これもいろいろ意見があるところでしょうが、敢えて直しませんでした。ぼくがあれこれ言うより、現場に出てから考えればよいことだと思いますので。
感染症内科 BSLレポート
<ICN(infection control nurse)について>
近年、医療の進歩に伴い高齢者、担癌患者などの重症、易感染状態患者の増加、抗菌剤乱用に主に起因する新たな多剤耐性菌の出現による院内感染の多発、SIRSや鳥インフルエンザなどの新たなウイルスの出現の脅威など、院内感染防御対策を緊急に見直す必要性が迫られている。しかしながら病院の感染対策は、病院全体が対象となるため、個々の問題に対して包括的・戦略的に対策を立てて実践しなくてはならない。そのため従来の縦割りで部門ごとの病院内の組織を、横断的かつ合理的に活動を展開させる目的で設立されたのがICT(infection control team)であり、医師(ICD)をはじめ多職種のスタッフで構成されている。その中の看護師がICN(infection control nurse:感染管理認定看護師)である。
ICN認定のためには6ヶ月の教育、指定単位の履修、審査認定を受け通れば資格取得となる。具体的な活動内容は、主に院内サーベイランス(院内感染の監視や調査)や、院内を見回るラウンド、感染防止の為の院内感染防止マニュアル作成や感染対策、ならびに感染情報提供をし、コンサルテーションや教育・指導を行う事などである。そもそも看護師は他の医療職の中では多数派であり、患者ベットサイドで費やす時間も他の専門職より圧倒的に長く、接触時間の長さは感染制御にとってリスクであるため、感染制御という一面でのICN の存在意義は大きいと考えられる。
しかし、高度な専門知識や実践力が重要であるにも関わらず、感染看護専門看護師を育成する教育機関(日本看護系大学協議会認定校)は日本国内ではわずか3大学院のみであり、まだまだ十分とはいえない状況である。また資格を取る間は休職せざるを得なかったり、休職中は無給であるなど、色々な問題点が挙げられる。そしてそのような点を考慮すると、私は個人的にこのICNの資格認定制度について少し疑問に感じてしまう。多くの看護師の一部が前述したような資格をとるための時間、労力を費やしこれらの認定を受け感染対策に関わるよりは、全看護師、ひいては全医療従事者の感染に対する意識レベルの向上を図る方が有効ではないかと考える。例えば、前述したICNの活動内容のリストを配布し、それぞれチェック・点数化し、常に感染への意識をさせたり、感染予防・感染への対応に関する講義を看護師だけでなく、医師、薬剤師、事務員など全病院関係者へ向けて行う事などが挙げられる。
ICTメンバー(ICNメンバー含む)と現場スタッフの間に意識の隔たりがあれば、いくらICTが対応策を打っても、無理が生じてくる。現在はリンクナースがその両者をつなぐ役割を担っているが、それも十分とは言えない。そのため、各病院のICT、感染対策委員会はそこに注目し、お互いの連携の強化、院内感染の予防・管理、スタッフへの教育を主に進めていき、より有意義な機関として機能していって欲しいと思う。
参照:厚生労働省HP、国民衛生の動向、日本看護協会HP
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