ウチダ本をがんがん読んでいる。
武道的思考 (筑摩選書)
武道的思考 (筑摩選書)
著者:内田 樹 | |
武道的思考はコンピレーションなのですでに既読の内容が多く、サラサラ読めた。身体性については理解が乏しかったのだが、ようやく納得、という感じで読めてきた。この勢いでメルロ・ポンティまでいける、、、かなあ。
9条どうでしょう
9条どうでしょう
著者:内田 樹,平川 克美,小田嶋 隆,町山 智浩 | |
少し古い本だが、これが最近読んだ中で一番面白かった。「日本辺境論」の源流であり、しかもこちらのほうがよりリアルである。
たぶん、発刊当時は読者にあまり理解されず、ヒステリックに解釈された可能性が高い。あるいは装丁からして「いつものウチダ本」と勘違いされている可能性がある。非常にハードな本である。後半は正直うーん、であるが、前半のウチダ、町山部分は実に面白い。
内田樹さんがブレイクしていると言うよりは、ぼくはここ数年日本人がとても成熟しつつあるのだと思っている。内田さんが10−20年くらい先を走っていて、ようやく僕らが、追いついてきたのである。ようやく内田さんの本が面白く読めるように日本人が成長してきたのだ。
自分の頭で考える、複雑なものを複雑に考える、単純化しない、白黒はっきりつけようとしない、グローバル・スタンダードのような「手垢のついた」キャッチフレーズに安易に飛び込まない、かといってアホみたいにナショナリスティックにならない、子どもっぽくならない、、、これがウチダ本を読むために必要な態度である。20年前、みんな子どもだったときには(僕も子どもっぽかったが)、だれも見向きもしないような本である。5年前でも厳しかった。今、ようやくである。ちなみに、サッカーのほうも偶然か必然かここ数年で急速に成熟が見られるのは興味深い。
そうそう、最近、中学校で教師が生徒を怒鳴りつけているのを見た。ふざけた態度を取っていたので、まじめに叱っていたのだ。小学校で順位付きのリレーや騎馬戦が復活している(前から残ってたの?)。よいことだ。
ノーベル化学賞のニュースでも大騒ぎしていたのはメディアくらいで、周囲は誠にクールであった。これもよいことだ。もちろん、科学に勤しむ日本人が増えることはよいことだが、それが「日本人がノーベル賞を取ったから」という理由では困る。ノーベル賞は結果であって目的ではないからだ。目的と結果の取り違えも、近年ようやく減少してきた。
ヒステリック・アメリカンな小児病をようやく日本は乗り越え、大人の感覚が萌芽しようとしている。喜ばしい限りだ。医療も教育もぼこぼこにされてようやく自分の脚で立ち上がろう、自分の頭で乗り越えようという気分になってきたのだろう。あとは司法、行政かな。小児病の克服は。
「9条」の本と言うだけで嫌がられそうだが、本書は絶対に買いである。
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