YSQ「アクアフィリング使用術と他の豊胸術において術後感染症発症率に差はあるか」
序論
XXアクアフィリングを用いない他の豊胸手術と使用術では術後感染症発症率に差があるのか調べた。
本論
アクアフィリング(Aquafilling)とは98%塩化ナトリウム溶液(0.9%)と2%コポリアミドからなる親水性のゲルであり、その均質性により他のフィラーと比較して優れた張力と弾性を持ち、皮膚との間の狭いスペースで即座に形状を変化させ保つことができる[1]。しかし、ゲルは乳腺に入り込み切開部位に圧力・張力をかけ、創傷の治癒を遅らせ感染症を引き起こす可能性がある[2]。病原体混合のゲルは重力の影響下で流動し、その結果乳房下腔に沿って周囲の組織、胸壁、および腹壁が感染する可能性がある[2]。2000年から10年間実施されたシリコンインプラントを使用した豊胸手術における術後感染症の後ろ向き研究では、1628人の患者が参加し、術後3256の乳房に対して38(1.16%)の乳房で表皮の創傷が認められ、17(0.52%)の乳房で痛み・排膿・腫脹・発赤が認められた(p=0.002)[3]。対して、アクアフィリング使用術後合併症についての長期臨床研究は発見することができず、術後感染症の発症率を調べることができなかった。ただし、2018年にはBok Ki Jungらによりアクアフィリングジェル注入後に繰り返す腋窩痛や発熱、穿刺部からの排膿を訴える患者の報告がなされ、滲出物からはMRSAが検出された[4]。また2017年にArslanらによりゲル注入後両胸の疼痛・発赤を訴える患者において、MRIによりゲルが胸筋繊維に浸潤し隣接する軟部組織にも漏出している例が報告されている[5]。
結論
今回アクアフィリング使用豊胸術後の感染症発生率に関する長期臨床試験を見つけられず、他の豊胸手術における術後感染症発症率と直接比較することができなかった。よってアクアフィリング使用後の長期安全性についての臨床研究が今後行われるべきであり、十分な証明がなされるまで安易な使用は控えるべきであると考える。
参考文献
- Shin JH, Suh JS, Yang SG (2015) Correcting shape and size using temporary filler after breast augmentation with silicone implants. Arch Aesthetic Plast Surg 21:124–126
- Amin Snehal P,Marmur Ellen S,Goldberg David J(2004) Complications from injectable polyacrylamide gel, a new nonbiodegradable soft tissue filler. Dermatol Surg 30(12 Part 2):1507–1509
- Umar Daraz Khan(2010) Breast Augmentation, Antibiotic Prophylaxis, and Infection: Comparative Analysis of 1,628 Primary Augmentation Mammoplasties Assessing the Role and Efficacy of Antibiotics Prophylaxis Duration. Arch Aesthetic Plast Surg 34:42-47
- Bok Ki Jung(2018) Complication of AQUAfilling® Gel Injection for Breast Augmentation: Case Report of One Case and Review of Literature. Arch Aesthetic Plast Surg 42:1252-1256
- Arslan Gozde, Celik Levent, Atasoy Mehmet Mahir, Celik Levent, Cubuk Rahmi (2017) Complication of non-US guided procedure of aquafilling breast gel. Med Ultrason 19(2):236–240
コメント
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