岡部先生のお話です。ちょっと不適切な見出しがついている部分はありますが、内容はとても参考になります。
http://www2a.cdc.gov/podcasts/player.asp?f=11509
CDCのpodcastで簡単なレクチャーを受けることが出来ます。良い内容だと思います。オランダでも、米国でもコミュニケーションの専門家がいるのが凄いと思います。新型インフルエンザ対策室にはおいでですが、、、、
CERCのトレーニングはここから受けることが出来ます。
http://www.bt.cdc.gov/cerc/
Crisis and Emergency Risk Communications(CERC): Best Practices
uncertainties are expected.
we're still in the initial stage of the emergency communication lifecycle.
In this phase, there are typically more questions than answers.
Expect the public to immediately judge the content of an official emergency message in the following ways: "Was it timely?" "Can I trust this source?" and "Are they being honest?".
five common mistakes in crisis communication.
• Mixed messages from multiple experts,
• Information released late,
• Paternalistic attitudes,
• Not countering rumors and myths in real time, and
• Public power struggles and confusion
You can help avoid these mistakes by using the six CERC principles.
1. Be first.
2. Be right.
3. Be credible
4. Express empathy
5. Promote action
6. Show respect.
投稿情報: 12:32 カテゴリー: 新型インフルエンザ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (1)
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リスクコミュニケーションはアウトブレイク時には重要です。分かりやすく、簡潔に伝える技術が必要になります。CDCのガイドラインはその点、非常に明解で具体的なメッセージが強くて素晴らしいです。
日本の厚労省も、YouTubeを使ったり、メッセージの出し方についてはだいぶ工夫するようになってきました。でも、やはり通知は分かりづらい。以前から分かりづらいが、ここはあまり改善されていません。「下記のように整理」とありますが、あんまり整理されていませんねえ。同義反復しているし、、、、二重否定もわかりづらい。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090513-01.html
平成21年5月9日健感発第0509001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知「新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式の改定について」を発出したところ、多くの都道府県等から問合せを受けた項目について、下記のように、整理したので、参考とされたい。
なお、患者の発生状況や検査体制の整備状況などを踏まえ、症例定義を見直すことがあることを再度申し添える。
記
疑似症患者であって、法第8条第2項に基づき、新型インフルエンザに感染していると疑 うに足る正当な理由があるものについて、新型インフルエンザ患者とみなし、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項の規定に 基づいて届出がなされるものであり、PCR検査を実施するまで届出を要しないというものではない。
僕の対案
ー>そうではありません。PCRを実施していなくても届け出が必要な場合もある。要するに、新型インフルエンザに感染していると疑うに足る正当な理由があれば届け出の対象となるので、PCRがなくても症状や旅行歴から強く「疑えば」届けるべきである。
通知に示しているとおり、「疫学的に感染の疑いが濃厚であるかどうか等を勘案して判断することとなる」が、具体的には以下のような観点を総合的に加味して判断いただくこととなる。
(1)疫学的な情報から、感染の疑いが濃厚であるか
(2)他の疾患に罹患している可能性について除外したか
(3)臨床的に、インフルエンザを疑わせる症状等があるか
僕の対案
ー>これは総合的な臨床判断になるので、こうだ、と簡単には明記しづらい。しかし、流行国からの最近の旅行歴や熱、咳などインフルエンザを思わせる臨床症状があり、他の疾患でない場合、それをもって「疑うに足る正当な理由」といえよう。しかし、これは一例であり、このような単純な条件付けで複雑な臨床判断を安易に簡素にしてしまうのは危険であろう。
疑いとは0%から100%までの量的な概念であり、「ある」「なし」といったカテゴリーでは分類できない。当該患者の疑いの重み付け(検査前確率)を行うことが大切だと考える。
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が載っています。R0やCFRが計算されていて、参考になります。アブストラクトしか読めませんでしたが、、、
Pandemic Potential of a Strain of Influenza A (H1N1): Early Findings
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1176062
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NEJMから、archeo-epidemiologyという観点から過去のパンデミックを疫学的に分析し現在の対策に光を当てる提言が為されています。この論文は興味深かったです。感染の「波」waveの問題や、実は過去のパンデミックでも地域によって死亡率など特徴が異なっていた、など、なるほど人間、過去から学ぶことはたくさんあるのだな、と感じさせました。以下は、訳文ではなく、サマリーです。
perspective H1N1 NEJM
- The Signature Features of Influenza Pandemics — Implications for Policy
- content.nejm.org—NEJMp0903906 <http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMp0903906>
- Mark A. Miller, M.D., Cecile Viboud, Ph.D., Marta Balinska, Ph.D., and Lone Simonsen, Ph.D.
