EBMとNBMの本質から病の実在性まで、極めて分かりやすく書いた本。それゆえにすごい。こんなに簡単には普通、かけない。
こちらも平易な文章だが、がん診療にまつわる本質的な問題を明解にした本です。これもお奨めです。
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EBMとNBMの本質から病の実在性まで、極めて分かりやすく書いた本。それゆえにすごい。こんなに簡単には普通、かけない。
こちらも平易な文章だが、がん診療にまつわる本質的な問題を明解にした本です。これもお奨めです。
投稿情報: 14:35 カテゴリー: 本、映画、その他 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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Clinical practice guideline for evaluation of fever and infection in older adult residents of long-term care facilities. 2008 update by the Infectious Diseases Society of America. CID 2009;48:149-71
ワークアップに特化したガイドラインで、まあ、あまりぱっとしません。治療のガイドラインはローカルファクターが強すぎて書けなかったのでしょうか、、、
・長期療養施設の住人は感染症のリスクにさらされている。高齢、数々の基礎疾患が問題である。
・このような住人では、重症感染症でも発熱は半分以下でしか見られない。
・急性期病院のように施設・インフラにも恵まれていない。
・今回は、2000年ガイドラインの改訂版。
・2030人には米国の20%が65歳以上に。3000万人以上が長期療養を必要とする。
・現状では、16000以上のナーシング・ホーム(かそれに準ずる施設)があり、住民数は150万人。
・ナース主体で、地域のプライベート・ドクターが支援している。
・多いのは、尿路感染、肺炎、軟部組織感染症、胃腸炎、異物関連感染。
・肺炎、尿路感染はだいたい1/1000・日。肺炎は市中の10倍
・耐性菌も多い。
・症状は分かりにくい。意識障害や「いつもと違う」も大事。発熱は、ベースラインからの逸脱や持続する微熱も発熱と認識する。
・ナース・アシスタント(CNA)は問題点を最初認識する人物であるが、研究によると間違って認識することも多い。
・ワークアップは、バイタルサインをチェックし(呼吸数含む)、水バランス、意識状態、口腔内/咽頭、結膜、皮膚(陰部なども含む)、胸腹部、異物。
・検査は可能なら、検査。
・CBCはやろう(根拠は?)
・尿検、尿培養も。症状なければOK。
・血液検査はルーチンではすすめられない。あきらかに菌血症を疑えば、やる(やってはいけない、と言う意味ではない)。
・肺炎を疑ったら適宜酸素飽和度とレントゲンを考慮
・ウイルス感染を疑ったら、気道をワークアップ。
・SSTIでのスワブはやらない。骨髄炎を疑ったらMRIがベター、骨生検がベスト。
・他にもいろいろ検査の推奨はあるが、常識範囲内。
・7日以内の下痢は、ワークアップ不要。水の管理のみ。
・重症の発熱を伴う腸炎であれば偽膜性腸炎を考えワークアップ。やはり腸炎で、抗菌薬曝露がないとかCDトキシン陰性なら、便培養を考える。
投稿情報: 18:06 カテゴリー: 感染症 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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東京で慢性期医療における感染症の話をしました。往復中に読んだ本。
両方、同著者による本。
現状の価値観に異議を唱え、価値の揺さぶりを試みる部分は面白いと思いました。何かが正当性を決めつけて管理するのはおかしい、という意見も説得力がありました。が、あまりにもルサンチマンが強すぎて議論が飛んでいるなあ、とも思いました。権力、差別、体制側といった使い古された(手垢のついた)ことばへのルサンチマンが議論を雑にしているかな。
生物、生命、死といった概念についても「正しい」「正しくない」「間違っている」「許せない」という恣意的なキーワードでばっさりやっているので、議論もそこで止まっている。結局、価値を決めつけるのはおかしい、と主張している一方で別の価値観の決めつけが行われてしまっている。
根源的に突き詰めて謎解きにとりかかった、というより「俺の主張」が先にあって、その後付的な議論がされているからなのでしょうか。ちょっと点が辛いですが、それは僕が価値判断の相対化にこだわっているせいで、断定的な議論に苦手意識を持っているせいかもしれません。読者が本を作ってしまう部分はありますね。
投稿情報: 08:55 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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これは突き動かされ、魂を揺り動かされる本でした。
哲学本の解説書では、よく「いやいや、この人はそんなことは言っていない」という引用元の真意の正当性、「正しさ」が論争の元となります。ニーチェはこんなこといってない、サルトルはそんなことは考えていない、フッサールの真意はそこにはない、、、、みたいな。こうした正しさ論争は、本人なしでやってもいつまで経っても解決しませんし、たぶん、例え本人が目の前にいても解決しないでしょう。「俺はそんなつもりで書いたんじゃない」とたとえ本人が主張したとしても、それが正当な言説であるかは証明しようがないからです。
