若くて辛口ですが、学生の特権だからよいでしょう。ちなみに内容を僕は教唆していませんよ。
ICD(Infection Control Doctor)制度について
概要
ICDとは、院内において感染制御を専門とする医師のことで、1999年4月にICD制度協議会が発足したことで正式に認定された。具体的な業務内容として病院感染の実態調査・病院感染対策の立案と実施・対策の評価及び対策の見直し・職員の教育、啓発・病院感染多発時の対応・伝染性感染症発症時の対応等が挙げられている。また、認定資格として協議会加盟の学会所属・医師歴5年以上で感染対策実績あり・所属学会及び施設長の推薦が求められる。1, 2)
問題点
・感染対策委員会との差別化
・認定資格において知識や能力が問われないこと
ICT(Infection Control Team)が各科長と同様に病院長所属となっているケースは少なく(16.4%)、現状では多くの場合感染対策委員会(ICC: Infection Control Committee)(ICT、各科・コメディカルの責任者、病院長から成る)の下部組織あるいはICCがICTを兼ねており(81.5%)、1)ICTに与えられる権限や責任について疑問を抱かざるを得ない。ICTからの報告に基づき諮問を行うICCがICTに指示を出したり、ICTを兼ねたりしていては、感染対策について公平かつ客観的なチェックが困難になると思われる。しかし、ICDの認定資格自体に病院長あるいは感染対策委員会委員長による活動証明を必要とするため、2)これは各病院よりも制度自体に問題がある。認定資格も講習会に参加した回数や推薦状、医師歴等によって容易に得られるため、2)ICDに権威が無く、名ばかりのものとなるのも無理はないと思われる。
・ラウンドの少なさ
ICTラウンドを定期的に行っているのはICD全体のわずか50%で、そのうち、約70%が1-2週間に1回しか行わない。1)感染症は急性の疾患であることを考えると、これでは感染の防御対策よりもむしろ感染の調査書・報告書作成を目的としているようだ。また、ほとんどのICD(約80%)が細菌の分離状況を報告書にてチェックしており、検査室に足を運ぶICDはわずかである(約15%)。1)
・チーム医療としての構成員の乏しさ
ICDはICTの一員としてコメディカルと協力してチームで業務にあたるという名目になっているが、全国のICDは約6000人であるのに対しICN(Infection Control Nurse)が1500人弱である。3)現在日本の医師数が約30万人で看護師数が約90万人であることを考えると、3)ICTはチーム医療ではなく医師主導による古典的なタイプの医療形態であることが分かる。(その他のコメディカルとの比率は割愛)
今後の見直し
制度について、認定資格の取得に個人の能力が問われるようにすることやICDだけでなくICNをはじめコメディカルの比重を高めること等が必要となる。また、ICTはICCとは独立し、ある一定以上の権利と責務を与えるべきである。ICD個人に関して、感染防御には感染経路の特定が不可欠であるから報告を受けるだけでなく、実際に患者さんの状態を見ることが大切である。そのため、ICDであることの意識を高く持ち、ラウンドを頻繁に行い、また、検査室にて細菌分離の実態を確認すべきだと思う。
参照)
1)厚生統計会、国民衛生の動向、衛生の指標 2003; 50(9)
2)ICD制度協議会ホームページ http://www.icdjc.jp/ 2011年11月15日閲覧
3)厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/index.shtml 2011年11月15日閲覧
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