- Dr. Miller is the associate director for research, Dr. Viboud a staff scientist, and Dr. Balinska a research associate at the Fogarty International Center of the National Institutes of Health, Bethesda, MD. Dr. Simonsen is an adjunct professor and research director of the Department of Global Health, George Washington University School of Public Health and Health Services, Washington, DC.
This article (10.1056/NEJMp0903906) was published at NEJM.org on May 7, 2009. It will appear in the July 2 issue of the Journal.
- powered by OmniOutliner 3.8
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- 過去のインフルエンザパンデミック、A/H1N1 1918-19, A/H2N2, 1957-63, A/H3N2 1968-70を考古疫学的(archeo-epidemiologic)に調査。
- 過去のパンデミックはウイルスサブタイプのシフト、若年者の高い死亡率、くり返しおきるパンデミックの波、季節性インフルエンザよりも高い感染力、そして地域によって異なるインパクトに特徴付けられる。最初の特徴のみが強調されるが、残り4つの特徴が鑑みられることは少ない。
-
- 別の可能性としては、免疫の強化(immune potentiation)がおき、これが特定の年齢層に高い死亡率をもたらしたのかもしれない。
- 2つ目の特徴は20世紀のパンデミックの特徴である。若い人が死にやすい。1873年のA/H1の曝露が45歳以上の成人に、1918年からのパンデミックに対する防御能を与えたのかも知れない。似たようなメカニズムで、1968−1970のパンデミックで77歳以上の死亡率が低かったことが説明できるのかも知れない。1892年のH3の抗体が残っていたのかも知れない。
- あるいは、ことなるキャリアをもつ細菌による二次感染の可能性もあるだろう。
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- 3番目の特徴、流行の波は20世紀の3つ全てのパンデミックでおきている。死亡率も高まっていく。
- 1918年、最初の波はヨーロッパとアメリカで、相対的には死亡率は低かった。この波で部分免疫がつき、死亡率は下がったのかも知れない?。
- Andreasen V, Viboud C, Simonsen L. Epidemiologic characterization of the 1918 influenza pandemic summer wave in Copenhagen: implications for pandemic control strategies. J Infect Dis 2008;197:270-278.
- 1957年のA/H2パンデミックでは3つの波があったが、1959年と1962年の冬に死亡率は高まっていた。
- 1968−70では、ユーラシア大陸で最初に軽いインフルエンザが起き、その後の波で死亡率は高まっている。
- 何故波が起きるのか?ウイルスがホストに適応しているからか?地理的な理由か?季節の理由か?人の免疫によるのか?いずれにしても、次にくる波を予測させ、政策決定に価値を与えるかも知れない。
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- 第4の特徴は感染力の強さ。免疫ができていないので、感染しやすい。これも過去のパンデミック全てに見られる特徴。再生産数(reproductive number)はある一人が平均何人に感染させるか、の数であるが、これはスタディーやパンデミックによってまちまちである。細菌の研究では、1918−19の初期の軽い波では、R0は2−5くらい、通常の季節性インフルエンザでは平均1.3である。現在のパンデミックコントロールではより低いR0を想定しており、これは楽観に過ぎる見方といえるかも知れない。
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- 地域により発症率や死亡率がことなる、heterogeneityが大きいというのもパンデミックの特徴だ。これはその地域の免疫状態やインフルエンザの株、地理的な感染に与える影響、社会的な交流のあり方、気候などが影響しているのだろう。
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- A/H5N1の鳥インフルエンザは30カ国以上に広がり、400人以上に感染し、case fatality rateは50%以上であるが、パンデミックの可能性については専門家の間で意見が一致していない。このくらい毒性が強いとホストに適応できないであろう。他の鳥のサブタイプもパンデミックの可能性があるだろう。鳥のウイルスは呼吸器細胞受容体へのトロピズムがヒトと鳥では違うのだが、突然変異がちまちまくり返されたり、遺伝子の並べ替えが、ほ乳類の媒介(mixing vessels)でおきれば、新しいタイプの感染力の強いウイルスになってしまうかもしれない。これが、現行のブタH1N1株でおきたのかも知れない。
