プロカルシトニンは、CRPなどのバイオマーカーの一種で、細菌感染症に対してCRPよりも感度、特異度に勝っているといわれています。具体的にこの検査をどう現場で運用するかは、まだ検証が十分ではありません。日本では敗血症を疑ったときに保険適応があり、320点だそうです。エンドトキシンとは同時に測定できないので、まあどっちを測るかと言えば、プロカルシトニンでしょう。
プライマリ・ケアの急性気道感染症で抗菌薬を使うかどうかの決め手にプロカルシトニンをつかったらどうや、というのがスイスで行われたスタディーです。Arch Intern Med. 2008;168:2000-これによると、プロカルシトニンが上がっていれば抗菌薬、なければ使わない、というプロトコルに載せると、従来の診療パターンよりずっと抗菌薬処方は減りました。特に、かぜ、急性咽頭炎、急性気管支炎では顕著で、患者の有症状期間に代表される臨床予後は変わりありませんでした。
外来における抗菌薬適正使用はどこの国でもあまり上手くいっていません。現行の感染制御の専門性や戦略が入院患者にほぼ特化しているためです。米国でも外来診療における抗菌薬使用は無意味な広域抗菌薬のオンパレードです。
教育活動も大事ですが、それにも限界があるかも知れません。もしかしたら、PCTを有効に使えば上手な抗菌薬使用に誘導できる可能性があります。CRPが日本の感染症診療の質を下げた(部分がある)と私は思います。CRPが0.2なので抗菌薬切れません、みたいな。でも、バイオマーカーとはさみは使いよう、ということなのかもしれません。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。