献本御礼
「考え方、使い方」シリーズもずいぶん増えましたね。加島先生の「漢方薬の考え方、使い方」はこの「考え方」に十分留意した本である。それは、シリーズ当初から徹底しているコンセプトだ、たぶん。
本書は、加島先生の懸命な軟らかい語り口やジョークにも関わらず、決して読みやすくはない。著者の超人的な知識量や知性がほとばしり、入門書におさまらない爆発的な内容になってしまっているからである。軽い気持ちで本書を開いた読者はその圧倒的な知識量と理路の深さに呆然とし、黙って本書を閉じてしまうだろう。
だから、本書全部をいきなり理解しようとしない方がよいとぼくは思う。まずは通読することが大事である。そのリズムを感じ取ることが、多分大事なのだ。リズムさえ楽しむことができれば、内容が理解できるかどうかは、本質的な問題ではない。本書を繰り返し繰り返し開くという動機づけができれば、内容はいずれはついてくるものだからだ(たぶん)。症候や疾患ごとの分類表が、そのときにとても有用になってくれるはずである。
個人的には第2章の「漢方とは何か?」と、第8章の「日本漢方の構造と意義」に深く感じ入りました。この2章だけでも本書を読んでよかったという実感が得られるはずです。
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