4月4日朝に(再度)訂正したものです。間違いご指摘に感謝します。
以下、放射線医学が専門でない内科医がまとめたものです。間違いがあったらご指摘ください。
まずは、放射線の内部被曝について考えてみましょう。福島県産の食べ物は一切食べるべきではないという意見があります。これについて検討してみたいのです。
放射線については(ぼくもふくめ)多くの方がたくさん勉強されたと思いますが、ここでもう一度おさらいしておきます。すでに基本的な事項について了解されている方はここは飛ばしても構いません。
放射線は原子より小さな粒子線あるいは電磁波です。その放射線を出す能力を放射能といいます。放射能を持つ物質を「放射性物質」と呼びます。放射能の単位としてはベクレル(Bq)があり、これは1秒間に改変する原子核数を指します。いわば放射能の「強さ」の指標です。これに対して、被爆の単位としては吸収線量であるグレイ(Gy)と実効線量あるいは等価線量であるシーベルト(Sv)に分けられます。グレイとは物質1kgあたり1ジュールのエネルギー吸収があるときの線量です。ジュールはエネルギー量を表す単位です。放射線にもエネルギーがあるのです。そして、シーベルトは生物(基本的には人間)への影響を示す指標です。福島第一原発事故の影響を議論するときはグレイを用いることはあまりなく、基本的には「もの」を評価するときのベクレルと、「ひと」への曝露を評価するシーベルトで議論することが多いです。シーベルトには実効線量(全身への被爆の評価)と等価線量(組織や臓器への被曝)がありますが、これまた福島原発事故以後の話題では実効線量が議論されることがほとんどなので、今はこちらについて考えましょう。
この単位に「ミリ」とか「マイクロ」がつくことがあります。ミリがつくと1000分の1,マイクロがつくと1000かける1000で100万分の1になります。だから、1シーベルトは1000ミリシーベルトですし(1Sv=1000mSv)、1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトです(1mSv=1000μSv)。単位はとてもとても重要ですから、ややこしくてもこの辺をないがしろにしてはいけません。
さらにさらに、これに時間の単位がつくことがあります。分あたり何ミリシーベルト、とか時間あたり何ベクレルというものです。自動車の速度も時速50キロ、といいますね。1時間で50キロ進むという意味です。時間の単位がついているかいないかも大切ですから、しっかりチェックします。
次に放射線の種類です。放射線にはα線、β線、γ線、中性子線などがあります。それぞれ飛距離が異なり、α線は5cm以内、β線は3~5m、γ線や中性子線は約1000mと遠くに飛んでいきます。また、それぞれ遮蔽(しゃへい)=ブロックされること、の程度が異なります。α線は紙一枚で遮蔽され、β線はゴムや金属の膜で遮蔽されます。γ線や中性子線はなかなか遮蔽されません。
次に被爆のされ方です。大きく分けると外部被爆と内部被曝に分けられます。外から放射線を浴びた場合を外部被爆、体内からの被曝を内部被曝といいますが、多くの場合は放射性物質を「食べたとき」の話を意味しています。
内部被曝を考えるときには、次の要素を考えます。
1. 放射性物質は何か。
2. その量はどのくらいか
3. その放射性物質が出す放射線の種類は何か
4. その放射性物質の半減期はいくらか
5. どのくらい体内に残っており、どのくらい体外にでていくか。その時間はどのくらいかかるか。
6. 実際にどのくらいの健康被害が生じるか
これら全てを考えなくては、内部被曝のきちんとした評価はできません。
とくにとっちらかちがちなのが4と5です。4でいう「半減期」とは放射性物質が半分になるまでの時間を指します。その放射性物質がなくなるまでは半減期よりもさらに数倍の時間を要します。5はそれとは「まったく関係なく」いったん体に入った放射性物質が体の外に出ていくまでの時間を指します。どちらも時間の単位ですが、全然別なのですね。
福島第一原発事故で、内部被曝という観点から問題になっているのがセシウムです。事故直後問題になった放射性ヨウ素は半減期が8日程度なので今はもう原発周辺でも検出されなくなっています(文部科学省 放射線モニタリング情報http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/1000/263/view.html)。現時点で、原発事故後の内部被曝で問題になっているのはセシウムということになります。
