D「研修病院で一番大事なことは、なんだ?」
S「さあ」
D「研修医が「患者を殺さない、自分が死なない」ようにすることだ。これが最低クリアしなきゃいけない、死守すべき鉄則だ」
S「D先生にしては、カッコイイこといいますね」
D「他人の受け売りだ~!O病院のM先生が言ってたんだけど」
S「ああ、M先生なら似合いますね、こういうカッコイイ台詞」
D「なんか、さらっと毒を吐いただろ、お前。とにかく、研修医が患者を殺さないようにするのは最低限の「病院に課せられた義務だ」。病院が、研修医にミスをさせない義務を持つんだ。そして、研修医が死んでしまうことも絶対に避けなければならない。文字通りの意味で死なせてもならないし、社会的に殺すのも、だめだ」
S「はい、そのとおりだと思います」
D「だから、病院は、そして俺たち指導医は、研修医を絶対に守り抜く義務がある。彼ら「が」殺さないように、彼ら「を」殺さないように」
S「おっしゃるとおりですね」
D「それができて、初めて研修病院は真の意味で研修病院になれる。また、それができない研修病院はどんなに名のあるブランド病院でも先は短い。研修医を大事にしない、使い捨てにするような病院からは研修医のほうが「立ち去っていく」。それは研修病院にとっても滅びの道だ。研修医あっての研修病院なんだから、研修医を大事にしなきゃ、だめなんだよ」
S「D先生、感激しました。いつも口が悪いので、ついでに顔も悪いので、誤解してましたが、先生は本当に研修医のことを考えていたんですね~」
D「顔は関係ないだろ!」
S「でも、変ですね。D先生は記者会見になっても「大丈夫」って断言してたじゃないですか。それはどうしてですか?」
D「それはだなあ」
A「S先生、D先生、聞きましたか?院長が記者会見で、「研修医個人の落ち度ではなく、病院全体のシステムの問題だ」と明言し、研修医を守りましたよ!見直しましたねえ。保身の権化みたいな院長だと思ってたのに」
S「ほんとか?確かに意外だなあ。それよりも、D先生、ひょっとしてこうなることが分かってたんですか?」
D「当たり前だ。未来を見通す展望力は立派な臨床力だ」
S「でも、いったい、どうして?」
D「A先生がいみじくも言ってたろ。病院長は保身の権化みたいなヤツだって」
S「ええ、、、、はっ!D先生、まさか、、、」
D「ふふふふふ、俺の草の者たちは優秀なのだよ、、」
S「がーん」
第62回「絶対に研修医は守り抜け」その2 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも「保守の権化みたいな院長」も架空の存在です。
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