D「次に、このルーチンをもっと広げてみよう」
S「と、いいますと?」
D「カテの挿入の有無の確認、カテの刺入部の炎症の有無の確認をしたら、次に「カテの必要の有無の確認」をするんだ」
S「なるほど!」
D「漫然と末梢カテーテルや尿カテーテルが入っている患者って実に多いだろ。そして、デバイスを外すチャンスがあるのに、みすみす逃している。毎日逃している。漫然と患者を見ているからだ。もっとキリキリとメリハリを付けて患者をみないから、そうなる」
S「ええ」
D「毎日「本当にこのカテ必要かな」と思っていれば、必要ないカテの抜去は早い。経口薬へのスイッチも積極的に考えるようになる。漫然と患者見ている医者は、カテーテルも漫然と挿入している。そうこうしているうちに感染症が起きて、また退院のチャンスを逃してしまう」
S「そうですねえ」
D「もっというならば、入院プランももっとメリハリ付けるべきだ。入院「初日」に退院プランを考えろ。毎日、「この患者を退院させるためにはあと何と何が必要かな」と考える習慣をつけさせろ。必死に患者の退院条件を日々考えている医者と、漫然と入院治療をさせてる医者では入院期間がぜんぜん違う。病院の診療報酬にも影響するし」
S「いちおう、病院経営にも気を使ってるんですね」
D「病院が潰れたら、また就職先探さなきゃいけないだろ」
S「そうそう、病院なんて潰れませんって」
D「それが無計画ってことだ。病院だって、開院する時から、ずっと先の運営までビジョンを持っとかなきゃダメなんだぞ」
S「案外、いろいろ考えてますね」
D「案外、言うな。いちおう、ファイナンシャル・プランナーの資格も持ってる」
S「でた、マジック・リアリズム」
第84回「指差し点検をしよう 毎日しよう」その2 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。