というわけで、ある哲学者や哲学書の解説本や解釈本は、その本の内容そのものを読み込んで吟味した方がよっぽど理にかなっていると思います。「この本は正しく○○を説明しているか」ではなく、この本がいっているこれ、これがこころをえぐって価値を揺さぶるのか、、、、そういう意味では本書はものすごくえぐりました。現象学を「お勉強」の対象とせず、自らの問題として突き詰めていく、という態度も納得しました。だから、現象学的態度を取ってもフッサールに納得しない、というレヴィナスの言説もあり、なのだと。
倫理という語り得ないものを議論するとき、倫理性と主体性は「私はあなたより先に、あなた以上に有責である」という宣言によってはじめて基礎づけられる、という一文が倫理を非常にリアリティのある具体的な概念に仕立て上げます。そして、その宣言をするのは私一人、ただひとりなのだと。
投稿情報: 17:31 カテゴリー: 本、映画、その他 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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駆け込みで来年度の書類を作っています。4年生、5年生、6年生、初期研修、後期研修とそれぞれ一般目標だの、個別目標だのをたてるのですが、なんとも時間の無駄遣いです。
例えば、目標にはこんなことが書いてあります。
輸液の意味を十分に理解する。
あるいは、
緩和医療を定義できる。
こんな難しい命題、誰にも分からないし、第一学生がそれを達成できたのか、検証することも不可能です。「できていない」ことは検証できますが。
このようなオールマイティーな言葉は、何も言っていないのと同じなので、要するに第三者がのぞきに来たときに、「私は一所懸命書類を書きましたよ」というがんばりを証明するアリバイ作りにしかなっていません。がんばりそのものが評価の対象になるのは、アマチュアリズムに毒されているからです。そして、そんな空しいものだけが評価の対象になっている空しい作業をやっている指導医に教えてもらっている教え子が、正当に評価されるのでしょうか。そんなわけ、ない。少なくともプロはそんな無意味なことは、頼みにしない。
医師や医学生のめざすところは、到底到達できないところを、到達できないと知りつつめざし、かつそのことでニヒリズムに陥らず、適度にがんばり、適度に休み、適度に勉強し、適度に頭でっかちにならず、適度に患者さんに尽くし、でも患者さんや自分に溺れず、今の自分に満足せず、でも今の自分に絶望もせず、愛する人を大事にし、愛する人の方が患者さんよりも大切な存在である、という当たり前の事実を自覚しつつ、それでも患者中心の医療、というスローガンの「本当に」意味するところを認識し、偽善を憎み、でも偽善フリーはほぼありえないというかそれをいうのが一番偽善的と自覚し、大嘘つきにはならないが、ほどよく心のこもったウソをつき、他人の長所を手本とし、しかし醜い嫉妬心を起こさず、他人の短所は他山の石とし、しかしやはり愚かな優越の劣情を覚えず、理性を重んじ、同時に理性などというファンタジーを過信せず、正しい道を貫かんとしつつ、正しさってなあに?と首をかしげてこつこつ、うじうじ、どうにかこうにかがんばっていくこと。くらいでしょうか。こんなこと書類に書いても誰も許してくれませんが。
要するに何が言いたいかというと、年末の書類仕事がいやだな、ということでした。
投稿情報: 14:30 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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最近、ガイドラインが多すぎて追っかけられません。
http://www.idsociety.org/content.aspx?id=9200#cand
カンジダのガイドライン。サマリーだけ読んで、とくに行動変容も起きなそうでした。でも、for 2 weeks after documented clearance of Candida from the blood-streamと書いてあってほっとしました(最後の陽性から数えて、、、って言葉的に変だと思っていたし)。あと、reasonable, attractiveという恣意性を込めた形容詞が多く使われていたのが印象的で、好感を持ちました。書き手のメッセージがはっきりしているガイドラインは、良いガイドラインの可能性が高いと思います。
http://www.journals.uchicago.edu/doi/full/10.1086/598513
インフルエンザのガイドライン、さらさらさらーーっと、たぶんl、行動変容はないな、と決めつけました。また機会があれば、読もう。
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr58e324a1.htm
OIガイドライン。サイトメガロのところだけ、さらさらっと流し読み。欲しい情報については明記なし(IRISのステロイド量と、ガンシクロビルの副作用対策)。分からないものは、いつも分からないことが多いです。こういう部分はあまり気にしないのが健全な態度かと。
あとは偉大なるSax先生の仰せのママに、、、ついにCPEという呼称になったか、、、、これもやっかいです。
http://blogs.jwatch.org/hiv-id-observations/
