骨髄炎における、病理検査と比較したMRIの診断能
<序論>
骨髄炎は骨生検をした後、病理検査をして確定診断をつける。MRIは侵襲が少ない検査であるが、病理検査に比べてどれほど骨髄炎の診断に有用か疑問に思い調べた。
<本論>
Javierらは2010年から2013年の間に、骨生検の病理検査で糖尿病性骨髄炎の所見があった患者のカルテを調べ、MRIをうけた患者58人を後ろ向きに研究した。その結果、MRIの感度、特異度は87%、37%であることが分かった。(1)
またWeglerらは2015年11月から2016年までに、脊椎骨髄炎が疑われる32人の患者に前向き試験を行った。診断はIDSAガイドラインに従い、生検による病理検査または血液培養検査の陽性結果と少なくとも一つの陽性画像所見とした。結果として、18F -FDG -PET /CTの診断における感度、特異度は100%、83.3%であり、MRIの感度、特異度は100%、91.7%であった。MRIは軟部組織への病変の進展は優れて検出するものの、初期の小さな病変の検出率は18F -FDG -PET /CTの方が高かった。(PETは50%の患者で転移巣を検出したものの、MRIは一つも検出できなかった。)(2)MRIは、診断能は高いものの小さな初期の病変を検出することは難しいと考えられる。
またMRIは骨浮腫を明らかにすることで診断に有効であるが、骨髄炎の感染が治まった後も何ヶ月も骨浮腫は持続するため、治療に対する反応を確認することの役には立たない。(3)この点が炎症細胞浸潤を確認し、感染による炎症反応を確認できる病理検査に劣る。
<結論>
MRIは生検に比べ侵襲が少ない検査であり、感度・特異度が高いものの、初期の病変を検出することや、画像から治療の効果をはかることは難しいとわかった。そのためMRI検査は発症初期ではないと考えられる患者に行うか、発症初期の患者の場合でMRIの偽陰性を疑った場合、PET /CTを組み合わせるなどすると有用なのではないかと考えられる。
<参考文献>
1)2016 Aug;Wounds 2016; 28(8):271-278. Comparison between Tc 99m WBC SPECT/CT and MRI for the Diagnosis of biopsy-proven diabetic foot osteomyelitis,
Javier La Fontaine et al
2)2018 May;45(5):798-805. doi: 10.1007/s00259-017-3912-0. Epub 2017 Dec 19.
The diagnostic value of 18F-FDG-PET/CT and MRI in suspected vertebral osteomyelitis - a prospective study.;Kouijzer IJE1,2, et al
3)2004 Jul 24-30;364(9431):369-79. Osteomyelitis. Lew DP1, Waldvogel FA.
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