現在、日本医師会など複数の学会が予防接種法改正を求めて署名活動を行っている。
以下、感染症学会HPより引用はじめ http://www.kansensho.or.jp/news/gakkai/1301_yobousesshu_shomei.html より
===========================================================
厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会において平成24年5月23日に取りまとめられた「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」では、「医学
的・科学的観点からは、7ワクチン(子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、おたふくかぜ、成人用肺炎球菌、B型肝炎)について、広く接種を促進し
ていくことが望ましい。」とされました。
しかしながら政府においては、これら7ワクチンの定期接種化については、財源の問題により、平成22年度から補正予算で時限的に公費助成されている子宮
頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の対象である3つのワクチン(子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌)を優先する動きもあります。
日本医師会と当学会加盟の予防接種推進専門協議会は、諸外国とのワクチンギャップを解消し、ワクチンで防ぐことができる病気(VPD:Vaccine
Preventable
Diseases)からひとりでも多くのひとを救うために、7つのワクチンのすべての定期接種化に向け、速やかな予防接種法の改正の実現のため、署名活動
を行うことといたしました。
=========================================================
引用終わり。
Hibと小児用肺炎球菌ワクチンによって小児細菌性髄膜炎など重症感染症は導入国で激減している。これらの導入は必然だ。水痘ワクチンも死亡率を減らすスタディーがすでに報告されている。保育園で毎年大流行が「当たり前」と思ってはいけない。ムンプス(おたふくかぜ)ワクチンは死亡率そのものにはあまり寄与しないが流行を減じ、合併症を減じる意味は大きい。導入価値は高い。B型肝炎ワクチンは実は癌を減らす効果が示されている唯一のワクチンである(HPVは前癌状態を減らすので、「たぶん」がんも減るだろう、である)。世界最大の蔓延国である中国も最近ユニバーサルワクチンを導入し、新規患者が激減していると聞く。こういったワクチンは積極的に導入したい。
HPVも各国で導入されているが、前述のようにその効果は「やや微妙」である。しかし、利益と害のバランスは崩れておらず、一部でささやかれているような「不妊になる論」は単純にデマである(拙著、「予防接種は効くのか」にも書いた)。ワクチン接種受けた後も、ちゃんと妊娠し、出産もしている。ウェブでの情報検索はデマとそうでないものを区別できないので、PubMedか、もすこし簡単なGoogle Scholarを使うとデマに振り回されるリスクは減ります(ゼロにはなりませんが)。
成人への肺炎球菌ワクチンの効果はさらに微妙で、多分に価値観の問題とも絡んでいる。僕自身は鴨川市の助成に絡んだこともあり、ニューモバックス推進派である。高齢者の肺炎球菌による肺炎が減る、は価値のあるアウトカムだというのがその理由だ。そうでない、という意見もあるとは思う。
ワクチンの問題は微妙な問題が多く、大手をふってあれに賛成、これに反対、とは言いにくい。しかし、一番いけないのは現状維持である。日本が予防接種後進国で、現状が許容できない現状であることは間違いない。変化、前進は必然だ。ぼく個人としては予防接種法改正だけでなく、ワクチンの運用をより柔軟にし、官僚から切り離した日本版ACIP導入が最適解だと思うが、ここで医師会たちの足を引っ張るつもりもない。前進は大歓迎だからだ。
署名用紙はここから
http://www.med.or.jp/people/info/people_info/001316.html もご参照ください。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。