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- ウイルスの毒性のみならず、どのくらいすばやくわれわれが予防法や治療法を開発できるかにも将来のパンデミックの死亡数は影響されるだろう。サイトカインストームが起きるまえに、抗ウイルス薬や肺炎球菌ワクチンによってこれらの影響を小さくできるかも知れない。
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- 波はくり返しおきてきたので、地球規模でアクティブなサーベイランスを行うのが重要である。国家間の協力も大事。ワクチンの開発や治療法もそうやって開発されていくだろう。次の波が来るまえにワクチンを開発すれば影響は小さくできるかも知れない。もし、1968年のA/H3N2が現れた翌年にワクチンができていれば、ヨーロッパやアジアの死亡のほとんどは防ぐことができたであろう。
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- パンデミックの年齢特異的死亡のパターンはワクチンの優先度に影響を与えるべきであろう。それは年齢に応じたワクチンの効果にも依存する。余命を考慮する、といった倫理的な議論も必要だろう。すでに高齢者には抗体が存在しているかも知れず、またその免疫反応は強くないかも知れず、小児はより感染力が強いかも知れない。若い人ほどワクチンのターゲットとすべきなのかも知れない。もし1918年のようなシナリオなら。
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- 医学的でない介入、人と人との距離をとること、social distancingはR0が2以下では有用である。しかし、過去のパンデミックではそれ以上だったのだ。
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投稿情報: 08:39 カテゴリー: 新型インフルエンザ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (1)
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Triple-reassortant swine influenza A(H1)ってなに?という疑問を持ったので、読んだ論文。現行の問題とは直接はリンクしていないので、臨床的に意義の小さい部分ははしょりました。
triple-reassortant flu NEJM
- Triple-reassortant swine influenza A(H1) in humans in the United States, 2005-2009
- content.nejm.org—NEJMoa0903812 <http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0903812>
- powered by OmniOutliner 3.8
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- 鳥、ひと、ブタのtriple-reassortant swine influenza A(H1) virus(以下、岩田の独断でTRSIVと略す)は1990年代から北アメリカのブタ家畜で見つかっている。
- この報告は2005年から2009年2月までにおこったスポラディックな11例を報告するものである。
- 中央値は10歳(16ヶ月から48歳)、4人に基礎疾患。9人がブタの曝露。5人は直接接触、4人はさわらなかったがブタのいるところに行った。1例ではヒトヒト感染が疑われている。潜伏期は3−9日。熱が90%、咳が100%、頭痛が60% 、下痢が30% に起きている。白血球減少、リンパ球減少、血小板減少が見られることがあった。4人は入院し、2人が挿管を必要とした。4人はタミフルを処方。全員元気になった。
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- もともとブタは鳥、ひとのインフルエンザウイルスを感染することが知られており、reassortmentの媒体となりうると考えられてきた。
- 1930ー90年代、ブタのブタインフルエンザウイルスは主に、古典的なH1N1であり、ほとんど変化がなかった。
- しかし、1990年代後半、H1N1, H3N2, H1N2のTRSIVが北アメリカのブタ家畜で主流となってきた。人や鳥のウイルスの断片も含まれていた。
- ブタの発熱の原因としてのインフルエンザは1931年から知られてきた。これは人の病気の原因として同定される3年前のことである。
- 1970年代から、ブタインフルエンザのヒト感染が報告されてきた。
- 世界的には50例以上の報告があり、たいていは古典的なSIVであった。ブタ関連の職業上の曝露が多かった。
- 古典的なSIV感染では7死亡例が報告されている。既往歴のないものも、妊娠など既往歴のあるものもいた。
- 症状は通常のインフルエンザと同じである。
- 持続するヒトヒト感染の報告は2009年4月まではなかった。
-
- 米国以外では、人のTRSIV感染の報告は二つある。
- 2005年以前、CDCは年間1−2例の古典的なSIVヒト感染の報告を受けていた。
- Emerg Infect Dis 2006;12:1132-1135
- J Clin Microbiol 2009 April 1 (Epub ahead of print).
