外来で「点滴してほしい」という患者さんは、昔に比べれば減ったと思います。でも、やっぱり多いですね。多くの医療本が「点滴は意味がない」と教えています。水と塩とときどき砂糖くらいしか入ってませんから。
「点滴してもらえば健康になれる」とか「点滴でガン知らず」みたいな本は、寡聞にして聞いたことがありません。ちなみに、「○○で健康になれる」「ガンにならない○○」的なタイトルの本は、みーんなインチキ本ですから、だまされないでくださいね。
にもかかわらず、点滴がこんなに患者さんの間で人気があるのは、興味深い現象です。これってたぶん日本だけの現象です。他国では聞いたことないなあ。
で、どういうときに(いわゆる)点滴が必要かというと、原則、次のみっつだけです。
1.脱水していて、口から飲めない
2.脱水していなくて、口から飲めない
3.体のミネラル(など)が「とても」狂っている。
で、外来の患者さんにこういう人は皆無です。なぜなら、1~3はみんな基本、入院しなければいけない患者さんだからです。外来で、「先生、点滴一本入れてください」は意味がないんですね。
いや、意味がないどころか、危険なことすらあります。
点滴が外来で必要となる稀有な例に、下痢の患者さんがいます。実は、下痢の患者さんでも普通は点滴は必要はありません。下痢で失った水は口から補うのが基本です。吐いていても、吐いている間にどんどん飲むのです(http://www.pediatriconcall.com/fordoctor/diarrhea/who_guidelines.asp)。ときどき、「飲むとまた下痢するから」といって水分補給をしない人がいますが、危険ですよ。
ちなみに、ほとんどの下痢には抗生物質も必要ありません、、、ていうか、場合によっては抗生物質で下痢ひどくなりますからね、お気をつけあそばせ。
最近は、プロバイオティクスといって善玉菌の治療も盛んです。WHO(世界保健機関)はヨーグルトドリンクを飲むよう、薦めていますね(上掲)。
で、下痢している人は体に下痢の原因(バイキンとか)がくっついています。病院で点滴してもらうと、ベッドにバイキンがつきます。そこに寝て点滴してもらうと、、、そう、病院でバイキンをもらってしまいかねません。
病院って病人がたくさんいますから(当たり前)、病気もらいやすいんですよ。医者や看護師もよくもらっています。
「ひとつ屋根の下」のおじさんみたいに、ひまーな診療所なら、茶飲み話をしながらのんびり点滴、もよいでしょう。でも、忙しい病院で治療の意味ない点滴を要求すると、看護師さんは大変です。ぶっちゃけ、ひそかに恨まれていますよ。どことは言わないですが(神戸大にあらず)、大学病院とかでは看護師さんのお尻に接着剤が付いていて、びくともしないところもあります。そういうところでは、点滴は医者の仕事。医者が点滴を入れるのに一所懸命。患者を診る時間がなくなる。それで、待ち時間が長くなり、結局損をするのは患者さんです。
点滴してくれ、は言わないほうがよいです。本当に点滴が必要な外来患者は稀有で、その稀有な本当に点滴が必要な患者には、ちゃんと医者が「点滴しましょう」と言ってくれます。
こないだも、「Aという症状」を訴えて「点滴してくれ」という患者さんがいました。すでに何軒かの病院を回ってあちこちで「点滴してくれ」と言って点滴をもらう。でも、「Aという症状」は治らない。治りません、もちろん。で、ぼくは「Aは点滴じゃ治らないんですよ」と説明し、患者さんにご理解いただいて、Aの治療薬を処方しました。医者も、患者のいうことを素直に聞くだけじゃ、だめなんですよ。
とはいえ!
逆に、医者の方も点滴についてはあまり知識がなかったりします。医学部では教えてくれないんですよ、点滴の使い方、とか(そういう医学部、あります?)。
だから、医者の点滴の使い方は独学か、伝聞(上の先生の伝統を継承)です。伝聞はだんだん情報がずれてきたりしますから、おかしなことをやる医者もときどきいます。
上記のように、点滴する理由は、
1.脱水していて、口から飲めない
2.脱水していなくて、口から飲めない
3.体のミネラル(など)が「とても」狂っている。
の3つが原則です。したがって、海外では点滴バッグは3種類くらいしかありません。ところが、日本ではものすごいたくさんの点滴バッグの種類があります。そのことだけでも、(またしても)日本の医者がメーカーの販促に踊らされているのが、よく分かります。そのくせ、「脱水している」患者に「脱水していない」輸液(維持輸液)を入れていたり、その逆、という医者も散見するのです。
日本には3号輸液というカッコイイ名前の輸液があります。「2」の脱水していなくて、口から飲めない患者さん用の輸液です。なんで3号なのかは、昔勉強しましたが、覚えてません。たしか、たいした理由ではなかったはずです。
これも日本独特の伝統芸能です。伝統芸能も正しく使っているうちはいいのですが、結構間違っています。脱水してても3号輸液。飯もりもり食べてても3号輸液。勘弁してほしいなあ。ちなみに、点滴を入れるとは、皮膚に「わざと」穴を開けることを意味しています。皮膚はバイキンから身を守ってくれてますが、それを破綻させるので、ここから感染症が起きます。わざわざ主治医が患者の身を危険に晒しているのです。そういう意味でも「点滴してください」は危険です。
点滴の教科書も最近はよいものが増えました。医者ならどれか一冊は必ず読んでおくべきだと思います。昔みたいに、「適当」「なんとなく」「先輩の経験の伝承」は終わりにすべきです。
