わが故郷島根県が出すのはイチローの奥さんとか佐野史郎ばかりではない。世界初めての化学療法薬、サルバルサンの共同開発者、秦佐八郎は島根県益田市の出身だ。
外国の微生物学の教科書には必ず記載のある秦だが、日本ではあまり知られないマイナーな存在だった。英語版のWikipediaには名前が載っているのに、日本語版には載っていない、、、と思っていたら、最近でるようになりましたね。地元益田市には特設ページができていた。気づかなかったな。
サルバルサンがドイツの学会で紹介されたのが1910年、アメリカで紹介されたのがちょうど100年前の1911年。フレミングがペニシリンを発見したのが1928年だから、この業績がいかに偉大で先験的であったかが分かる。スローンケタリングのセプコヴィッツが(アメリカで)100年目のサルバルサンをNEJMで紹介している。なかなかに興味深い文章だ。
梅毒の特効薬、、、と称されることの多いサルバルサンだが、実際には再発例も多く、難治性の神経梅毒などには効果が小さかったらしい。そしてヒ素を含むこの薬はたいへん副作用も多かったらしい。
黒澤明の「静かなる決闘」では手術中に梅毒感染を起こした医師が婚約者を前に悶々とする、、、という葛藤が描かれている。そのストイックさは今の目から見るとちょっと「引いてしまう」けれど。主人公はサルバルサンを注射するのだけどなかなかワッセルマンが下がらない、、、なるほど。確かに治りにくいケースもあるようだ。スピロヘータってさくっと死ぬイメージがあったけれど、こういうこともあるんですね。
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