FBに書いた文章。ブログにアップし、一般化するよう要請があったので、こちらに編集して再掲。
研修医のうちに変な癖をつけないのはとても大事なのです。まわりの医者がやっているからといって真似をしてはいけません。以下、一般論なので特定の研修医へのメッセージではありません。
・コメディカルにぞんざいな口をきくのをカッコイイとか偉くなった証拠とか思ってはいけません。とくに年長者には敬語が常識です。こういう勘違いする研修医を、コメディカルは影で嗤ってますが、決して本人には伝えてくれません。伝えてくれるのは、3年目くらいまでです。
・上司に隠れて勝手な処方や検査をやるのを「必要悪」と思ってはいけません。上司の決定に不満なら、ちゃんと対峙して是正をせまるべきです。その覚悟がないなら、上司の言うことを聞きましょう。
・締め切りを遅らせるのを「当たり前」とか「仕方がない」とか思ってはいけません。医者がunexpectedに遭遇するのは想定内なので、「忙しかったから」「思わぬ事態が起きた」もいいわけにはなりません。
・不測の事態に備えて、締め切りは2ヶ月前倒しにしておくのが、スーパーマンではない普通の医者のあるべき態度です。
・複数のスピーカーがいる場所で発表時間を延長するのは「罪」です。発表は聞き手のためにあるのであり、後のスピーカーへの配慮は当然であり、あなたのエゴを満たすために発表してはいけません。
・MRから医学情報を得たり、ご飯をおごってもらってはいけません。「自分はそんなことでバイアスはかからない」と思っている人が一番危険です。製薬メーカーはバカではありません。彼らが何の意味もなくあなたによくしてくれるわけがない、と思うのが健全な態度です。
・ちなみにMRさんにもちゃんと敬語使いましょう。とくに年長者にタメグチきくのは社会人としてアウトです。
・神戸大感染症内科では研修医はMRさんとの接触禁止です。昼食会もありません。なので、以下は「存在しない問題」なのですが、ご飯おごってもらって、薬の説明させて、「そこのデータは違うじゃないですか」とか言ってMRさんに突っ込み得意になっている研修医がいます(ま、白状するとぼくも昔はやってました。すみません)。あれは傍から見て非常に醜いです。MRさんは「すぐに資料お持ちします」なんてやってますが、本音では「あなたの」意見なんて全然求めていません。あなたをいい気分にさせて、ホイホイ薬を出してくれるように仕向けるのが、彼らのお仕事ですから。
・信用を勝ち取るには長い時間と努力を必要としますが、失うには一晩で十分です。知識も技術も、信用の前には一瞬のうちに霞むのです。ー>これは僕自身へのメッセージ。自戒自戒
個人的には変な癖がつくものだと割り切って自戒する態度がいいと思います。
最初から正しい道を歩んでしまうことほどもろいものはありません。
人間なんて馬鹿ばっかです。
投稿情報: Jiro Terada | 2013/09/21 17:06
Ringofellisさま。
コメントありがとうございます。まず、ぼくは「英語しか認めない」なんてことはありません。そもそもこのブログ、日本語だし。それにぼくじしん、和文論文も書いています。MRさんからいろいろな知見を得ることはできます。どんな人からでもいろんな知見を得ることが出来ます。ただ、そのために失うものもとても多く、残念ながらその当人は何を失っているか、気づいていないのです。
投稿情報: georgebest1969 | 2013/09/21 10:34
岩田先生,それは極論では?僕は研修医じゃないけどMRさんの研究会に出まくっておいしい料理もいただいたけど,そこで得られた知見から自分なりに考えを発展させて和文だけどそこそこの学会誌の総説を書くことができたよ.まあ先生は英語しか認めないからダメなのかな.
投稿情報: Ringofellis | 2013/09/21 10:30