これも、とてもよくできてます。もう一工夫あってもよかったかな。
MRSAに効く薬について
HA-MRSA(hospital-associated MRSA)について
抗MRSA薬として、グリコペプチド系、オキサゾリジノン系、アミノグリコシド系が主に使われる。
グリコペプチド系(バンコマイシン、テイコプラニン)
基本的にはグラム陽性球菌をカバーし、バンコマイシンは第一選択薬となっている。ブドウ球菌を殺す速度はβラクタム系よりも遅いという報告もあるので、MSSAにはβラクタム系を使う。また、他の腎毒性のある薬や利尿剤などとの併用により腎毒性が出てくることがある。腎機能が正常な症例には単剤使用ならばTDMを行う必要はないとされている。トラフ値は大人で15–20 µg/mLが推奨されている。
テイコプラニンは、アメリカで市販されておらず臨床研究などのデータがない。
オキサゾリジノン系(リネゾリド)
他の抗MRSA薬よりも治療効果が優れているという報告もあるが、VREにも有効であるため、乱用すれば新たな耐性菌を生み出すことにつながる。よって第一選択薬にはならない。グリコペプチド系と違い腎機能に応じた投与量調節、および血中濃度測定が不要である。消化管吸収がよく、静注、経口ともに利用可能であることも利点である。適応としては、グラム陽性球菌感染が疑われていて、腎機能悪化の恐れのある症例などである。副作用は骨髄抑制、神経障害、乳酸アシドーシスなどである。
アミノグリコシド系(アルベカシン)
単剤で使う機会がほとんどない、治療実績が少ない、また、腎毒性、腸毒性などの副作用が多いという点から、実際に臨床の現場で抗MRSA薬として使われることはほとんどない。
・CA-MRSA(community-associated MRSA)について
MRSAに感染した場所よりも、発症した場所が市中であることを指してCA-MRSAと呼ぶ事が多いがはっきりとした定義はない。バンコマイシンが第一選択薬となっているが、HA-MRSAよりも感受性があるので使用する事も考える。
クリンダマイシン 静菌的であるため、感染性心内膜炎や敗血症性血栓性静脈炎といった血管内感染症には推奨されていない。
ST合剤 In vitroでは95〜100%のCA-MRSAに対して感受性があるといわれている。骨と関節のMSSA感染症に使用できるとの研究もある。副作用として、レニン-アンギオテンシン系を阻害し、高カリウム血症や腎機能障害を引き起こすことがある。
ドキシサイクリン、ミノサイクリン テトラサイクリン系の薬で、妊婦と8歳以下の子供には推奨されない。
以下は国内未承認
daptomycin バンコマイシンと同等の効果を示すが、肺炎治療には使えない(肺サーファクタントで不活化される)。
Quinupristin-Dalfopristin 皮膚•軟部組織感染症の治療薬であり、バンコマイシンで治療して失敗した際に使われることがある。
Teravancin FDAではMRSA、VISA,VRSAによる皮膚•軟部組織感染症に効くと承認されている。臨床研究ではバンコマイシンと比較して腎機能悪化の頻度が高いことがいわれており、慎重な腎機能のモニターが必要。
参考文献 ・レジデントのための感染症診療マニュアル
・Clinical Infectious Diseases Advance Access published January 4, 2011
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