- 2005年12月、CDCは米国初のTRSIV感染を見つけた。
- 2007年6月、動物由来を含む、新型インフルエンザAウイルス感染は届け出感染症と米国で定められた。
- 2005年12月以降、11例の報告があり、そのうち8例は2007年6月以降のものである。
- ちなみに、2007年以降このシステムで報告を受けたのは、TRSIV感染のみ、、、
-
- 報告やラボの詳細は省略、、、、
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- アブストラクト以外の情報
- 8人は18歳以下
- 7人は男性
- 全員、米国中西部あるいは南部に住んでいた。
- 36%は8月、9%は10月、18%は11月、18% は12月、そして9%(1例ずつ)は1月と2月に報告されている。
- 8例では、ブタにも症状があった。
- 潜伏期の中央値は3.5日(3−9日)
- 基礎疾患は、よくわからない免疫不全、湿疹
- 少なくとも3人は季節性インフルエンザのワクチン接種あり。
- 一人には結膜炎あり
- 体温の中央値は39.7度(38.5−40.4)
- 迅速検査陽性例もあり 詳細は不明、、、
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- 挿管では、48歳の女性、喫煙、GERD、喘息、吸入ステロイドあり。気道からインフルと緑膿菌みつかる。19日の入院で元気に退院。タミフルは入院11日で使用。
- 他には、26歳既往歴なしの男性が、肺炎、敗血症で入院。挿管、低血圧、短期の昇圧剤使用あり。抗菌薬とタミフルで治療。タミフルは入院後19日目に使用。30日で退院。
-
- ウイルスの属性としては、人のH1との交叉反応はなく、ワクチンは効かなそう
- タミフル、リレンザには感受性あり。
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投稿情報: 08:38 カテゴリー: 新型インフルエンザ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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日本人患者が発生しました。報道を見る限りでは、国内流行の可能性は(今は)少ないようですね。
さて、
NEJMでH1N1特集をやっており、米国での疫学調査を報告しています。まとめてみたので(翻訳ではなく、サマリーです)、ご覧ください。図や表はきれいなので、原典をご覧ください。例によって固有名詞などの翻訳の厳密性は適当です、、、
これを見ると、米国でH1N1が同定されたのは、けっこう偶然の賜物だったようです。ただし、CDCやWHOに検体を送るプロトコルができていたり、ブタ用のプライマーがあらかじめ準備されていたなどの、普段の準備がしっかりしていたからとも言えます。その後の全国調査への動きも素早かった、、、、、フレミングがペニシリンを発見したように、偉大な発見は準備されたこころ(prepared mind)に訪れる、というところでしょうか。
サマリーなので、著作権は問題ないと思うけれど、NEJMさん、大事な情報なので許してね、、、
H1N1 NEJM powered by OmniOutliner 3.8
- Emergence of a novel swine-origin influenza A(H1N1) virus in humans
- content.nejm.org—NEJMoa0903810 <http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0903810>
-
- アブストラクト
- S-OIVが米国で同定されたのが、2009年の4月15日、17日。それぞれ異なる場所から。
- これはメキシコやカナダで見つかったのと同じもの
- この総論では人S-OIV感染642症例を叙述するものである。確定診断はCDCのRT-PCRで行われた。
- 4月15日から5月5日まで642症例が41の州で見つかっている。
- 年齢は3ヶ月から81歳。60%が18歳以下。
- 18%にメキシコの旅行歴。16%は学校でのアウトブレイク
- 94%に発熱、92%に咳、66%に咽頭痛。25%に下痢。25% に嘔吐。下痢か嘔吐は38%(これは季節性インフルよりおおい)
- 399人で入院の有無が確認され、そのうち39人(9%)が入院している。
- 22人の入院データがあり、12例では重症季節性インフルエンザの症状。11例で肺炎、8例でICUケア、4例で呼吸不全、2例は死亡。
-
- triple-reassortant swine influenza virusは人、ブタ、そして鳥のA型インフルエンザウイルスの遺伝子をもっている。
- このウイルスは1998年から米国のブタに見つかっており、2005年から2009年には人で12例が見つかっている。ただし、2009年にCDCが同定したのは過去のものとは異なる、新型。
-
