BSL感染症レポート
デノスマブとビスホスホネートではどちらがMRONJのリスクが高いか
【序論】
現在、ビスホスホネートやデノスマブといった骨吸収作用を持つ薬によって顎骨壊死を起こすことが知られている。私の担当患者は、骨粗鬆症治療で使用していたデノスマブで薬剤関連性顎骨壊死となった方であった。私は、担当患者に使われたデノスマブと骨粗鬆症に対して第一選択薬として使われているビスホスホネートとではどちらがMRONJのリスクがあるのか気になり、それについて調べた。
【本論】
“Risk of osteonecrosis of the jaw in cancer patients receiving denosumab: a meta-analysis of seven randomized controlled trials”では、固形腫瘍の患者の中で、デノスマブ使用患者とビスホスホネートおよびプラセボ患者の顎骨壊死のリスクを調べるために、5つの第III相二重盲検RCT、および2つの第II相試験、合計7つの前向き臨床試験から、8963人の患者をメタ分析した。
デノスマブ投与患者における顎骨壊死の発生率は1.7%(95%CI:0.9–3.1%)で、ビスホスホネート投与患者における顎骨壊死の発生率は1.1%であった。ビスホスホネート群と比較してデノスマブ群で顎骨壊死を発症するリスクが高いことが分かったが(RR 1.481、95%CI:0.957– 2.293)、その差は統計的に優位ではなかった(P = 0.078)。
【結論】
以上より、固形腫瘍患者におけるMRONJの発生率においてデノスマブ群とビスホスホネート群では優位な差がなかったため、どちらの方がリスクが高いとはいえなかった。また、骨粗鬆症治療におけるデノスマブとビスホスホネートの顎骨壊死リスクの違いに関するレポートは見つけることができなかった。
【参考文献】
1)Up To Date:”Medication-related osteonecrosis of the jaw in patients with cancer”
James R Barenson, Alison T Stopeck 16 Sep 2019
2)“Risk of osteonecrosis of the jaw in cancer patients receiving denosumab: a meta-analysis of seven randomized controlled trials”
Wei-Xiang, QiLi-Na, TangAi-Na, HeYang Yao 20 April 2013
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