるのはどうかと思うので、ここではノーコメント。
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