- 3月30日、カリフォルニア、San Diego Countyで、喘息をもつ10歳の男の子が発症。4月1日に受診して治療を受けた。1週間で回復した。鼻咽頭検体から診断検査の臨床試験のために検体は用いられた。外部のラボで、人H1とH3陰性のA型インフルエンザとRT-PCRで同定された。4月15日、CDCはこの検体を受け取り、ブタ由来の新しいインフルエンザウイルスを同定した。同日、CDCはカリフォルニア州department of health(DOH)に連絡し、州と地域、動物保健担当者による疫学調査が開始された。このウイルスはtriple-reassortant swine influenza virusで北アメリカのブタ家畜に蔓延していると知られているものと同じ遺伝子を持っていた。2つの遺伝子はノイラミニダーゼとマトリックス蛋白をコードしており、ユーラシアの有症状のブタから得られた遺伝子によく似ていた。
- 3月28日、カリフォルニア、Imperial countyで9歳の女の子が発熱、咳をした。先の男の子とはなんの関係もない子であった。2日後、外来にいって、インフルエンザサーベイランス計画にこの子は参加することになった。鼻咽頭検体がここでとられた。アモキシシリン・クラブラン酸で治療され、そのままよくなった。この献体は海軍のHealth Research Center, San Diegoに送られ、サブタイプや同定の不可能なAインフルエンザウイルスが見つかった。その遺伝子は先の患者(patient 1)によく似ていた。4月17日、両症例はWHOに報告された。これはInternational Health Regulationsに則ったものであった。
-
- 疫学調査によると、両患者には最近のブタとの接触はなかった。プロトコルに則り、新型のS-OIV感染についてサーベイランスの強化が行われた。
- CDCは発熱患者についての推奨を発表した。その報告クライテリアは以下の通り
- S-OIV感染のあった地域に住んでいる、あるいはその旅行歴
- その地域で病人と接触した(発症7日以内)
- 疑ったら、鼻咽頭検体をとって、州や地域の保健担当者に報告すること。
- 州の公衆衛生担当のラボはサブタイプできないAインフルエンザを全てCDCに送るよう指示された。
- 米国では急性発熱性呼吸器疾患でS-OIVがRT=PCRか培養で同定されたものを症例定義とし、これを報告させた。
-
- CDCはRT-PCRで同定を開発しており、これは季節性H1,H3,とりH5,とBインフルエンザを同定できる。
- ブタインフルエンザA(H1,H3)を同定できるプライマーとプローブは最近開発され、これはブタインフルエンザのヒト感染を見つける目的であった。
- これらを活用して、今回のS-OIV同定アッセイも素早く開発された。
- 詳細は以下に
- www.who.int—CDCrealtimeRTPCRprotocol_20090428.pdf. <http://www.who.int/csr/resources/publications/swineflu/CDCrealtimeRTPCRprotocol_20090428.pdf.>
- 49のウイルスが13の州から培養された。これを遺伝子同定に用いた。
- 詳細は以下に
- content.nejm.org—DC1 <http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0903810/DC1>
-
- 学校でのアウトブレイクは、サウスカロライナ(7例)、デラウエア(22例)、テキサス(5例)、ニューヨーク(70例)で見つかった。
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- 40%が10−18歳の間、51歳以上はわずか5%。
- 入院患者は19ヶ月から51歳。18%が5歳以下。1患者は妊婦。41%に慢性基礎疾患。自己免疫性疾患で免疫抑制剤を飲んでいたり、ダウン症で先天性心疾患があったり、喘息、RA、感染、重症筋無力症、VSD、えん下障害、慢性低酸素血症など。入院患者では32%にメキシコの最近の旅行歴。50% (11例)で肺炎、1例で縦隔気腫、1例で壊死性肺炎、1例で膿胸あり、ドレナージ。ただし、培養は陰性。8例がICU,、4例は挿管。14例(74%)はタミフルを処方されている。
- 5月5日までに、22例(82%)は全快。
- 22ヶ月の重症筋無力症のこと、33歳の妊婦が死亡。23ヶ月と30歳女性で既往歴なしが、いまだに重篤な状態。
-
- ウイルス
-
- 6つの遺伝子のセグメントはPB2, PB1, PA, HA, NP, NSは以前から知られていたtriple-reassortant swine influenzaと同じ。これは北アメリカのもの。
- NAとMたんぱくはユーラシアにあるブタのインフルエンザAに似ている。ここが、以前とのちがい。図3にきれいにちがいが比較されている。
- 37のウイルスではおそらくタミフル、リレンザに感受性あり。ただし、臨床効果は現段階では不明。でも、CDCはいまのところ使用を推奨。FDAは1歳以下の使用を緊急承認した。
-
- なぜ若い人に多いか、の議論
- 感受性のちがい?