そのセシウム(Cs)ですが、39種類の同位体を持っています。このうち、放射線を出す放射性同位体で内部被曝で問題になる半減期の長いセシウムには半減期が2年の134Csと230万年の135Cs、30.17年の137Csがあります。このうち135Csは生成されないか136Xeに返還されるため、実質的に内部被曝が問題になるのは134Csと137Csということになります。他は半減期が極めて短いので内部被曝的な問題にはなりません。また、セシウムにはα線を出すものとβ線γ線を出すものがありますが、α線を出すセシウムは半減期が短くてこれも内部被曝上の問題にはなりません。
次に、5です。セシウムは体中のあちこちの臓器に吸収されますが、その後はカリウムと同じ代謝を受け、体外に出て行きます。成人では110日、小児では5歳で30日、1歳では13日が半減期です(これは放射性物質の物理学的半減期ではなく、生物内にいる量を測る生物学的半減期です。ややこしいですね)。実際には半減期の数倍の時間をかけて体から出ていきます。134Cs、137Csはとても半減期が長いのですが、体内に留まっている時間はそれほど長くはないのです。
ここまでは分かっている事実の羅列です。なんでこんな面倒くさいことをするかというと、物事は各論的に考えなければならないからです。大ざっぱに考え、あれとこれの議論をごちゃごちゃにすると訳がわからなくなります。まずは立場を捨て、事実(と思われるもの)に虚心坦懐に目をむけ、自分が何の話をしているのかを丁寧に確認します。
ここでは「311以降の福島第一原発事故後の放射線内部被曝について考える」が命題です。そこでは、
1. 放射性セシウムが問題である。
2. セシウムは体内に広く分布する。
3. その半減期は134Csで2年、137Csで30年程度である。
4. セシウムは体外に排泄される。成人では半減期が110日。小児ではもっと短い。
となります。もちろん、ここで「事実的な間違い」があれば、反論を受けます。それは甘んじて受けなければなりません。事実の確認で間違えてしまうと、先の議論もかみ合わなくなるからです。
次に、放射線が身体に及ぼす害について検討します。福島第一原発事故後の内部被曝の場合、事故直後の急性放射線症候群とかの問題とは別ですから、区別して考えなければなりません。より長期の影響、具体的には細胞内の遺伝子に与えた影響がもたらす(かもしれない)健康被害を考えます。放射線の長期的な人体への影響には様々なものがあるようですが、特に注目されているのは発ガンのリスクです。
さて、放射線が遺伝子を傷つける方法には直接的な方法と間接的な方法があると言われています。直接的な方法とは放射線が直接遺伝子(細胞のDNA)を破壊すること、間接的な方法とは、細胞内の水(水分子)を放射線が分解して活性酸素と呼ばれる物質を作り、これが生体分子を傷つけるという方法です。
ちょっと話が脱線しますが、後者については、最近アンチエイジングやガン予防の領域で注目されています。活性酸素を抑える物質はたくさんあり、コエンザイムQ10、ビタミンE、ビタミンC、ワインに入っているポリフェノールであるレスベラトロールなどがあります。こういう物質はサプリメントとしても販売されており、「長生きする」「ガンにならない」などと喧伝されます。ぼくが見つけたサイトでは「高級」ワインを飲むのがよい、と主張しているのもありました(http://www.charmant-wine.com/tanosi.img/tanoshi03.html)。
さて、医学の世界では必ず理論の成立とその実証という2本の柱が必要です。医学の世界にはたくさんの「理論」が生み出されます。ただ、理論は間違えることもあります。例えば、劇症肝炎という病気があります。B型肝炎ウイルスなどにより肝臓にものすごい炎症が起きる病気です。炎症が起きているのだから炎症を抑えればよいという「理論」に基づき、抗炎症作用があるステロイドが治療薬に使われたことがありました。ところが、実際にはステロイドを与えられた患者の方がずっと死亡率が高かったのです(Editorial: Steroids in severe hepatitis. Br Med J 1976 Jun;1(6024):1491.
