クラリス、と聞いて「おじさまーっ」を思い出す人は正真正銘のおじさま(か、おばさま)です。
ま、冗談はさておき。
クラリスとはクラリスロマイシンという抗生物質の商品名です。クラリシッドという名前のこともあります。
で、最近この抗生物質の安全性が問題視されているんです。
一つ目は不整脈。クラリスは心電図異常を起こすことが知られていて、突然死の恐れがあります。とくにもともと心臓に病気があったり、心臓病のリスク(たばことか糖尿病とか高血圧とか)がある人はさらに要注意です。
もう一つは、他の薬との相互作用です。スタチン、というコレステロールを下げる薬と相互作用を起こして、筋肉を溶かしたり(横紋筋融解症)、腎臓を悪くすることが知られているのです。最近の研究では、スタチンを飲んでいる高齢者がクラリスを飲むと、筋肉や腎臓の病気が増えるだけでなく、全体の死亡率が上がるという研究も出ています。言い換えるならば、スタチンを飲んでいる高齢者がクラリスを飲むと、その人はより「死にやすくなる」のです(Ann Intern Med. 2013;158(12):869-876)。
アメリカの医薬品を承認している食品医薬品管理局(FDA)はクラリスについて特別な警告を出しています(http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/ucm258816.htm)。日本の厚生労働省はこういうの、ちゃんと読んでいるのでしょうか。読んでいるのなら、なんでほったらかしておくのでしょうね。
同様に、クラリスの仲間のジスロマック(アジスロマイシン)も最近の研究で、心臓病による死亡リスクを高めることが分かりました(N Engl J Med 2012; 366:1881-1890)。もっとも、これは若者のように心臓病になりにくい人には当てはまらないのでは、という研究もありますが(N Engl J Med 2013; 368:1704-1712)。FDAはジスロマックについても医療者に同様の警告を出しています(http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm343350.htm)。
クラリスもジスロマックも「マクロライド」という同じ種類の抗生物質に分類されます。実は日本の医者はマクロライドが大好きで、世界でもトップレベルの処方量を誇っています。いや、誇れないか。本来なら抗生物質が効かないような風邪とか、ささいな病気に「死の危険がある」薬を使うなんて、ちょっとおかしいと思いませんか。いや、かなりおかしいですね。
風邪とかで医者にかかったとき、クラリスとかジスロマックばかり出す医者には要注意です。日本の医者は抗生物質について不勉強な医者が多いのですが、クラリスやジスロマック「ばかり」出す医者は、そういう残念な医者の可能性が高いです。
とはいえ!
クラリスやジスロマックが全然ダメ、というわけではありません。こういう抗生物質でないと治せない病気もあり、その場合はリスクと利益を天秤にかけ、「利益のほうがずーっと大きい」と判断して使います。ぼくも使います。例えばクラリスは胃潰瘍などの原因であるピロリ菌の除菌に使います。胃潰瘍の患者さんにクラリスを使うのはとてもまっとうです。ジスロマックはある種の性病や、百日咳、オウム病(マジでこういう名前の病気ってあるんです)、猫ひっかき病(マジでマジで、こういう名前の病気ってあるんです)などに積極的に使います。でも、こういう病気ってそんなにしょっちゅうありませんから(性病専門病院なんかは別ですが)。「いつも」クラリス、ジスロマックを処方する医者には、やはり「ご用心」なのです。
ま、冗談はさておき。
クラリスとはクラリスロマイシンという抗生物質の商品名です。クラリシッドという名前のこともあります。
で、最近この抗生物質の安全性が問題視されているんです。
一つ目は不整脈。クラリスは心電図異常を起こすことが知られていて、突然死の恐れがあります。とくにもともと心臓に病気があったり、心臓病のリスク(たばことか糖尿病とか高血圧とか)がある人はさらに要注意です。
もう一つは、他の薬との相互作用です。スタチン、というコレステロールを下げる薬と相互作用を起こして、筋肉を溶かしたり(横紋筋融解症)、腎臓を悪くすることが知られているのです。最近の研究では、スタチンを飲んでいる高齢者がクラリスを飲むと、筋肉や腎臓の病気が増えるだけでなく、全体の死亡率が上がるという研究も出ています。言い換えるならば、スタチンを飲んでいる高齢者がクラリスを飲むと、その人はより「死にやすくなる」のです(Ann Intern Med. 2013;158(12):869-876)。
アメリカの医薬品を承認している食品医薬品管理局(FDA)はクラリスについて特別な警告を出しています(http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/ucm258816.htm)。日本の厚生労働省はこういうの、ちゃんと読んでいるのでしょうか。読んでいるのなら、なんでほったらかしておくのでしょうね。
同様に、クラリスの仲間のジスロマック(アジスロマイシン)も最近の研究で、心臓病による死亡リスクを高めることが分かりました(N Engl J Med 2012; 366:1881-1890)。もっとも、これは若者のように心臓病になりにくい人には当てはまらないのでは、という研究もありますが(N Engl J Med 2013; 368:1704-1712)。FDAはジスロマックについても医療者に同様の警告を出しています(http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm343350.htm)。
クラリスもジスロマックも「マクロライド」という同じ種類の抗生物質に分類されます。実は日本の医者はマクロライドが大好きで、世界でもトップレベルの処方量を誇っています。いや、誇れないか。本来なら抗生物質が効かないような風邪とか、ささいな病気に「死の危険がある」薬を使うなんて、ちょっとおかしいと思いませんか。いや、かなりおかしいですね。
風邪とかで医者にかかったとき、クラリスとかジスロマックばかり出す医者には要注意です。日本の医者は抗生物質について不勉強な医者が多いのですが、クラリスやジスロマック「ばかり」出す医者は、そういう残念な医者の可能性が高いです。
とはいえ!
クラリスやジスロマックが全然ダメ、というわけではありません。こういう抗生物質でないと治せない病気もあり、その場合はリスクと利益を天秤にかけ、「利益のほうがずーっと大きい」と判断して使います。ぼくも使います。例えばクラリスは胃潰瘍などの原因であるピロリ菌の除菌に使います。胃潰瘍の患者さんにクラリスを使うのはとてもまっとうです。ジスロマックはある種の性病や、百日咳、オウム病(マジでこういう名前の病気ってあるんです)、猫ひっかき病(マジでマジで、こういう名前の病気ってあるんです)などに積極的に使います。でも、こういう病気ってそんなにしょっちゅうありませんから(性病専門病院なんかは別ですが)。「いつも」クラリス、ジスロマックを処方する医者には、やはり「ご用心」なのです。
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