PCPは守備範囲によって意味が異なる。地域医療ではプライマリケア医かもしれないし、感染症屋は肺炎だし、BAKUMANファンならマンガのタイトル、、、、ちゃんと非HIVの治療も書いていたのは、えらい。
Pneumocystis肺炎(PCP)の治療について
Pneumocystis感染症は、免疫力の低下している患者にとって命を脅かしうるものであり、とりわけHIV感染や移植の既往がある者に感染が起きた場合の管理が重要であることはいうまでもない。現在、PCPの治療方針は大きくHIV感染の有無で分類し、以下のように推奨されている。
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HIV患者 |
非HIV患者 |
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第一選択薬 |
ST合剤(trimethoprim 5mg/kg, sulfamethoxazole 25mg/kg)を6~8時間ごとに経口もしくは静脈内投与 |
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副作用 |
発熱、発疹、血球減少、肝炎、高カリウム血症、胃腸障害 |
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治療期間 |
3週間 |
2週間 |
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ステロイド併用 |
重症例に推奨あり |
推奨なし |
発疹や胃腸障害などの副作用が強く、ST合剤が使えない患者の代替薬 |
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* 軽度から中等度のPCP患者 |
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・atovaquone750mgの1日2回経口投与が推奨。 |
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*中等度から重度のPCP患者 |
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・pentamidine3~4mg/kgの連日静脈内投与が推奨。 |
☆HIV感染患者;
・ST合剤による副作用は80%以上の確率で発現しうるため、慎重に投与し、上記のような副作用が強く出た場合は薬剤を変更する必要がある。
・呼吸機能悪化の防止および生存率改善のためステロイド薬併用が推奨されており、出来る限り迅速な併用が望ましい。また、他の日和見感染症を誘発する危険性も低く、一般に安全であることが証明されている。
(prednisone40mgの1日2回5間→40mg連日投与5日間→20mg連日投与11日間、経口または静脈内投与)
・治療への反応に時間がかかるため、治療に不応であると判断するには7日間以上の経過観察が必要。
☆非HIV感染者;
・副作用は一般的に胃腸障害と発疹の頻度が高いとされている。
・room airで低酸素血症(PaO2<70mmHg)の患者には補助的にglucocorticoidesを使用することが望ましい。
考察
進行性の呼吸障害を来たすため、PCPの治療は早期に開始される必要があり、確定診断に時間を要する場合は経験的治療が求められる。また、PCPの臨床像は非特異的であり、治療効果判定のマーカーとして画像検査や血清学的所見は有用ではないように思われる。治療経過中のモニタリングとしては、患者の呼吸状態と上記に挙げたような副作用に注意することが最も重要であると考える。
参考;
(UP TO DATE, Treatment and prevention of Pneumocystis pneumonia in non-HIV-infected patients
(UP TO DATE, Treatment of Pneumocystis Infection in HIV-infected patients
(ハリソン内科学 第3版
(Delclaux, C, Zahar, JR, Amraoui, G, et al. Corticosteroids as adjunctive therapy for severe Pneumocystis carinii pneumonia in non-human immunodeficiency virus-infected patients: retrospective study of 31 patients. Clin Infect Dis 1999; 29:670.
(Mandell GL, Bennett JE, and Dolin R. Mandell, Douglas, and Benett’s principles and practice of infectious diseases. 7th edition. 2010. p3384-3386.
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