)。現在では劇症肝炎にステロイドを使うのは「だめ」というのが定説です。同様に、インフルエンザにアスピリンを大量に飲ませる治療が流行したこともありましたが、これも合併症が増えるだけで患者には利益がないことが分かりました(Remington PL, Rowley D, McGee H, Hall WN, Monto AS. Decreasing Trends in Reye Syndrome and Aspirin Use in Michigan, 1979 to 1984. Pediatrics 1986 Jan;77(1):93–98)。
人体とか病気についてはまだまだ分かっていないことが多いのです。理屈では正しいと思っていても、実際やってみると間違っているということはしばしばあります。だから、ぼくら医療者は常に謙虚に、自分たちが間違っている可能性を吟味しながらどういう医療が患者に適切なのかを検討しつづけなければならないのです。
で、先ほどの抗酸化療法ですが、抗酸化作用によりガンが減るかも、という研究はあります。例えば、魚や野菜を食べると肉食よりもガンになりにくいという研究があります(Key TJ, Appleby PN, Spencer EA, Travis RC, Allen NE, Thorogood M, Mann JI. Cancer incidence in British vegetarians. Br. J. Cancer 2009 Jul;101(1):192–197)。しかし、抗酸化作用を期待されたビタミンを摂取してもガンは減りませんでした(Hackam DG. Review: antioxidant supplements for primary and secondary prevention do not decrease mortality. ACP J. Club 2007 Aug;147(1):4)。フラボノイドのようなポリフェノールについてもガンの発生を減らす効果は認められませんでした(Wang L, Lee I-M, Zhang SM, Blumberg JB, Buring JE, Sesso HD. Dietary intake of selected flavonols, flavones, and flavonoid-rich foods and risk of cancer in middle-aged and older women. Am. J. Clin. Nutr. 2009 Mar;89(3):905–912)。最近では、レベステロールの研究論文捏造問題もあり、物議を醸しています(http://www.cnn.co.jp/fringe/30005262.html ただし、この捏造問題は心臓への影響を検証した研究のみなのでガンへの影響は議論されていません)。
なんか、実際の研究データを見てみるとすっきりしませんね。分かりにくいですね。これが医学の本質をついています。一つの理論(抗酸化作用ー>健康)が全てを説明することはあまりないのです。あるときにはそれはうまくいき(オメガ3脂肪酸のガン予防作用)、あるときにはうまくいきません(ビタミンやフラボノイドのガン予防作用)。だから、みんな一緒に議論せず、あくまで各論的に「これ」と「あれ」を分けて検証しなければならないのです。
話がずれました。放射線の内部被曝と健康被害に戻ります。
長期にわたる放射線曝露の被害については、二つの仮説があります。そこに閾値がある、という仮説と、ないという仮説です。後者についてはLNT(linear non-threshold)仮説と呼びます。もちろん、両者は「仮説」つまり仮に立てられた学説ですから、どちらが正しいかどうかは決着がついていません。
どちらが正しいか決着がついていないとき、少なくとも良識を持ち、ある立場に立つことを前提にしなければ、そこに無理に答えを出さないことが大事になります。
ところで、科学的に決着がついていない医療の問題について、その「分からない部分」があるが「ゆえに」、分かることもあります。それは、「LNT仮説が正しいとしても、間違っていたにしても、仮に想定されるリスク(があるとしてもそれ)は大きいものではない」ということです。
