関節リウマチに少量ステロイド、ぜんそく(実は心不全)にアミノフィリン、、、へんてこな処方は今でも多い。だいぶ減ったとは思うけど。あれは、昔のまんまで診療しているからなんだろうな。生涯学習プログラムもあるけど、けっこう番組が不適切なことが多い。ぼくも講師やってるので、袖で聞いていると、(とくに)大学教授とかでは、自分のやってる基礎研究の話とか、実験段階の薬とか、「明日からの診療に役に立たない」話が多い。
糖尿病の治療もずっと同じパターンという例も多い。とくにうーむ、と思うのはSU剤の高齢者への投与。肥満だったり、腎機能が低下していると、さらに「あわわ」です。
で、最近は読みやすい糖尿病のテキストは多いのです。「ここが知りたい!糖尿病ハンドブック」を著者献本いただきました。感謝です。
本書の特徴は、薬物の「効能」だけでなく、ピットフォールを丁寧に説明していること。とくに問題点となりやすいところは「ご法度」とまとめている。「高齢者にSU薬の高用量処方はご法度!」とちゃんと書いてある(70p)。高齢者ではそもそもそんなに厳密に血糖コントロールにこだわる必要はない。ガイドラインにもよるが、本書によればその目標はHbA1C 7.0~8.5%である(3P)。ACCORD以降、単にがんがん攻めるだけではかえって裏目に出るリスクが注目されている。
エビデンスが新しくなり、治療薬が新しくなり、糖尿病も古くて新しい病気である。「昔の知識」では患者は救われない。ぜひ、みんなで知識をアップグレードしましょう!
いつも楽しくブログを拝見させていただいていますが、2012年12月5日の岩田先生のコメントは、やや乱暴で狭量な印象を受けましたのでコメントさせていただきます。岩田先生の発信は非常に影響力が強いので、これを見た研修医たちがアマリールの使用を止めてしまい、高齢者の糖尿病コントロールがHbA1c(NGSP値かJDS値かはっきり書かれていないが) 8.5%で良いと考えてしまうと大変な事態になってしまうと感じました。私は糖尿病患者を管理して23年以上になります。もちろんSU剤がインスリンよりも重篤な低血糖を引き起こす可能性が高いことも存じております。しかし普段、感染症の専門でない者が感染症の専門医に意見をを言うなという感じでおっしゃてる岩田先生が、畑違いの糖尿病の分野に殴りこみをかけてくるのはいかがなものかなと思います。生意気な事を申しますが高齢者のDMコントロールを甘くしすぎると、DM3大合併症だけでなく、感染症の併発、認知症の悪化などさまざまな疾患・問題を引き起こします。患者の家庭環境や認知度、同居者の有無、本人および同居者の病識などにより個々の症例に細やかな対応をしていくと、アマリールの使用も怖いものではありません。
投稿情報: Tsutsuishouten | 2012/12/07 23:57