- 社会構造のちがい
- 高齢者ではもっとあとになって感染?
- 以前からのS=OIVからの交差防御?これは1976年のブタインフルエンザワクチンの血清学的スタディーから示唆されている。
- バイアス?若い人でより検査?
- 確定例は過小評価?
投稿情報: 08:37 カテゴリー: 新型インフルエンザ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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鼻咽頭サンプルの採取の仕方。10−15秒とは結構大変ですね。モデルの女性の方、ご苦労様でした(けっこうつらかったでしょう)。
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMe0903992/DC1
グーグルを使ったマップも出ています。これも数が多くなりすぎて、あまり意味をなさなくなってしまいましたが、、、
http://www.healthmap.org/nejm/
投稿情報: 09:30 カテゴリー: 新型インフルエンザ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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雑誌のインタビュー記事を校正していてびっくりするのは、自分の意図していない内容がいとも簡単に折り込まれていることです。まあ、ある程度は仕方がないとはいえ、ものすごいフィクション性を感じます。
「大学への異動にいっぺんの迷いもためらいもなかった、、、」
いやいや、迷いまくり、ためらいまくりましたよ。
「壮絶な日々の中で貴重な指針をつかんだ満足感が、笑顔の端々ににじむ、、、」
べつに壮絶な日々なんて送ってないし、満足感なんて一度も抱いたことはないなあ。ぼくは飢えて、乾いています。今の自分に常にとても不満です。
ぼくの周りには、「ぼくはちゃんとやっています」と声高に主張する人たちはいます。が、そういう人間に「ちゃんとやっている人間」は一人もいない。
「ぼくだって努力しているんです」とも言われます。でも、だれだってみんな努力をしているのです。自分なりにベストを尽くしているのです。ベストを尽くすのは前提であって目的ではないのです。
すくなくとも、プロは一所懸命やっていることを自己正当化の根拠にしてはいけないと思います。「ぼくだって誰よりも一所懸命練習しているんです」と打率の上がらない打者は口が裂けても言わないはずです。
ちゃんとやっている人は、今の自分に絶対に満足できない、乾いた、飢えた人たちなのだから。満足した瞬間に、大きなものが失われてしまうのだから、、、これは根源的なパラドックスなのです。
結局の所、人間とは自分の耳に入れたい情報しか耳に入れない存在なのでしょう。逆にリスク下においては、そのような聞き手の恣意性を十分に勘案しておかないとうまくいかないのでしょう。「ちゃんといったつもりです」では通用しないのです。
「19時までには参ることができるよう、最善を尽くします」
「じゃあ、19時には絶対にお見えになるのですね」
「いえいえ、そうは言いませんでした。、、、最善を尽くす、といったのです」
これは最近経験したこと。本当に、人間とは自分の都合の良いようにしか言葉を解釈しないようですね。
ある新聞社の取材
「先生は、新型インフルエンザについて国民はどのくらいリスクの意識を持っておいた方がよいと思いますか」
「人の意識は、その人が決める問題だと思います」
「、、、、」
僕たちはリスクについて、情報を開示することができるでしょう。何が怖くて何が怖くないのか説明することもできるでしょう。でも、今あるリスクをどうとらえるべきか。それは各人各様であり、メディアや国や専門家が、「このくらい怖がりなさい」と上から目線で規定すべきものではないはずです。
なるほど、自動車事故を怖がって家から一歩も出ないでひきこもることは極端に不健全な態度でしょう。家からででてくれば、よい。自動車事故などありえない、とシートベルトもせず、脇見運転で70kmオーバーも極端でしょう。もうすこしリスク意識をもったらよい。けれども、その間は大抵グレーゾーン。自動車事故と日常生活の利便性はトレードオフの関係にあり、トレードオフの関係にしかないのです。それが、リスクとつきあっていく基本中の基本なのです。だから、リスク0%かリスク100%を目指さない限り、その間のどの辺に線を引っ張るかは、各人で決めるしかないのです。僕たちにできるのはその判断の根拠になる情報を提供するだけ。どう飲み込むかは、その人次第。その時に大切になるのが、言葉に対する感受性。
自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ
茨木のり子
投稿情報: 13:21 カテゴリー: 新型インフルエンザ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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