人は褒めると。
人は褒めるとパフォーマンスが上がる、という論文が出たと報道されたので、その論文を読んでみた。
48人のボランティアを3つのグループに分け、指でタップする練習をした後、「自分が褒めらっれる」「他人がほめられる」「何も起きない」グループで、翌日の同じパフォーマンスを比べると、ほめられたグループのパフォーマンスが一番良かった、というわけ。
しかし、である。次いで行われた「学んでいない」順番のタッピングでは3つのグループに差は出なかったのである。
「褒めれば上達」科学が証明
http://blogs.yahoo.co.jp/us23news/65783942.html
と大きく報じられたこの実験だが、正確には
「褒めれば上達する領域もある」
というべきであろう。教えられたことをそのまま正確にリピートする、という運動技能に関しては、褒めることでパフォーマンスが上がる。しかし、「教えられなかったこと」をやるパフォーマンスは上がらないのである。
「褒めても上達しない領域もある」
ともいえる。科学が看破したのは(「証明」という言葉はここでは使うべきではないだろう)、そういうことだ。もっというと、「自分で問題点を見つけ出す」批判能力は(そもそも、なんでこんな実験してるんだろう、とかもっとこうやればよりよい実験になるのに、、、みたいな)この実験では吟味すらしていない。
人間には、教えられたことをそのまま正確に遂行する能力と、教えられなくても自分で考えて解決する能力の両方を必要とする。前者はより初等教育的で、後者はより高等教育的だ。小学生には褒めて褒めて、のほうがパフォーマンスは向上しやすい。では、大学生や研修医にはどうしたらよいのだろう?興味深い命題である。
Sugawara SK, Tanaka S, Okazaki S, Watanabe K, Sadato N. Social Rewards Enhance Offline Improvements in Motor Skill. PLoS ONE. 2012 7;7(11):e48174.
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