LNT仮説が正しいとしても、間違っていたにしても、放射線曝露量と発ガンのリスクは相関することについては異論がありません。つまり、放射線曝露が大きければ大きいほど発ガンのリスクは大きいのです。ただ、十分に小さな放射線曝露量では発ガンのリスクがなくなってしまうと考えるか、それが「なくなってはしまわないか」という違いが残ります。しかし、後者が正しかったとしてもそれは「なくなりはしない」けれど「減りつづけている」ことには変わりありません。たとえリスクがあったとしてもそれはとても小さなものである、という言い方はそこから生じています。
さて、4月から食品中の放射性物質許容量は食品1kgあたり500Bqから100Bqに引き下げられました。飲料水では10Bq、牛乳で50Bq、乳児用食品で50Bqです(http://www.jacom.or.jp/news/2012/03/news120329-16516.php)。これはあくまでも食品管理上の基準値であり、人間の健康にとって大事なのは、これらの放射性物質をどのくらい摂取するかが大切になります。
1Svの放射線曝露による発ガンリスクの増加は絶対値で4.1%といわれます。これをNNH(number needed to harm)という指標に直すと24~25人に1人のガンが増加するという計算になります。この10分の1の100mSvであれば0.41%増で240-250人に一人の増加(NNH=240くらい)、10mSvですと0.041%の増加となります。小児や胎児だとこの数値は変動するかもしれません。
現在の食品基準値100Bq/kgですと、年間750kg食べるとICRPが定める年間曝露量の1mSvになります。福島産の食品であってもこの基準値以下であれば、常識外の大量接種をしなければ健康被害は(たとえあったとしても)非常に小さいことが計算から分かります。これは(仮に)LNT仮説を採用したとしても、同じです。これは発ガンのリスクですから、これによる死亡を考えると、そのリスクはさらに小さくなります。
もちろん、「どんなリスクも許容できない」という健康価値観をお持ちの方もおいでです。価値観は主観ですから、正しい、正しくないというものはありません。そこは否定できないと思います。
さて、人体には自然界の放射性物質も取り込まれています。例えばカリウムや炭素、ポロニウムなどがそうです。日本人の体内にあるカリウムから受ける内部被曝は年間約0.41mSvです。他にも宇宙線や空気中のラドンからもありますから、自然界からの放射線曝露は約1.5mSvとなります。人間の多くはガンになりますが、自然界からの放射線がどれだけガン化に影響を与えているかは分かりません。でも、原発から放出された放射性物質の作る放射線も自然界の放射線も同じものですから、どちらも等価にその影響を考えなくてはなりません。放射線による(ポテンシャルな)リスクはゼロにはできないのです。
ときどき、自然界にあるもの、天然のものは体に良くて、人工のものは体に悪いとおっしゃるかたがいますが、これも「立場」にたったものの考え方です。自然界か、人工かは健康とは直接関係ありません。あくまでも健康によいか、悪いかという各論的な議論が大事で、それがたまたま天然か、人工かということになります。天然のものでもトリカブトやフグ毒など体に悪いものはたくさんありますし、人工のものでも医薬品をはじめ健康に寄与しているものはあります。問題は、「そこ」にはないのですね。
というわけで、福島県の食物を摂取するときの内部被曝について検討してきました。以上はデータであり、解釈ではありません。解釈は人間が恣意的に行う行為です。
で、ぼくの解釈です。ぼくは内科医として、福島県の食品で放射性物質のモニターをしており、基準値をクリアしているものについて過度にこれを否定する必要はないと思います。もちろん、妊婦や授乳中の母親、新生児など、いろいろな人がいますから、ここも各論的に考える必要はあるでしょう。そういう例外は儲けてもよいと思います。LNT仮説を採るにしても採らないにしても福島の食べ物のポテンシャルな健康被害は非常に小さくて、ほとんど無視してよいくらいです。個々人でそれを忌み嫌う人がいても、それは個人の好みの問題ですから仕方ないとは思いますが、制度的に規制するには無理がありすぎます。仮想のリスクの小ささを考えると、福島県の人たちに与えるリスクが大きすぎるのです。
