ずっとほったらかしていた「オランダモデル」を超速攻で読みました。
初期研修医の労働についていろいろ考えています。アメリカでもヨーロッパでも、「研修医って労働者、学生?」といった議論はしてきましたが、それは「難しい」という回答でした。日本だけが、難しさと直視・直面できないでいます。僕は、厚労省がちゃんとした指針やガイドラインを作っていないのがけしからん、といっているのではないのです。どうせ突貫工事だし、僕としてはあまり役所にあれしろ、これするなとは言われたくない。けれど、厚生省がやっていることを労働省が全く知らず、あれやこれやの制約をかけるのは勘弁して欲しいと思います。そりゃ、ないんじゃないの?と思います。やはり常に現実を直視して欲しい。
現実を直視させれば世界一な国家がオランダです。アメリカなんかは、理想主義/理念主義国家なので、「こうなっているはず」「こうあるべき」というヴィジョンは明確ですが、それから外れてしまうと知らん顔です。アメリカくらい理念と現実のギャップの激しい国はありません。アメリカという国は現実を直視できないし、自身を相対化も出来ない(他の国に関心がないから)。
さて、本書を読んでとくにぐぐっとひかれたところは、
・正規雇用者とパートタイマーの差をなくす(既得権の放棄)
・労使政が協力してコンセンサスをとる。対立構造ではなく、同じ方向を向いている。
・オランダでは日本人が日本人であることに寛容である。各文化が尊重される、柱状社会。アメリカでは、日本人は「アメリカ人のふり」をして生きていかねばならないか、そうしないと当の(アメリカにいる)日本人からバカにされたり非難される(たぶん、アメリカ人はどっちでも良いと思っていると思うけど)。
・オランダではマリファナは合法だが(その理由はここでは説明しない)が、販売するコーヒーショップの要件に
ハードドラッグは売らない
18歳以下に売らない
最大量は5g
アルコールと共に売らない
周囲に迷惑をかけない(!)
とある。
・学校でしっかり社会教育をし、「考えさせる」。日本では考える生徒は先生に嫌がられ、先生の言うとおり西、素直に覚えてくれる生徒が「よい生徒」になりやすい。授業参観を見ていてとてもそう思う。
安楽死、尊厳死については近著で書いているのでここでは割愛します。
なお、オランダは世界で一番高い評価を受けている医療を提供している国でもあります。日本も、「我が国はアメリカよりも良い医療を提供している」なんて志の低いことを言わないで、もっと目線を高くするのが良いと思います。
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