末梢静脈カテーテル関連の化膿性血栓性静脈炎における治療期間はどのくらいか?
<序論>
XXX、末梢静脈カテーテル関連の化膿性血栓性静脈炎における治療期間について調べた。
<本論>
末梢静脈カテーテル関連の化膿性血栓性静脈炎を含めた、1)血管内器具関連菌血症(CRBSI)は、院内感染症の約 10~15 %を占めており、その大半は中心静脈カテーテル関連のものである。
2)血管カテーテル関連感染症の診断と治療に関する実践的臨床ガイドラインによると、短期留置型の中心静脈カテーテル(CVC)もしくは動脈カテーテル(AC)関連血流感染症において、化膿性血栓性静脈炎、心内膜炎の合併が判明した場合、カテーテルを抜去後、 4~6 週間の治療が推奨されている。
また、3)末梢静脈カテーテル関連血流感染症(PLABSI)と診断された 38 例に対して臨床的検討を行った報告によると、PLABSI もしくはその合併症に対して抗菌薬が投与された期間は 7~100 日と幅広く、中央値は 18 日間であり、骨髄炎等の合併があると長期投与となっていた。合併症としては化膿性血栓性静脈炎が 8 例(21.1 %)、蜂窩織炎が 3 例(7.9 %)、椎体炎が 2 例(5.3 %)でみられた。
<結論>
中心静脈カテーテル関連血流感染症(CLABSI)については、様々な調査や研究がなされているものの、末梢静脈カテーテル関連血流感染症(PLABSI)に関する臨床的データ・疫学は不足していることが分かった。末梢カテーテル関連の化膿性血栓性静脈炎の治療期間について報告した論文は見つけることができなかったが、エビデンスに乏しい現環境下では、中心静脈カテーテル関連の血流感染における化膿性血栓性静脈炎の治療期間に則り、4~6 週間の治療が適切だと考える。
今後さらなるデータの蓄積および、適切な評価と対応の検討が待たれる。
<参考文献>
1) ハリソン内科学 第 5 版 942-943
2) Mermel LA, Allon M, Bouza E, Craven DE, Flynn P, O'Grady NP, et al.: Clinical practice guidelines for the diagnosis and management of intravascular catheter related infection: 2009 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis 2009; 49(1): 1-45.
3) 佐藤昭裕, 中村造, 福島慎二, 水野泰孝, 松本哲也 「末梢静脈カテーテルによる血流感染症の現状」環境感染誌 vol. 30 no.1 , 2015
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