個人的に個人の好みである特定の食べ物を回避するのは自由です。が、大声で危険を過度に煽り、福島県の人たちに必要以上の苦痛(もうこれ以上ないくらい苦しんでいるはずなのに)を与えるのは良識ある大人の態度ではありません。繰り替えします。放射線や放射能が安全か、危ないかというおおざっぱな二元論を離れなければなりません。あくまでも今の福島県の食品を我々が食べることの妥当性をきちんと各論的に吟味すべきなのです。
くどい、と思われた方もおいででしょう。ぼくもそう思います。しかし、健康とか安全という情報はこれくらいくどく、各論的に議論しなければよく分からないのです。少なくともツイッターなどで安全だ、危ない!と断言口調、断定口調で言いきるだけという情報におどらされてはいけません。彼らの多くも善意から自分の説を主張しているのでしょうが、残念ながら「他者の言葉に耳を傾ける」態度を欠いています。
科学とは、正しい事実がそこに単立しているのではありません。正しい事実を人間が知ることはとても難しいのです。だから、自分は本当に正しいのだろうか、実は間違っているんじゃないかと自問しながら検討を進めていくのです。仮説や理論を提示し、それを検証するための実験をします。それでも真実はそう簡単には分からない。だから、自分自身と、そして仮説や理論と、さらには他者と静かな対話を続けていく他ないのです。俺は正しいと断言し、他者は間違っていると罵倒する。このような態度はもっとも科学から離れた態度です。ぼくたち日本人は311以降、厳しい試練に静かに耐えるというスタティックな強さを見せましたが、同時に他者に恐ろしく不寛容で断定的で罵倒的である一面も露呈してしまいました。震災から1年、そろそろ静かに心を落ち着け、静かに他者との対話を重ねながら今後のあるべき姿を検証する態度をもつべきだとぼくは思います。
*被災財、いわゆる「がれき」についても同じように各論的に吟味しなくてはなりません。これについては清山先生のブログが参考になります。
http://www.kiyoyama.jp/blog/2012/03/100bqkg8000bqkg.html
文献
図説 基礎から分かる被爆医療ガイド 鈴木元(監修) 日経メディカル開発
災害ボランティア健康管理マニュアル 岩田健太郎ら(監修) 中外医学社
「放射線」どんな種類がある?人体への影響は? 酒井一夫 Newton 2008年10月号 114-115p
放射能汚染ほんとうの影響を考える 浦島充佳 化学同人
私は群大早川先生の地図に触れたのをきっかけに、放射能被害について注意深く情報を見るようになった者です。東京東部在住、50代、工務店経営です。岩田先生のブログも早川先生のツイッターから知りました。放射線による人体への影響について具体的な数字を考えることは初めてなのですが、このブログの要約の理解として次のようなものでよいのでしょうか。
(1Svで発ガンリスク増加は25人に1人。1mSvなら25000人に1人 。1人1日2kg食べるとして1年間に750kg食料摂取、つまり1mSvの内部被爆。およそ1年で、取り入れてしまったセシウムは排出されるのでリスクは毎年いつも1mSv。毎年日本人口1.3億人のうち5200人ガンになるリスクが増す。)
また積算量を考えるのですが、この1年あたり1mSvの被爆量は(2年目には2mSv分の被爆量のリスク、3年目には3mSvの被爆量のリスク...)と、毎年積算させて考えるの必要はあるのでしょうか。
私は、放射線被害を恐れながらも、自分は埃を払う回数を増やし、妻は食品の生産地域をなんとなく気にするというぐらいで、生活方法は以前と変わりなくしてしまっています。理想としては日本人皆、注意深く生活する習慣が必要なのだとは思っています。岩田先生はじめ専門家の方々のわかりやすい情報発信を期待しております。
投稿情報: Onkapi | 2012/04/08 16:54
131Iは半減期が8日と短く、現在はほとんど残っていない="現時点で、原発事故後の内部被曝で問題になっているのはセシウムということになります。"というのは、ミスリードではないでしょうか?
