昨日、堺市のベルランド総合病院をおじゃまして、いろいろお話した。そのとき、記憶に残った対話(質疑応答)がいくつかあったので、ここにメモしておく。
発熱患者のカテを抜去した時、カテ先を培養するドクターは多い。カテ先「だけ」培養するドクターも多い。
これは「小手先」培養である。
カテ感染は、実はカテ感染ではない。あれは「カテーテル関連血流感染」(catheter related blood stream infection、CRBSI)なのである。すなわち、カテ感染はカテ感染ではなく、あくまでも(カテを介した)「血流感染」である。したがって、CRBSIの大半は刺入部に感染の所見を得ない。「刺入部に所見がなかったのでカテ感染は否定的」というコメントは間違っている。
血流こそが感染の主体であるものに対して、「カテ」を培養しても答えが出るわけがない。答えの出ないプラクティスは、診療をしたふりにすぎない。だから、小手先と呼ぶのである。
カテ先培養が有用である条件はある。しかし、これは非常にテクニカルでマニアックな条件なので、一般の臨床現場では紛らわしいから割愛しておく。よほど勉強をして技術のあるラボを備えていない場合、カテ先培養はしないほうがよい。かえってミスリーディングになる可能性もある。
カテ感染を疑い、カテを抜去するのであれば、抜去する「前に」カテーテルから血液培養を行い(血流感染なのですからね)、さらに皮膚からもう一セット培養する。カテからだけだと、カテにくっついた菌と峻別ができない。両者から同じ菌が検出され、さらにカテーテルからのものが早ければ(2時間以上、、、定義的には、、、)、CRBSIの診断ができる。大事なのは血液培養なのである。
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