ご苦労様です。要諦は抑えていると思います。
ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jiroveci pneumonia : PCP)について
HIV患者におけるPCPと非HIV患者におけるPCPがあるが、今回はHIV患者(CD4 200mm3以下)のPCPについてまとめた。
[症状]
顕著な症状としては体動時の呼吸困難がある。これはPCPにより肺胞液が貯留して酸素交換を阻害するために、酸素供給が追いつかなくなるからである。
一般には、発熱(79~100%)、乾性咳嗽(95%)、呼吸困難(95%)、喀痰(30%)のような症状が認められる。その他の症状として、全身倦怠感、胸部痛、体重減少などが認められる。無症候性は約7%である。
[検査・診断]
通常、肺の聴診は正常である。
画像所見としては、胸部X線写真では初期に異常所見を認めないことが多いが、典型的には間質性肺炎様の網状結節性の両側性浸潤影(蝶形陰影:肺水腫 にも似ている)がみられる。嚢胞性病変や気胸を示すことも稀にある。ペンタミジン吸入などPCP予防をしている患者では非対称性に肺尖部に限局した浸潤影を認めることがある。高解像度CTではすりガラス状陰影を認める。
診断としては、喀痰(3%食塩水30分吸入で誘発)やBAL液からカリニを認めることが基本となっている。呼吸器病変がありPCPが疑われる場合は、カリニを認めず診断が確定していなくても予測的に治療を開始してよい。
[治療](一般に隔離は不要)
① 重症でない場合(PaO2≧70mmHg)
ST合剤(バクタ×4錠):トリメトプリムで5mg/kg。8週間毎に2〜3週間服用。
⇒副作用:薬疹、肝機能異常、腎機能異常(クレアチニンの上昇)、高K血症、白血球減少、巨赤芽球性貧血など。
代替薬しては、ペンタミジン静注3〜4mg/kg/dayを3週間。
⇒副作用:腎機能異常、好中球減少、血糖異常、膵炎、貧血など
② 重症な場合(PaO2<70mmHg)
ST合剤(バクトラミン):トリメトプリムで5mg/kgを8週間毎に静注。
同時にプレドニン40mgを最初の5日間は2回/日、次の5日間は1回/日、残りの11日は20mgを1回/日服用する。
③ 代替処方
アトバコン:750mgを2回/日×3週間
⇒副作用:発疹、悪心、嘔吐、下痢、発熱、不眠、肝機能障害など。
参考文献:レジデントのための感染症診療マニュアル、感染症診療スタンダードマニュアル
Up to date:Clinical presentation and diagnosis of Pneumocystis infection in HIV-infected patients
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。