放射性ヨウ素の発がん性については、チェルノブイリ等でもっとも疑わしく、8日という短い半減期で被害状況の捕捉が難しく、特に小児甲状腺がんのイニシエータとして晩発障害を懸念されているはずです。そして、核事故直後からの総放出量をどうにかして推定し、今後の対策に備えようという努力が続いていることも知りました。
134、137Csについては、一部臓器への濃集→拡散という挙動が報告されています。特に、唾液腺(=甲状腺近傍)、心筋、腎臓などに顕著に集まる、と。マウスのオートラジオグラムより→ https://twitter.com/#!/sitesirius/status/181302742759903233 #NUKEjp
投稿情報: Sitesirius | 2012/04/06 09:57
8l目:改変→壊変
投稿情報: Sitesirius | 2012/04/06 01:51
岩田健太郎さん:こんにちは
神緑会老人の大竹 邦夫です。
玉石混淆【謎】の神大教授陣の中で、岩田教授の存在を、とても頼もしく思っています。特に、論理的な話がちゃんと出来る(教授なら当たり前?)珍しい教授(笑)としての存在感は貴重です。
この小論に関して、いつものように論理の進めは、カンペキで、言うことはありませんが、前提に異議がありますので、コメントさせて頂きます。
LNT仮説の真偽は、たしかに実際上ほとんどわずかな差異です。
それよりも、ICRPによる指針を基盤としての論議自体が問題だと思います。
ICRPが核利用推進側の強いバイアスがかかって出来ているもので、
IAEAはもちろん、それと手を結んでいるWHOでも同じ流れにあります。
つまり、国際的な原子力村からのバイアスに毒されたデータを基盤にしての議論は危険でしょう。
統計的エビデンスが完成するまでは、『安全』とみなすことは、あまりにも統計学的エビデンス至上主義と思います。
統計学的処理は、人体をブラックボックスとみなしての入出力関連を同定するものです(きっぱり)が、実際現在の医学生物学、特にDNAの損傷と修復に関する知見はブラックボックスではなく、かなりグレイボックスに進歩してきています。
DNAすら知られてなかった時代にはじまった初期のICRP時代ならいざ知らず、現在、明らかにされてきた知見を根拠にしての被爆の危険性評価が必要だと思います。
これ以上は、コメント欄には相応しくないと思いますので、また機会があれば、是非よろしくお願いします。ありがとう。
投稿情報: Kunio Ohtake | 2012/04/05 18:51
いつも先生の冷静で深い言葉に感銘を受けております。がしかし今回はいくつか違和感を感じました。私の無知からくる無礼ならお詫びします。先生は「基準値をクリアしているものについて過度に否定する必要はない」とおっしゃいますが、これは実際の所、どう担保されているのでしょう。「流通しているもの全てを把握しているわけではない」と国も認めているのですから、「基準値」そのものを疑う必要があると思うのですが…。あの「基準値」はあくまで「政治的な判断」ですよね。私は福島で仕事をしていますが、福島は自治体もTVも新聞も「大声で安全を『過度に』煽っている状態」だと思います。もっと危険側に立った情報を伝えるくらいの態度でないと、「正常性バイアス」のかかった福島の民を救えないと感じています。
投稿情報: Ysakamo | 2012/04/04 11:15
「放射線や放射能が安全か、危ないかというおおざっぱな二元論を離れなければなりません」という意見に賛同します。そうしたい個人が福島の食べ物を避ける自由を確保しつつ、合理的な範囲で設定された規制値内の食べ物を流通させることは可能だと考えます。
一点だけ、ささいなことですが、「その半減期は134Csで2年、137Csで30年程度である」「セシウムは体外に排泄される。成人では半減期が110日。小児ではもっと短い」という記述について、前者が物理学的半減期、後者が生物学的半減期のことだと文脈から明らかですが、明確に区別して記述したほうがわかりやすく感じる読者もいるかもしれません。
投稿情報: Kenji_Sakai | 2012/04/03 17:34
細かいところですが、
1、(20行目くらい)「時間あたり何ベクレルというものです」
時間当たりでなく、kg(もしくはg)あたり何ベクレルではないでしょうか?
2、(48行目?)「実質的に内部被曝が問題になるのは134Csと135Csということになります。」
135Cs→137Csではないでしょうか?
以上、本当に細かいです(+私が間違っているかもしれません)が、気づきましたので、確認お願いします。
全体の内容は大変参考になりました^^。
投稿情報: BudgieR | 2012/04/03 17:01