投稿情報: 13:50 カテゴリー: 感染症 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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今年度はやっつけ仕事だった学生教育ですが、来年度(来週)からは本腰を入れてやらなければ。GIOやSBOとか計画書に書かされるのですが、こういうお題目が役に立った試しはないです。研修医のEPOCも全然役に立たないので、神戸大では廃止したい、と提案しているところです。
では、どんなものが役に立つかというと、例えばこんな本です。Saint-Francesの学生実習用の教科書で、入院、外来用があります。とてもいいことがたくさん書いてある。
Clinical medicine is not about how much you know. Instead, it is about
1. Methodically applying what you ko know;
2. Recognizing when you do not know; and
3. Knowing how to find the knowledge you need.
Recognize that human interactions are complex. Expect complexity.
Tacit knowledge may limit the ability of your superiors to teach you. Tacit knowledge means knowing how to perform a task but not remembering how you learned it. Once a skill has become tacit, it is difficult to teach it to students. This is why experts in a topic can be the worst teachers and why some of your best attendings may find it hard to explain to you how they do the great things they do. This book provides insight into what has made your great role models great.
We are what we repeatedly do. Excellence then is not an act, but a habit.
Medicine requires teamwork. Each team member has a role. Roles are ultimately established by the team.
文章もとても美しいですね。
投稿情報: 10:39 カテゴリー: 本、映画、その他 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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青木洋介先生に招かれ、佐賀に来ています。
昔は「対談」というジャンルをあまり好ましく思っていませんでした。仲良し意見の合う同士がしゃんしゃんで話し合ってもなあ、と思っていたのです。しかし、ダイアログの中には書き言葉にはない面白みがあること、感染症近代史を調べる上で、過去の学術誌の対談が意外に役に立つことなど、最近はすっかり対談を見直しています。読みやすいしね。
前作の翻訳夜話は、何年も前に一所懸命に読みました。今回はそのときほどの感動は得られなかったですが、村上春樹の翻訳に対する心掛けやこだわりは伝わります。柴田元幸のCall me Holdenがとても面白かったのが、お得感を増しています。
内田樹と三砂ちづるの対談本。従来の価値の揺さぶりという意味では面白かったが、お互いが言いたいことを言い合っているので対談としてはやや噛み合っていないかも。
私の好きな春日武彦と内田樹の対談。が、ゆえにすでに知っている内容が多すぎて、得られる新情報はなかったのが、皮肉。
投稿情報: 19:15 カテゴリー: 本、映画、その他 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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すべて、という大胆なタイトルですが。島根大学の田邊教授たちの企画です。私もたくさん書きましたが、筆が滑って重要なミスを一つ犯してしまいました。それが何かは、読んで見つけてみてください。
投稿情報: 12:01 カテゴリー: 本、映画、その他 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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3月24日は世界結核デーで、これは1882年のこの日、ロベルトコッホが結核菌を発見した逸話に基づいているそうです。
ランセットのpodcastがこの日の特集をしています。
http://www.thelancet.com/laninf-audio-2009
投稿情報: 09:24 カテゴリー: 感染症 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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