愛読していたMedically Important Fungiの翻訳を吉田敦先生たちがなられた。推薦文を書いたので、こちらにも転載する。密林からは手にはいらにゃいんですかね。
感染症は、見た目、である。もちろん、見た目が全てではない。しかし、感染症学領域の相当部分を形態学、博物学、分類学的な要素が占めている。だから、「見た目」は大事なのだ。
「モナリザ」を一度も見たことがない人に、モナリザがどういうものか説明するのは、案外難しい。ダ・ヴィンチとゴッホとセザンヌの違いを説明するのは、さらに難しい。ただ見ているだけではダメで、識者の説明と、「識者が見ているような視線」の追体験を必要とする。
医療行為を含む、様々なタイプの免疫抑制者が増加し、真菌感染症の重要性はかつてないほど高まっている。今後もさらに高まることであろう。しかし、真菌の形態はとっつきにくい。「識者の目」は一朝一夕には得難い。その、得難い「目」に一番近い距離にあるのが、本書であるとぼくは思う。「あれ」と「これ」の違いを、シンプルな図と、短く要約した文章で説明する。
ぼくは感染症フェロー時代、本書を愛用していた。日本語版の登場を、心から喜ぶ次第である。
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