これも何度かやっていますが、繰り返しです。
☆Bechet 病に関して
ベーチェット病は、地中海沿岸から東アジアにかけての古代シルクロードに多く見られる、全身性血管炎を主な病理学的所見とする自己免疫疾患である。本症の病因・病態は不明だが、HLA-B51との相関か強く、また患者の10%が血縁者にも本症を有する事から、遺伝的背景があると考えられている1)。
【臨床所見】2)
以下、主要な臨床所見について記載する。再発する有痛性の粘膜皮膚潰瘍は、大半の症例で共通して見られるが、その他の臨床所見の頻度等に関しては、人種や性別等の患者背景によって多少異なる。
1)口腔内潰瘍(95%) 有痛性・再発性で、1・2週間持続し瘢痕を残さず消失する。
2)外陰部潰瘍(75%) 口腔内潰瘍と似た性状を呈し、陰嚢や外陰部に見られる。
3)皮膚病変(75%) 座創様皮疹・毛包炎・結節性紅斑など多彩な所見を呈する。
4)眼病変(60%) 虹彩毛様体炎・網膜絡膜炎を呈し、視力低下を伴う。
5)関節炎(50%) 四肢の大・中関節に多く、関節の変形や硬直は伴わない。
6)血管病変(30%) 深部静脈血栓が最も多く、動脈瘤・動脈塞栓などもきたす。
7)神経病変(10%) 脳幹部・基底膜周囲・小脳などの脳実質に病変をきたす。
8)消化性潰瘍(数%) 回盲部・上行結腸に多く、重症化すると穿孔を伴う。
【診断】2)
WBC・CRP・血沈など非特異的炎症マーカーは高値を示すが、特異的な検査所見がないため、主に臨床症状に基づいて診断する。現在広く用いられている国際診断基準(感度98%・特異度99%)4)を以下に示す。なお日本においては、特定疾患に認定されており、その認定基準も別に存在する。
※再発性口腔内潰瘍に加えて以下の項目のうち2つを満たす。
A)再発性陰部潰瘍 B)眼病変 C)皮膚病変 D)皮膚針反応
【治療】3)
以下、標準的な内科的治療薬・投与量(/day)を以下に述べるが、必要に応じて外科治療も考慮する。
臨床所見 |
治療方針 |
口腔内・外陰部潰瘍 |
基本方針⇒「第一選択:局所ステロイド」+「コルヒチン(1~2mg)」 ※上記で不十分⇒「ステロイド内服(15 mg)」を追加 |
皮膚病変・関節炎 |
基本方針⇒「第一選択:コルヒチン」+「ステロイド内服(10 mg)」 ※結節性紅斑⇒「ステロイド内服(40mg)」+「アザチオプリン」 |
虹彩毛様体炎(眼病変) |
基本方針⇒「局所ステロイド」+「スコポラミン点眼」 ※上記で不十分⇒「ステロイド内服(40mg)」を追加 |
網膜絡膜炎(眼病変) 神経・血管・腸管病変 |
基本方針⇒「大量ステロイド(1 mg/kg)」+「アザチオプリン」 ※上記で不十分⇒「インフリキシマブ」を追加 |
※投与量:アザチオプリン ⇒ 最初は50 mg→1ヶ月程度で2.5 mg/kgへ増量
参考文献
1)Harrison’s Internal Medicine 17th edition
2)Up to date: “clinical manifestations and diagnosis of Behçet’s disease”
3)Up to date: “Treatment of Behçet’s disease”
4)TunçR, Uluhan A, etc: A reassessment of the International Study Group criteria for the diagnosis (classification) of Behçet's syndrome: Clin Exp Rheumatol. 2001
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。