pippinさんという方からコメントいただいたので、ブログで再掲して、その回答を記す。
で、その時書き忘れていたのが、pippinさんがおっしゃっていた「分母の問題」である。
一般に、感染症の問題は「分母の問題」と言われる。分母が明確でないから、よく分からない議論になる。しかし、VAPPの場合は分母は「OPVをもらった人」なので比較的クリアカットである。問題は、分子である。ここがややこしいところなのだと、僕は思う。
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pippinさん ブログへのコメントありがとうございます。 申し訳ありませんが、いただいたコメントの全てにお答えするだけの能力を持ちません。2点だけ回答させてください。
・「440万人接種に1人の頻度」この数字の根拠はどこにあるのでしょうか? これはすでにブログに載せた通りです。
Plotkinの教科書に引用されている論文です(あいにく英語ですが)。
・440万に1人という数字が、医師や医療関係者を油断させているという事は考えられませんでしょうか?
少なくとも僕は、○分の1だからよい、とか油断できる、とは考えません。ポリオは根絶が目標というのが世界的コンセンサス(日本もそう)で、VAPPが何 人出れば許容される、あるいはされない、という議論の立て方そのものがおかしいと思います。
拙著にも、そしてこれまでにもずっと申し上げてきましたが、日本はできるだけはやくIPVに切り替えるべきだと僕も考えています。そしてそう主張してきま した。その点において、pippinさんと僕には意見の対立はないと思います。この場ではこれ以上うまく説明できませんが、できましたら拙著をお読みいた だき、その意図をご理解ください。
先生への敬意を表し本名でコメントいたします。
お返事ありがとうございました。
ご著書《予防接種は「効く」のか?》も拝読しました。
興味深く読み進める事ができましたし、医療関係の皆様からも好評を得られていることも理解できました。
ただだからこそ、(先生のお返事でもう数字の事は持ち出さないようにしようと思っていたのにですが)あの一点が気になるのです。
前々から感染症の専門書には440万人(または数百、数百接種)とされていて、医療関係の方々がこれを信じられていたら、恐いものだとずっと思っていました。そして最近の国内外でのVAPPへの認識の高まりで、いづれこの数字は書き変えられるものと・・・先生にそれを期待していたのです。
先生は診るものにとって頻度は関係ないように言われますが、そちら側からの見方、患者側はから言えば「きわめて稀なこと」だと見逃される事がある・・・これは真実なのです。
「ワクチンでマヒするはずがない」とか、ポリオの発症時の症状をご存じないということもありますが。
でも、もう、データーや数字は追わない事にします。私の力では無理だからです。
私に出来るのは、現実に見た事、知らされた事、そこから感じた事を訴えていくことです。
VAPPの発症数が年に数例出ているのは事実です。見逃されているものもあるでしょう。
国内に野生株のポリオが存在しない今、IPV接種後のマヒはVAPPとみるのが妥当ではないでしょうか?
お気に障る事も書いてしまったかもしれません。でも、先生が言われるように一番重要な部分では先生と同じ気持ちです。
もうこれ以上、頻度の問題で先生にコメントすることは差し控えます。
「IPVへの切り替え」は、もはや多くの国民の願いです。
それがなされればVAPPの頻度の分母も分子もとやかく言う必要はなくなります。
IPVは他のワクチンと違い、現在のところゼロリスクなのですから。
※やはりこちらにコメントしました。
先に送信しましたものは削除してください。送信ミスで行っていないかもしれませんが・・・
投稿情報: pippin(稲村 敦子) | 2011/01/06 18:15