3月に入り、予防接種後の死亡報告が4例あり、厚生労働省は小児用肺炎球菌ワクチンとインフルエンザ菌ワクチン(ヒブ)を一時見合わせることにした。愛するお子さんを失った家族の気持ちはいかばかりか。心からお悔やみ申し上げます。
僕は今回の厚労省の判断を妥当なものと考える。論拠は以下の通りである。
1.今回の死亡について、よく分からないことが多い。よく分からないときは、よく(少なくともある程度)分かるようになるまでは即断してはならない。
2.肺炎球菌ワクチンにしてもヒブにしても緊急要件ではない。「輸血を一時見合わせます」とか「お産を一時見合わせます」とは訳が違う。予防接種の間隔を多少、空けても効果は問題ない。
3.予防接種を継続するのも判断、見合わせるのも判断だが、1と2の条件を合わせるならば、「事情が分かるようになるまでは見合わせる」が正しい解である。厚労省はだから正しい。僕はそう考える。
こういうとき、僕らプロはがたがた取り乱したり、慌てたり、騒いだりしてはダメである。僕らが取り乱したり、慌てたり、騒げば親はもっと取り乱し、慌て、騒ぐだろう。こういうときは、高度に意識的に、戦略的に意図的に「おかみの言うことを黙って聞く」のが正しい判断だ。厚労省の言っていることは正しい。8日まで語りえないことについては沈黙し、座して待ちましょう。
厚労省のQ&Aもよくできている。褒めてるんだから転載許してくださいね。
http://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/2r98520000013zrz.html
小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチン接種の一時的見合わせについての Q&A
平成23年3月5日健康局結核感染症課医薬食品局安全対策課
問1 なぜ、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの接種を一時的に見合わせたのですか。
3月2日から4日までの間に、報告医によれば因果関係は評価不能又は不明とされていますが、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンを含むワクチン同時接種後の死亡例が4例報告されたため、至急調査をしているところです。情報を収集し専門家による因果関係の評価を実施するまでの間、念のため接種を一時的に見合わせることとしたものです。なお専門家による会議は3月8日に開催させていただく予定です。
問2 最近、子どもが小児用肺炎球菌ワクチン又はヒブワクチンを接種したのですが、大丈夫でしょうか。どのようなことに気をつければよいでしょうか。
我が国でも発売以来それぞれ100万人から150万人程度の子供に接種されたと推定されており、特に著しい問題は生じていないことが先日行われた調査会で確認されております。また、今回の報告については、接種当日(3 例)または 3 日後(1 例)に生じており、接種数日を経ている方についてはご心配ないものと考えられます。またこれらの亡くなられた子どもさんの状況についての予防接種との関係については、現在至急調査を行っているところです。特に接種直後から数日以内に、高熱、ぐったりしているなど、普段と異なる症状が見られる場合には医師に相談してください。
問3 小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンを同時接種する場合ではなく、いずれか一方を接種することも見合わせているのでしょうか。
ワクチンとの関連を評価するまでの間は、念のため、単独での接種も見合わせることといたしました。
問4 DPT(ジフテリア、百日せき、破傷風)3種混合ワクチンの接種は見合わせていないのですか。
DPTワクチンは従来から定期接種ワクチンとして広く使用されているワクチンであり、これまでの我が国での接種の実績からみて接種を見合わせることとはしていません。一方、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンは我が国での発売以降の期間がそれぞれ1年又は2年程度と短く、また、昨年11月から開始した接種事業により接種者数がそれ以前に比べ増加している状況にあるため、評価を行うまで念のため一時見合わせることとしました。
問5 接種の見合わせはいつまで続きますか。
因果関係の評価を行う専門家の会議を3月8日に予定しており、少なくともそれまでの間は接種の見合わせをお願いいたします。その後の対応は、検討結果を踏まえて速やかに決めたうえ、改めてご案内いたします。
問6 来月、次回の接種を予定していますが、接種できますか。
3月8日に開催する予定の、専門家の会議の結果を速やかに公表する予定ですので、その結果をご参考にしてください。
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