「点滴してもらえば健康になれる」とか「点滴でガン知らず」みたいな本は、寡聞にして聞いたことがありません。ちなみに、「○○で健康になれる」「ガンにならない○○」的なタイトルの本は、みーんなインチキ本ですから、だまされないでくださいね。
にもかかわらず、点滴がこんなに患者さんの間で人気があるのは、興味深い現象です。これってたぶん日本だけの現象です。他国では聞いたことないなあ。
で、どういうときに(いわゆる)点滴が必要かというと、原則、次のみっつだけです。
1.脱水していて、口から飲めない
2.脱水していなくて、口から飲めない
3.体のミネラル(など)が「とても」狂っている。
で、外来の患者さんにこういう人は皆無です。なぜなら、1~3はみんな基本、入院しなければいけない患者さんだからです。外来で、「先生、点滴一本入れてください」は意味がないんですね。
いや、意味がないどころか、危険なことすらあります。
点滴が外来で必要となる稀有な例に、下痢の患者さんがいます。実は、下痢の患者さんでも普通は点滴は必要はありません。下痢で失った水は口から補うのが基本です。吐いていても、吐いている間にどんどん飲むのです(http://www.pediatriconcall.com/fordoctor/diarrhea/who_guidelines.asp)。ときどき、「飲むとまた下痢するから」といって水分補給をしない人がいますが、危険ですよ。
ちなみに、ほとんどの下痢には抗生物質も必要ありません、、、ていうか、場合によっては抗生物質で下痢ひどくなりますからね、お気をつけあそばせ。
最近は、プロバイオティクスといって善玉菌の治療も盛んです。WHO(世界保健機関)はヨーグルトドリンクを飲むよう、薦めていますね(上掲)。
で、下痢している人は体に下痢の原因(バイキンとか)がくっついています。病院で点滴してもらうと、ベッドにバイキンがつきます。そこに寝て点滴してもらうと、、、そう、病院でバイキンをもらってしまいかねません。
病院って病人がたくさんいますから(当たり前)、病気もらいやすいんですよ。医者や看護師もよくもらっています。
「ひとつ屋根の下」のおじさんみたいに、ひまーな診療所なら、茶飲み話をしながらのんびり点滴、もよいでしょう。でも、忙しい病院で治療の意味ない点滴を要求すると、看護師さんは大変です。ぶっちゃけ、ひそかに恨まれていますよ。どことは言わないですが(神戸大にあらず)、大学病院とかでは看護師さんのお尻に接着剤が付いていて、びくともしないところもあります。そういうところでは、点滴は医者の仕事。医者が点滴を入れるのに一所懸命。患者を診る時間がなくなる。それで、待ち時間が長くなり、結局損をするのは患者さんです。
点滴してくれ、は言わないほうがよいです。本当に点滴が必要な外来患者は稀有で、その稀有な本当に点滴が必要な患者には、ちゃんと医者が「点滴しましょう」と言ってくれます。
こないだも、「Aという症状」を訴えて「点滴してくれ」という患者さんがいました。すでに何軒かの病院を回ってあちこちで「点滴してくれ」と言って点滴をもらう。でも、「Aという症状」は治らない。治りません、もちろん。で、ぼくは「Aは点滴じゃ治らないんですよ」と説明し、患者さんにご理解いただいて、Aの治療薬を処方しました。医者も、患者のいうことを素直に聞くだけじゃ、だめなんですよ。
とはいえ!
逆に、医者の方も点滴についてはあまり知識がなかったりします。医学部では教えてくれないんですよ、点滴の使い方、とか(そういう医学部、あります?)。
だから、医者の点滴の使い方は独学か、伝聞(上の先生の伝統を継承)です。伝聞はだんだん情報がずれてきたりしますから、おかしなことをやる医者もときどきいます。
上記のように、点滴する理由は、
1.脱水していて、口から飲めない
2.脱水していなくて、口から飲めない
3.体のミネラル(など)が「とても」狂っている。
の3つが原則です。したがって、海外では点滴バッグは3種類くらいしかありません。ところが、日本ではものすごいたくさんの点滴バッグの種類があります。そのことだけでも、(またしても)日本の医者がメーカーの販促に踊らされているのが、よく分かります。そのくせ、「脱水している」患者に「脱水していない」輸液(維持輸液)を入れていたり、その逆、という医者も散見するのです。
日本には3号輸液というカッコイイ名前の輸液があります。「2」の脱水していなくて、口から飲めない患者さん用の輸液です。なんで3号なのかは、昔勉強しましたが、覚えてません。たしか、たいした理由ではなかったはずです。
これも日本独特の伝統芸能です。伝統芸能も正しく使っているうちはいいのですが、結構間違っています。脱水してても3号輸液。飯もりもり食べてても3号輸液。勘弁してほしいなあ。ちなみに、点滴を入れるとは、皮膚に「わざと」穴を開けることを意味しています。皮膚はバイキンから身を守ってくれてますが、それを破綻させるので、ここから感染症が起きます。わざわざ主治医が患者の身を危険に晒しているのです。そういう意味でも「点滴してください」は危険です。
点滴の教科書も最近はよいものが増えました。医者ならどれか一冊は必ず読んでおくべきだと思います。昔みたいに、「適当」「なんとなく」「先輩の経験の伝承」は終わりにすべきです。
ありがとうございます。たしかに高齢者に点滴速度を高めるのは危険なこともあります。ただ、それが必要な場合もありますので、ケースバイケースですね。
投稿情報: georgebest1969 | 2017/09/06 08:28
点滴の落ちる速度を早くしたら危険なのに、若いならまだしも、老人らは、通常とされる点滴の速度でさえ血管に負担をかける。
投稿情報: Sakudrada31 | 2017/09/06 08:13