YSQ 「肝不全罹患後の院内感染は予後に影響を与えるか?」
【序論】
XXXである。そこで、これらの院内感染が肝不全の予後に与える影響に関して疑問を持ち、上記のようにテーマを設定した。
【本論】
Junjun Caiらの研究1では、389名のAcute-on-chronic型肝不全(ACLF)患者について、様々な属性と短期的な臨床転帰との関係を調べる後ろ向き研究が行われている。この研究では、389名中316名が入院時すでに何らかの感染症に罹患していたか、入院後に感染症と診断された患者であり、73名がいずれでもなく、感染症の罹患が無かった患者であった。感染症罹患群の316名のうち、95名が院内感染との診断であった。入院後90日間の死亡率で比較すると、感染症罹患群の死亡率は52.2%で、非罹患群では16.4%であり、罹患群で有意に高かった(p<0.001)。院内感染群の死亡率は48.4%であり、やはり非罹患群より高い死亡率であった。
【結論】
ACLF患者では、上記のように、入院中の院内感染を経験した群で死亡率が高いため、死亡率を低減する意味において、院内感染の防止は重要であると考えられる。ただし、本研究は肝硬変などの慢性肝不全を背景とした急性肝不全患者を対象とした研究であるが、肝硬変患者において、感染症罹患と有意な死亡率上昇との相関があるとの報告2もあり、本研究に関しても、慢性肝不全の既往がそもそも死亡率を上昇させている可能性も考慮するべきである。そして、ACLF患者の長期的な予後と院内感染罹患との関係や、ACLF含め、より一般の肝不全患者に関して、院内感染と死亡率、予後との相関について調べた文献は今回発見する事が出来なかったため、今後の研究の進展が期待される。
【参考文献】
1. Junjun Cai, et al “Characteristics of infection and its impact on short-term outcome in patients with acute-on-chronic liver failure” Medicine, 2017
2. Bettina Leber, Walter Spindelboeck, Vanessa Stadlbauer “Infectious Complications of Acute and Chronic Liver Disease” Semin Respir Crit Care Med, 2012
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。