日本では新聞を読んでも社会問題の謎がさっぱり理解できません。それは現状の表面的な説明に終始しており、その先の洞察も問題の本質に対する議論も行われていないからです。要するに、その日読み捨てられても問題ない内容しか書かれていないのです。
だから、最近ほとんど新聞は読まなくなり、速報はネットかテレビのニュースで、問題点は新書を読んで調べることにしています。新書は、特に優れた新書は、安価で門外漢が問題点を理解するのに優れたツールだと思います。文庫と新書は日本が作った素晴らしい発明だと思います。
さて、この本の驚きは、 出版されたのが2007年の11月ということです。北京オリンピックまで、まさか世界が今のようになるとはだれも信じていなかったような印象があります。ところが、本書には2009年現在の私たちの有り様が見事に予言され、その根拠も明解に示されています。私のような素人が読んでも分かる、というのが明解さの証です。たとえば、なぜ米国が貿易赤字を許容してきたのか、といったシンプルな疑問すら、私にはこれまで理解できていなかったのです。
まあ、新書も当たり外れは激しいですが、これはここ最近読んだ数十冊の新書のなかで、ワンオブザベスト、、でした。
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