S「いや~、もうすぐ学会シーズンですね。学会発表の研修医たちを指導するのって大変ですよねえ」
D「へえ、そんなにたくさん研修医たちは発表すんの?」
S「知らないんですか?ウチの科は研修医、全員発表することになってるんですよ」
D「そうだったっけ?でも、なかには発表のネタがない研修医もいるだろうし、忙しい診療のさなかにまとめる時間もないんじゃないか?」
S「まあ、そうですけどね。研修医にも器用なのと不器用なのがいますし、アイディア豊富な研修医もそうでない研修医もいます。いずれにしても、まだ研究方法とかは教わってない研修医ばかりですから、まずは手堅く症例報告。ちょっと軽めの症例で場数を踏んでもらおうと思ってます」
D「軽めの症例?なんだそれ?」
S「そうですね、ちょっと珍しい菌の感染症とか、新しい治療が奏効した症例とか」
D「やめじゃ、やめじゃ!そんな報告、全部やめてしまえええ」
S「殿、ご乱心?」
D「乱心なんぞしとらんわい。なんだ、聞いてみれば、要するに学会発表を目的化しているだけじゃないか」
S「いや、まあ、目的化とか言われちゃうと、、、教育の一環ですよ」
D「だって、発表の質は担保してないんだろ。教育でも何でもないじゃないか」
S「いや、だから発表の経験を積むという経験をですね、、」
D「風邪に抗菌薬出す経験を何十年繰り返したってダメなプラクティスはダメなプラクティスなんだよ~。質の低い経験の積み重ねは、単に馬鹿でかい低品質を生むだけだ」
S「いや、そんなこというと風邪には抗生剤でしょ、的な先生から反発食いますよ」
D「そんな医者がこのブログを読んでるわけない。よしんば読んでいたとしても、もうとっくに反発食らってるはずだ。反発が怖くて俺様やってられるか!」
S「そこは、とても納得です」
D「日本では学会発表デビュー戦を舐め過ぎなんだよ。デビュー戦こそが真剣勝負。徹底的に質にこだわり抜くべきなんだ。ここで手を抜いたら、一生手を抜き続けるだろうが。事例は枚挙に暇がない!」
S「いや、それもぼくの口からはなんとも、、、、」
第51回「学会発表デビューは真剣にやろう」その1 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
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